エアコン工事と建設業許可

エアコン工事は、空調設備がメインの会社さんだけでなく、電気工事を得意とする会社さんも請け負うことが多いと思います。

このエアコン工事が建設業許可の手続きを行う上では、誤解されやすく注意が必要なものであります。建設業専門の行政書士が電気工事メインの会社さん、空調設備メインの会社さんそれぞれにとって、エアコン工事を行う際の注意点を解説します。

電気工事メインの会社にとっての注意点

電気工事業の許可をもって営業している会社さんがこれまで作ってきた建設業関係の書類を見ると、エアコン工事も電気工事に含めて集計している所が結構あります。

でも、建設業法上はエアコン工事は管工事に該当する可能性が高いです。エアコンの電気工事の部分だけ受け取ったという場合は電気工事になるでしょうが、エアコンの交換は管工事に該当すると思います。

業種区分、建設工事の内容、例示、区分の考え方https://www.mlit.go.jp/common/001209751.pdf

上記ページにて、管工事は次のように説明されています。

冷暖房、冷凍冷蔵、空気調和、給排水、衛生等のための設備 を設置し、又は金属製等の管を使用して水、油、ガス、水蒸気 等を送配するための設備を設置する工事

以上のことからエアコン工事は管工事に該当すると思われ、法律上は電気工事ではありません。ですが、建設業の書類を作るうえでエアコンを電気工事として扱っている所は多い印象です(それで書類を受け付けてしまう役所もどうかと思うのですが)

エアコン工事を電気工事としてしまうとどんなデメリットが?

エアコン工事は管工事と思われますが、例えば、たくさんの台数エアコン交換を請け負う際に、電気工事業の許可しか持っていなかったとしたら?建設業法に違反することになりますね。でも、実際のところはエアコン工事も電気工事だと思っている会社さんもいるわけで、知らず知らずのうちに建設業法に違反してしまっているようなことも出てくると思います。これは怖いですよね。

このような場合に備えて、管工事の許可も持っておくと良いと思うのですが、電気工事の会社さんでは、電気工事に関する資格者は何人もいるけど、管工事に関する資格者が一人もいないという所も結構あります。

このような場合は実務経験でも許可が取れますが、過去にエアコン工事を500万円以上にならない範囲で請け負ってきたとしても、建設業許可手続きの書類で、エアコン工事を全部電気工事に含めていたとしたら、審査の際に

「管工事の実務経験があるということで書類が出てますが、管工事の実績が0じゃないですか?」

と言われたりする可能性もあるわけです。ですから、このページを読んでいただいた電気工事の会社さんは、今後はエアコン工事は管工事として分類して、書類を作成していただければと思います。

空調設備工事メインの会社にとっての注意点

空調設備工事メインの会社さんが建設業許可を取る際、管工事の建設業許可を取ると思います。これによって金額が大きくなるエアコン工事を請け負うことも可能となりますので、この点は心配いりません。

ですが、工事を実際に行うためには建設業許可だけでなく、電気工事業の登録(建設業許可業者は、みなし電気工事業登録)の手続きも忘れずに行っておかないといけません。

電気工事業の登録に関する手続きをしておかないと工事を請け負うことができても、自社の従業員でエアコンの交換とセットになっている電気工事を行うことができないのです。電気工事の部分はすべて外注に任せるということであれば、良いのですが自社で工事作業を行いたい場合は、建設業許可を取るだけでなく、電気工事業の登録に関する手続きも行いましょう。

電気工事業の登録が難しいという会社も…

エアコン設置に付帯してくるような電気工事を行うために必要な電気工事業の登録関係の手続きは、第1種電気工事士か第2種電気工事士(資格取得後、実務経験3年以上)の資格者が社内にいないと行えません。

第1種電気工事士の方がいればよいのですが、第2種電気工事士の場合の実務経験が曲者です。この実務経験はちゃんと電気工事業の登録をした業者で積んだ経験しか認めてもらえない可能性があります。つまり、もぐり状態で積んだ経験は認めてもらえないため、今まで手続きはしていなかったけど、経験はありますが通用しないのです。

このため会社によっては電気工事業の登録を行うためのハードルが高くて、手続きができないということがあるので注意が必要です。条件を満たした方が入社するまでは、電気工事の作業は外注してしのぐことになります。

みなし電気工事の手続きは、電気工事業の建設業許可でなくてもOK

電気工事業の登録ですが、建設業許可を持っている会社は、みなし登録電気工事業者として、電気工事業開始届出書を提出することとなります。届出とは言え、やはり資格者は必要なのですが、登録に関する申請手数料はかかりませんのでお得です。

また、私もかつて勘違いしていたのですが、電気工事の建設業許可がなければ、みなし登録電気工事業者になれないというわけではありません。管工事の建設業許可だけしかないとしても、みなし登録として手続きは可能です。

エアコン工事の取り扱いや建設業許可と電気工事業の登録の関係、わかりづらいところです。もし、お困りのことがありましたらぜひ齋藤行政書士事務所にお電話ください。


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