未許可・未登録で解体工事を請け負って、作業は外注にやってもらうのはセーフ?アウト?

作業をしなければセーフなの?

日頃寄せられる相談を聞いていると、建設業許可や解体工事業の登録をせずに、家屋の解体工事を請け負っている会社さんというのはそこそこいるようです。

工事は請け負うが、実際の作業は外注がするからセーフ

という考え方なのですが、このような考え方は法律的に見てどうなのでしょうか?建設業専門の行政書士がお答えします。

建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律(建設リサイクル法)21条

解体工事業を営もうとする者(建設業法別表第一の下欄に掲げる土木工事業、建築工事業又は解体工事業に係る同法第三条第一項の許可を受けた者を除く。)は、当該業を行おうとする区域を管轄する都道府県知事の登録を受けなければならない。

となっており、土木・建築・解体のいずれかの建設業許可を持つ者を除いて、解体工事業を営む場合は解体工事業の登録が必要となっています。

解体工事業の定義は、建設リサイクル法2条11項にて以下のように定められています。

この法律において「解体工事業」とは、建設業のうち建築物等を除却するための解体工事を請け負う営業(その請け負った解体工事を他の者に請け負わせて営むものを含む。)をいう。

解体工事業とは解体工事を請け負う営業であり、請け負った工事を外注に出す場合も含むとされているため、土木・建築・解体の建設業許可か解体工事業の登録をしていない者が、建物の解体工事を請け負うことはアウトなのです。

つまり、冒頭の「工事は請け負うが、実際の作業は外注がするからセーフ」という考え方は法律的にはアウトです。

未許可・未登録の業者はどのようにして解体工事に関われば良いのか?

では、建設業許可や解体工事業の登録をしていない業者は一切解体工事に関わることはできないのでしょうか?それでは困るという方もいらっしゃると思いますので、どんな形なら関わることができるのかを次に考えてみましょう。

解体工事を請け負うこと自体がアウトなので、自社で解体工事を請け負うことはできませんが、解体工事でない部分を請け負うことは可能と考えられます。

例えば、解体工事における足場工事のみを請け負う。これならば解体工事そのものを請け負っているわけではありませんから、未許可・未登録の業者でも解体工事に関わる作業の一部を担当することは可能でしょう。

また、解体により発生したごみの分別作業についても、分別作業のみを行うのであれば、これは建設工事の請負とは言えませんので、やはり未許可・未登録であっても行うことは可能と考えます。

未許可・未登録の状態では解体工事を請け負うことはできませんが、解体工事現場における工程を切り分けて見れば、未許可・未登録の業者でも関与できる余地はあります。ただ、いつまでもこのような状態が続くのはちょっと…ということであれば、とび技能士1級などの資格を取って、解体工事業の許可や解体工事業の登録を行って、解体工事を請け負える体制を整えることが大切でしょう。

齋藤行政書士事務所では、単に手続きを行うだけでなく、法律と現実との間にあるギャップを少しでも埋められないか?そんな相談にも乗っています。ただ、手続きを頼むだけでなく、色々と相談できるパートナーが欲しいそんな方からのご依頼をお待ちしております。


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