卒業制作、あとがき

あとがき
”どうして誰も助けてくれないの“
小学生の頃、埼玉県上尾市の8階建てマンションの2階に住んでいた。父に殴られる母の悲鳴が耳を塞ぎながらも聞こえた。物置に隠れ、壁の隙間の埃が溜まった所をじっと見つめながら、そう思った。同じ階に住む幼馴染の家庭はあんなにも幸せそうなのに。現実を恨んだ。
その経験が今の僕を生かしている。今はまだ勇気がない。怯えた弱い人間だ。だが少しづつ日々考える。
母からはお前は口だけだと言われる。その言葉を聞くたび苦しくなる。引きこもりたくなる。ただ、それも事実。私は未だ口だけだ。だけどそこから少し動いてみたよ。それがこの写真集である。
どんなに辛く苦しい環境にも、陽の光はカーテンを通過して優しくおでこを包み込む。そのことを自分の経験として、老人ホームでバイトして僕は知っている。
いつの日か、そんな陽の光のようなものを作りたい。それが僕の人生のテーマである。

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