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プリクラの顔面加工に見る『 諸行無常 』

プリクラをよく撮っていた。社会人になってから段々と撮ることが少なくなり、久しぶりに撮った時に違和感を持った。自分が撮ってない間にも変化し続けるプリクラに、急に距離を感じた。noteの記事でも似たものを見かけ、ああ、もしかしたらプリクラを撮ってきた人たちは、皆通る道なのかもしれないと思った。

本の【「盛り」の誕生ー女の子とテクノロジーが生んだ日本の美意識 】によると、2007年以降に作られた機種が、デカ目期と呼ばれ、プリクラに写る目が大きくなった時期である。私が一番プリクラを撮っていた時期は、中1から高3だった2000〜2006年で、デカ目期以前の機種だった。

2007年頃から始まったデカ目期は、いきなり始まったのではない。プリクラを作っているメーカーが目を横に大きくさせる技術をプリ機に(大っぴらではなくこっそり)取り入れたところ、消費者である女の子たちの間で、「写りがいい」「盛れる」と話題になった。

その後、各メーカーが目を縦にも横にも大きくする技術を取り入れた。私は高校を卒業してから化粧をするようになった。だから、プリクラを撮った時に写りが良くなったのは化粧のおかげだと思っていた。実は、プリクラの機械が変わっていたのだ。デカ目期はそんな感じで自然に少しずつ始まった。


しかし、一転して2013年、プリクラを久しぶりに撮った時に違和感を拭えなかった。自分でも分かる位、明らかに目が大きくなり、足が伸びるプリクラはこの時が初めてだった。確かに自分だけど自分ではない。そして当時の彼氏の目もキラキラになり、自然に写る時の方が良かったと思った。


デカ目ブームは次第に加速し、目を大きくして強調する写りのプリクラしか存在しなくなった。プリクラは自分達の時代とは大きく変わってしまったと思った。私は2013年以降プリクラを撮らなくなった。

ところが、2018年冬にプリクラ熱が再熱する。きっかけは、顔が好みでフォローしていた女の子が撮ったプリクラを見たことだ。普段も可愛いがプリクラ見たら、俄然かわいく写っていて驚いた。自分が写ってる訳ではないからかもしれないが、違和感も一切感じなかった。今時のプリクラの秘密を探るために舞い戻ってきた。

プリクラについて調べてわかったのは”諸行無常”であると言うことだ。

諸行無常▶︎われわれの認識するあらゆるものは、直接的・間接的なさまざまな原因(因縁)が働くことによって、現在、たまたまそのように作り出され、現像しているに過ぎない(中略)。あらゆる現象に変化してやむことがないということ。人間存在を含め、作られたものはすべて、瞬時たりとも同一のままではありえないこと。

プリクラだけでなく万物に対して言えることだけど、プリクラの諸行無常っぷりはなかなかすごい。プリクラは常に変わり続けている

現在、プリ機を作っている会社は業界全体の9割のシェアを誇る、フリュー株式会社のみになった。しかし、プリクラ業界では1強であるにも関わらず、年に9機種も新しい機種を開発しリリースしている。この9種類は写りやプレイ回数、コンセプトなどが異なり、同じプリクラでも違うものとして楽しむことができる。

新製品が次々と出るので、プリクラに集まる口コミを見ていると、「出るペースが早い」とか「前の機種の方が良かった」という声も時々あったりする。しかし、流行に敏感な子から徐々に新しい機種の良さを見出し、楽しんでいる様子が伺える。プリクラは常に変化し続けているからこそ、今の時代まで生き延びたのだ。


今の時代のプリクラを見続けている私は、昔のプリクラを見ると化石か!と突っ込みたくなる程、今とは全くの別物に感じる。まず、目が本当にゴミみたいに小さい。今のプリクラに目が慣れるとそこはどうしようもない。でも、昔には昔の良さもある。

地元から出た人だと分かると思うが、1〜2年後とかに帰省するとあんな所にあんな店あったかな?とか気になったりする。しかし何年も離れていると、変わっていて当たり前だと思うので、自分がいない間にこういう街になったのだ、と受け入れやすい。そして、そこに住み続けている人たちは特に変化を感じていなかったりする。

プリクラも同じで撮り続けている人達は、プリクラが徐々に変化しても違和感を感じにくい。しかし、プリクラから1度離れた人が1〜2年後位に撮ると、変化を目の当たりにして「こんな写りではなかった」とか「自分達のプリクラじゃない」と言う気持ちになりやすい気がする。

個人的には、6年ぶりに撮るプリクラは全く新しい体験だった。新しいものとして脳もすんなり受け入れてくれた。だから、今のプリクラに違和感を感じている人もまた、プリクラいいじゃん!って思える時代が来ることが十分にあり得る。

ファッションでも昔流行ったものが、また姿を少し変えて登場することはよくある。同じように、プリクラも自分達の時代と共通点があるものも、これから登場する可能性もある。また、実際に登場しているものもあるのでそのうち紹介します。

私はこれからもプリクラを諸行無常なエンターテイメントとして見守り、魅力を伝えていきたい所存です。


ELIE

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