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『10年目の手記 震災体験を書く、よむ、編みなおす』刊行記念 瀬尾夏美・高森順子トークイベント


嘘をついていた。俺は凄いと嘘をついていた。
凄い自分だから何か、凄い質問が出来るんだと思っていた。

だから体が固まっていたんだ。
俺は凄くないのに。同じだよ。同じ。
みんなと同じなんだ。
こういう場が苦手なんだとはっきり言えばよかった。嘘をつかず、そのままの、ありのままでいれば。

何を話せば良いのか分からなかった。

そもそも何かを話そうとしていた。


服で武装している。鎧です。僕にとって服は鎧。僕は弱い。弱いのに強くあろうとした。その装いをした。そして、僕より何倍も強い人達が集まる場で僕の鎧は剥ぎ落ちた。

心が折れた。逃げたかった。僕は逃げる行動として、おじぎをしていた。深々としたおじぎ。もうそれしかできなかった。分からないという態度。よく分かんねえよ。
質問なんて思い浮かばねえ。僕は僕を救うために装いすらも考えなくてはいけないようです。自分でいられる装いがある。それを身につけないと死んでしまう。
店を出た後、僕は死にたかった。
宿を出た時、心地よい状態だった。想田監督とも話せて、なんか自分すごいかもと、体の奥で思っていたんだ。
だから今こうして死にたくなっている。
死にたい衝動を抑えるため近くにあったガストに入りチーズインハンバーグを5分程で喰らった。
まだ死にたい衝動は収まらず近くをフラフラ歩き回った。気がつくと地下鉄駅前にいたのでそのまま乗る事にした。僕は弱い。弱い自分を肯定しないと。強くあろうとするな。生きるために弱さを、ありのままの弱さを受け止める。
こうして書く事で気持ちが楽になる。書く事で自分を知れる。見れる。動きに気付ける。
僕は弱い、ただ弱いという事に対し悲観的になり強くあろうとするな。受け止める。受け止める。そのままそのまま。

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