10月26日

名古屋駅前、ウクライナ支援募金を呼びかける声が響く。
僕は立ち止まり人の様子を遠くから眺めた。人の流れが止まらない。
誰も立ち止まることはない。
前を通り過ぎ、少しいったところで立ち止まり財布の中身を見る男がいた。
私である。
千円を財布から出す。募金を呼びかけている方を眺める。人の流れが止まらない。
女性の声が鳴り響く。支援を呼びかけている。
この前はここでミャンマーの人達が立っていたんだった。
私は出した千円札を片手に握りしめ、ポッケトに手を入れた。
そして駅の改札へと向かった。

最近、就活をしている。就活をして気になる事がある。求める人材の欄に「コミュニケーション能力がある人」と書かれている企業があったりする。就活自体に乗り気出なかった当初、私は真っ先に就活エージェントに連絡し、企業を紹介してもらった。紹介してもらった企業のほとんどにコミュニケーション能力を大事にしている、といったような事が記載されていた。このコミュニケーション能力とは一体何を指しているのだろううか。
「長所や短所を書く理由がわかりますか。その質問の本質は企業側の立場に立って考えれば分かります。この子はどんなふうに企業に貢献しようとしているのかを見極めるためです。」
「あなたの長所と短所は内容が薄い。うん、内容が薄いです。必要なのは、自分が企業に対しどの様な利益をもたらす事ができるかを説明する事、なんですね。そのための具体的なエピソードが必要です。さらに数字なんかが付いてればなお良いですね。」
「もう少し深ぼってみましょうか。そうですね、協調性、とかどうですか?協調性があるな〜なんてエピソードあったりしますか。または、謙虚とか、謙虚良いじゃないですか。ピッタリだと思います……〜」
なんとなくだが、今画面越しに話すこの、笑顔の体格がいい男性は、コミュニケーション能力が高い人なんだろうなと思った。そして私は、その振る舞いが苦手であった。

そこで僕は、多くの就活生が利用するであろう窓口を通し就活をおこなったが、そういえば俺がしたいのこれではないと思い出し、好きな本をめくり、その制作に携わっている企業を調べた。応募フォームがあれば、連絡を入れた。これが本当の就活だろと。
ただ、時期が時期。閉まっているところもいくつかあった。そして、自分が行きたいと感じた企業程、超実力主義なのだ。デザインや、映像の専門的な勉強なんてしてこなかった自分は一気に自信がなくなり、不安で、再び、就活エージェントを頼る生活に戻ってしまった。
私も結局そうなんだ。口では、心の中ではご立派な事を掲げているが、実際の行動が伴っていないのだ。戦争反対。平和が一番。みんなそう思っているだろう。で、その行動をしている人がどれほどいるだろうか。なぜその事に悩まずに生きていられるのだろうか。私も含めなぜこんなにも皆笑っていられるのだろうか。私は私が嫌いである。そのためしっかり希死念慮がやってくる。不安なんだ、怖いんだ。だから私は就活をしている。そして、そのたびに、これでいいのか、もっと面白い事をしていい。まずはもっと、自分のしたいことを調べろ、と語りかける自分の存在を感じている。だから私はこうして日記を打っているのかもしれない。文字をとにかく出す事の重要性を再び思い出した。言葉を途切らせてはいけない。自分のうちに溜まりに溜まった言葉をとにかく出すこと。こうして書いていながら、知り合いのシングルマザーの人から、電話。娘が「もう死ぬ」と言って帰ってこない、と。電話越しで泣いている。まずは落ちつかせて、これまでも何度も同じような事があったのだから、でもだから問いって安心せずとりあえず連絡だけは途切らせないようにしていきましょうと声をかける。なんだこれ。地獄が僕のそばある。シングルマザーのその人はあまりの辛さに、娘に対し「もう死ねば。」と送信しかけたらしい。連絡あり。なんとか連絡をし続け家に戻ってきたとのこと。よかった。
僕と、この女性は電話ですぐにつながる事ができる。一方で、僕はウクライナ募金、ミャンマー募金に立ち止まってはみたが、その後の勇気が出ず、というより頭の中でシミュレーションし、デメリットが大きいと結論を導きだし、その場を離れた。実際の距離で言えば募金の方が近いはずなのに。心の距離がだいぶ離れてしまう。頭の中で、それなりの、言い訳材料としてのテキストが生成される。いい事をしている自分、周りにいる大勢の人、そんな事を丸っと脱ぎ捨て、ただ、普通に、近所の人と話すように、彼らと関われたのなら。
怖いのは、とにかく知らないから。何が問題か、とかよりも、僕は知る行動へとつなげていけるだろうか。
どんなふうに世界が見えているのか。僕はそれぞれの世界を保存したい。記録したい。
そういう風にして、楽しさの風に乗りどこまでも飛んでいこう。
午前中は大学の授業を受け、帰宅し、洗濯物を回した。その間に昼食の準備。奥歯が炎症を起こし、口を開けるのが痛くて麺類しかまともに食べられない。そこで、近所のドラッグストアでカルボナーラのソース買い、パスタを茹でる。8分表示なので1分早い7分で麺を取り出す。のこり4分のところで小鍋でソースを温めほぼ完成。
食事を終えると、洗濯もの干し。その最中に新しいエージェントさんから電話が入る。13時からまた別のエージェントと面談。それが上記に書いた男性。私は終始元気がなく俯いていた。一呼吸おき、16時。家を出る。肩の痛みがあるので1ヶ月に一回のリハビリへ。気がつけば18時をすぎていた。警備会社に冬服をとりに行き、20時前に家に到着。とざっくりの1日のスケジュールを書いてみた。もう眠いし寝よう。
明日早いんだった。

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