知っておきたい入札用語:格付

建設工事の入札において、格付け(ランク付け)は非常に重要な要素です。AランクとかBランクとか聞いたことあると思いますが、あれが格付です。格付によって、どの工事に入札できるかが決まるため、企業の受注機会や事業計画に大きな影響を与えます。この記事では、建設工事の格付が入札にどう影響するのか、そして格付がどのように決まるのかについて詳しく説明します。

1. 格付とは?

格付けとは、建設業者の実績や能力に基づいて評価されるランク付けのことです。各発注機関(国、地方自治体、公的機関など)が行う工事の発注に際して、各発注機関の基準に基づいて、格付けを行います。この格付に基づいて、各業者が参加できる入札の範囲が決まります。

2. 格付が入札に与える影響

先ほども述べましたが、格付により参加できる入札案件の範囲が決まってきます。発注者ごとに〇円以上の工事はAランク、〇円以上の工事はBランク、それより小さい工事はCランクといった感じで入札に参加できる工事が決まってくるわけです。

基本的に大きな工事を受注するためには格付を上げていかないといけません。格付を上げても定期的に審査しなおされますから維持していくことも大切です。会社によってはこの格付次第で売上が大きく変わってくる可能性もあるわけですね。

なお、格付は高ければ高いほど良いというわけではなく、発注する側は工事規模に応じて「この案件はB,Cクラスが参加できる」というような条件を設定することがありますから、高ければ多くの工事の入札に参加できるとは一概に言えないです。会社によっては自社の取りたい工事の規模感を考慮して、あえて格付を下げたり、上げないようにしているところもあります。

3. 格付の決定方法

格付は、発注機関によって異なる評価基準を用いて決定されますが、一般的には以下のような要素が考慮されます。

1. 経営事項審査(経審)の点数

多くの発注者において格付を決定する上で経審の点数は大きな影響を持っています。格付を決める上で経審の点数+ほかの要素で決めます という傾向にあるためです。

2.技術者数(資格者数)

技術者数は経審の点数をUPにもつながりますが、格付を決める上で経審〇点以上、1級資格者1名and1・2級の資格者2名でAランクというように技術者の数も影響することがあります。

3.発注者ごとの独自の加点要素

経審の点数に加えて、発注者ごとに独自の加点要素を設けていることがあります。

独自加点要素の例
・若年労働者の採用を行っているか?
・これまでの公共工事の成績
・建設キャリアアップシステムの取り組み状況
・消防団の協力事業所になっているか?

発注者によって加点要素は変わりますから注意してください。

4.格付対策

建設工事の格付を上げるためには、格付の決定方法から逆算して以下の対策を講じることになります。

1.経審の点数を高める

  • 財務改善:自己資本比率の向上や利益率の改善を目指します。これには、コスト管理の徹底や効率的な運営が必要です。

  • 経営規模の拡大:売上高の増加を目指します。新規顧客の獲得や受注拡大を図ることで、経審の点数を高めることができます。

2. 技術者の育成と資格取得

経審の点数を高めることにもつながりますが、社員の資格取得を支援し、1級・2級施工管理技士などの資格保有者を増やします。資格取得のための研修や費用補助を行うことも有効です。

3.独自加点要素の把握

独自加点については発注者によって変わりますし、同じ発注者でも変わることがありますが、ほぼ変わらない加点要素というのもありますから、経審の点数が希望の格付に届かないようであれば、ほぼ変わらない加点要素は満たしておきましょう。

以上が上げるための対策ですが、逆に下げたいような場合は、経審の点数を上げ過ぎないようにしたり、経審で申請する際の技術者数を抑えるなどして対策します。

まとめ

建設工事の入札において、格付(ランク付け)は企業の受注機会や事業計画に大きな影響を与える重要な要素です。格付は、建設業者の実績や能力に基づいて評価され、発注機関が定める基準により決定されます。格付が高いほど大規模な工事に参加できる機会が増えますが、工事の規模に応じて適切なランクが設定されているため、高ければ良いとは一概に言えません。

自社の取りたい工事の規模感を考慮し、格付を上げるための対策を講じることが重要です。具体的には、経営事項審査(経審)の点数を高める、技術者の資格取得を支援する、発注者ごとの独自加点要素を把握するなどの対策が必要です。これにより希望の入札案件に参加できるようになります。

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