自カプの本が欲しすぎて即売会開いた話



こんにちは。
かれこれ5年くらいBLを嗜み創作活動するオタクです。

突然だけど、わたしは現在ある作品のふたりにハマっている。
彼らを仮にABとするが、どのくらい狂っているかといえばもうあまりにもABが好きすぎて 寝ても冷めても彼らのことを考え、少しでも醸したいと二人にまつわるあらゆる派生情報を集め、勢いで日本の果てにある聖地に飛び、〇〇跡地と書かれた棒が1本建ってるだけの場所にも行って拝んで手を合わせたりしている。
そんな狂ったテンションで駆け抜けて一年半。いつもだいたい三ヶ月くらいで熱が落ち着いてジャンル移動していたわたしにとっては驚異の執着ぶりだった。おそらく人生初だろう、こんなに元気にオタクしてるのは。

さて、わたしは拙いながら二次創作を嗜むオタクなので、もうここまで来ると当然彼らを書いた人様の作品が見たくなる。平たくいえば薄い本が欲しい。もうこのさいABでもBAでもいいから欲しい。
ちなみに母体ジャンルは年に何度もオンリーが開催されるくらい大きなジャンルで、無数のカップリングが存在して、わたしの推しカプはその中のひとつだ。

しかし、かなりのマイナーなので作品は少ない。(なお、いくら作品が少ないからといって描いてる方がいる中で「ぜんぜんない」は禁句だ。それはたとえば検索結果10作品中10作品作者すべてイッツミーとかそういう絶望的状況になってはじめて言うことが許される言葉だろう)

そういう感じなので、あまり自分の好きなコンビをマイナーとか言いたくない。言いたくないんだけど、でも実際描き手が少ないというのは現実だった。
何せ母体ジャンルのイベントでその二人をメインにしてるスペースを見たことがない。ちなみに母体ジャンル外のイベントでも見たことがない。
ここまでくると『それはさすがに組み合わせが奇抜すぎるからではないか』とか『作中で接点ないんじゃないの』とか思われるかもしれない。
確かに、いくら自分が好きでも原作で一言も会話してないとか会ってないとか、時空が違うとかいうなら、ないのも分かる。
けれど、原作を見てこのふたりに対して「えっ、だってこのふたり繋がりなくない?」っていう人は贔屓目抜きにして100人中100人いないはずなのだ。ほんと。ほんとに。もしいたらそれは千と千尋の神隠しで「湯婆婆なんか突然後半になっていいヤツになったけどなんで?」とかいうレベルでおまえほんとに本編ちゃんと見てたのか案件だ。それは銭婆だ。
それほどなのに、なぜかマイナーだ。
どうなってるんだよこの世の中は。

しかし、ないならないで仕方ないのだ。ないものを無いと嘆いていても何も生まれない。ちなみに自分で一作品も書いてないのに「ない」と嘆くなど、耕しもしない畑で野菜が育たないと文句を言うレベルで言語道断なのでおっかなびっくりイベントで本も2冊出してみた。ありがたいことに、ぽつぽつと手に取って頂けたし、暖かな感想も頂いた。自分以外にもこのふたりに興味がある方がいるのだと思って嬉しかった。

でも、わたしは貪欲なオタクなのであわよくば人の作品が読みたい。

だって自分の作ったご飯もまあ悪くないけど、人の作ったご飯は美味しい。わたしだって時には外食がしたいのだ。
幸いにして、ひかえめながら鳴き声のように自カプの名前を呻き続けていたら、同じようにふたりが好きという方とお知り合いになれた。もう本当に涙が出るほどうれしかった。この世に自分以外にもこのふたりが好きで妄想を爆誕させている狂人なオタクがいることがうれしかった。しかも皆様、素晴らしい作品をかかれるのだ。ネットで作品があがるたび嬉しくてスクショをとって、暇があれば眺めるという奇行を繰り返した。

