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信じ過ぎてしまった。自己満足と言われた。どうやら愛には時間がかかるらしい。自分のことを理解してくれていると勘違いしていた。そう思っていた。そう思うことが楽だった。安心した。だから人は似た境遇、同じような生き方、価値観の人と出会い、好きになるのかな。相手のことを理解し、されやすい。
自己満足って言葉がずっと頭に響く。自己中心的だという言葉が頭に響く。
誰も自分のことを知らない。知る必要がない。
そんなの役立たないからだ。僕らはただ、自己を満たすことがしたいから。自分が癒されたいから。自分が安心したいから。相手の行動原理なんて知る必要がない。背景を知る必要がない。知るとは情報を得ることではない。感情に触れることだ。
僕は生まれて初めてその経験をした。自分以上に大切な存在だった。だったじゃない。ずっとなんだ。変わるはずがない。それが愛するってことなんだと思う。理屈ではない。

老人ホームで出会う人達、取材で出会う人達。その人達の歴史を感じる。一緒にいる、ただそれだけ。手を握る、ただそれだけ、話を聞く、ただそれだけでお互い何故か泣けてくる。
自分を満たしたいではない空間。相手や誰か、記憶の、過去のあの人あの場面。その時のことを思い出して、今幸せだと思えたとき、思えているこの瞬間、ただ涙が流れてくるんだ。

自分の痛みや辛さが言えなかった。
よく頑張った。本当によく頑張った。いつか側にいてくれる人が現れる。そのためにまず、自分自身に寄り添おう。辛いときに辛いって言えるように。
笑ってただ過ごせるように。

自分は出来てなかった。まず、自分自身を知らなかった。信じ過ぎていた。自分のことも知らないのに。

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