でも、わたしは貪欲なオタクなのでこうなるとやっぱり本が欲しい。


もっと贅沢に言えばイベントで買いたい。プチオンリーが開かれるようなカプが羨ましかった。プチ開催に踊り狂う沼界隈の方々を見るたび、心からの祝福と共に自カプもプチとか開かれて本が並んだらいいだろうなぁといつも思っていた。
やっぱり人の本が欲しいし、わたしも壁打ちとはいえ自分の創作物を見て頂けたら嬉しい。
今更だが、自カプ、諸々の事情により母体ジャンルのイベントでスペースをとるのは少々困難なのである。
じゃあもういっそ自力でイベント開こうとわたしは思った。
そう、人と机と本があればイベントを開くことは物理的に可能だ。
イベントに申し込めば本がでるという嘘みたいでほんとの名言があるように、わたしはイベントがあれば本は出るのだという奇跡を信じたのだ。
そんなわけで、ほぼ身内だけのこじんまりした即売会を企画してみた。
参加条件は「とにかくふたりに関する創作物がスペースにあればなんでもよい」のみ。
幸いにして、人が集まった。
企画したのは夏にも関わらず、冬になってもまだみんな忘れずにいてくれた。
「いいねそれ、楽しそう」を本当に実現してくれたのだ。最初は四人程度で話していたことが、いざやるとなったらその倍以上に人が集まったのも本当にありがたいことだった。
即売会当日(今日だったんですが)、都内の貸し会議室で机を並べて小さなイベント会場を作った。
小さな会議室だったけど、スペースに並ぶ本を見て「あっ、これちゃんとイベントだ」と思った。
出来上がっていく会場を見て幸せだった。小規模ながら、並ぶ机には漫画も小説もグッズもあったし会場にはレイヤーさんもいた。なんかもうテンションが狂った。生まれてはじめてブースをカニ歩きして「ここからここまで全部ください」をやった。四時間があっという間だった。参加者全員でアフターに行って、いろんな話をして笑った。
終わってしまうことがこんなに名残惜しいと思ったのは久しぶりで、またみんなで集まろうと言って解散した。
家に帰って戦利品を広げて、嘘みたいに沢山の本やペーパーを見ていたらふいに泣けてきた。
自カプの本がとにかくも欲しくて開いたプチだったけど、嬉しかったのは本が手に入ったことだけじゃない。
わたしはひとつの夢をかなえてもらったのだ。こんな幸せがあるだろうか。

今回、参加者以外にも即売会をやると言ったら「参加はできないけど何か描きましょうか」と言ってくださった方がいた。みなさん、普段は別ジャンルで活動されている方々だ。
ひとつの作品を作るのは決して楽じゃない。
どんなに短くたって、労力も時間も死ぬほどかかる。しかもみんな自陣を持っているのだ。ただでさえその生産に手一杯、ぶっちゃけそんなことやってる余裕ねえって中で、普段さほど嗜んでない作品を書くのはいったいどれだけ大変だっただろうか。
話を練って、かいて、見直して、印刷して、折って……これだけの手間をやってくれたのである、今回のイベントのために。わざわざ書いてくれたのだ。自分にメリットなどほとんどないというのに。
感謝してもしきれない。
そういう人のやさしさが嬉しかった。今日は楽しかったと言ってくださったみんなの言葉が嬉しかった。広げた本たちが愛おしくて、ひとりになった部屋でちょっと泣いた。
本当に拙い主催だったけど、やってよかったと心から思った。

というリアルタイムクソデカ感情をつらつら書いてしまったが、わたしは決して「ね、だからみんなも本がほしければ自力でイベント開きなよ!!」などと偉そうに言うつもりはまったくない。
たいへん悔しいが、わたしは自分の腕ひとつで読み手を沼に落とし込むほどの話を書く技量もなければ影響力もないし、今回こうして念願の個人プチがかなったのは、本当にただただ環境に恵まれていたからだ。
だけど、たとえどれだけマイナーだろうがなんだろうが、好きなものを好きと主張するのは決して悪いことじゃないんだと今回のことでしみじみ思った。やりたいことをやりたいと言い続けていれば、どこかで誰かが聞いていて、手を差し伸べてくれることもあるのだと。
そのことだけは、覚えていようと思う。
オタク なにか好きなものがあるって幸せだな。
わたしも誰かの好きに触れたら、できるだけ応援したいと思う。力になれることなんてきっとほとんどないけど、それが今回のようになにかしらの形や結果になればとても嬉しい。
あと、自カプに対してはこれからも常に強気でいたいなと思います。
まだ言うかって感じだけど、本当に世が世なら東京ビッグサイト東3ホールの壁を埋めてるはずなんだって。ポスタ一もあるんだって。ほんとなんだ。
これからも元気よく幻覚を見ます。
大丈夫、イマジナリーフレンドはいくら作っても実質無害だ。


最後に、私信になってしまいますが即売会に参加してくださった皆様、委託として作品を寄稿してくださったお友達、そして応援してくれた方々ほんとうにありがとうございました。この度のことはすべてみなさんのおかげです。
どうか皆様、今後とも健やかに趣味活動が出来ますように。 あなたの推しカプにさちあれ。

https://twitter.com/rokuta456/status/1205732055964741632?s=09



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