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自分が関わったゲーム開発ドキュメンタリー書籍と、その登場人物との不思議なめぐりあわせがあったというアイマスの個人的な思い出話

アイドルマスター15周年を迎えるということで、黎明期のことを思い返して何か書こうかな…と。何年か前にTwitterとかで少しつぶやいたこともある話ですけど、あまり見てないと思われるので(苦笑)。

かれこれ20年近く前のお話なのですが、当時出版社で書籍編集の仕事をしていたころのお話です。そのときはゲーム攻略本や関連書籍を中心に手掛けていました。

そのなかで、2002年に1冊の本が世にでました。タイトルは「ゲーム開発最前線『侍』はこうして作られた―アクワイア制作2課の660日戦争」。2002年にスパイク(現在のスパイク・チュンソフト)から発売されたPS2用ソフト「侍」を開発したアクワイア内部の様子に密着したゲーム開発ドキュメンタリー書籍です。ちなみに「侍」は後に「侍道」シリーズとして展開されます。その初代作になります。

書籍は絶版してますが、電子書籍としていまでも販売されています。

著者の新清士さんは当時ゲームジャーナリストとして活動していて。のちにIGDA(国際ゲーム開発者協会)日本を立ち上げたり、現在はVRゲーム開発会社Thirdverseの代表として、剣術が楽しめるVRゲーム「Swords of Gargantua」を手掛けています。

この書籍の編集を担当したのが自分になります。……といっても、新さんのほうでもともと取材自体がある程度進められていてて、当時の会社に持ち込まれて。それを上司が引き受ける判断をして、作業回りを自分が担当したという形なので、どちらかというと編集というよりは、お手伝いをしたという感覚ではあります。

ゲーム開発の現場の事情はだんだんとオープンになっていきましたけど、デスマーチ寸前までいったような状況までも含めて、生々しい状況が赤裸々に書かれていて、ここまで内部事情を明らかにしたのは、今でも珍しいのかなと思ってます。

そしてこの書籍は、ゲーム制作の現場を描いた「週刊モーニング」のコミックで、ドラマ化した作品「東京トイボックス」「大東京トイボックス」のきっかけになったと伺っております。

こうしたタイプの書籍は自分にとっても珍しかったですけど、勉強になるところも多かったですし、関わることができてよかったな…と思っています。

ここまで読むと、何がアイマスに関係あるの?と思われるのですが、話しはここからになります。この書籍の発行が2002年で、その2年後の2004年の話になります。

当時の自分は、アーケード版のアイドルマスターが発表されて興味を持つようになっていたんです。そしてアーケード版公式サイトには「スタッフの楽屋ウラ」という、スタッフや声優の方のコメントが掲載されているコーナーがありました(これは今でも見ることができます)。

そのなかで、あるときにシナリオを担当している方のコメントが掲載されたのですけど、それを見てびっくりしたんです。「本に出ていた人だ」って。書籍は何度も読んでいたので、ある程度登場している方の名前が頭にあったので、すぐにわかりました。

それが坂本正吾さんになります。アイマスシリーズを昔から追っている方はある程度ご存知なのかなと思いますが、フリーの立場でアケ版からその後のコンシューマなどのアイマスシリーズのシナリオに携わって。現在はCygamesに在籍されていて、最近だと、CEDEC2019におけるシンデレラガールズをはじめとするCygamesタイトルのシナリオについて講演した記事が話題になっていたので、ご覧になった方も多いのかなと思います。

坂本さんは、「侍」にもある程度開発が進んでいた途中で参加されて。本のなかでは、フリーのシナリオライターという立場ながら、混乱気味になっていた開発現場をうまくまとめていく助っ人ぶりが書かれていて、印象にも残っていたんです。当時、「侍」のスタッフの方とは直接お会いする機会がほとんどはなく、坂本さんにもお会いしたことはなかったのですが、本当にすぐ思い出しました。

で、

時期は細かくは覚えてないのですけど、アーケード版が稼働してからかなり後……何年か経過してから、縁あってお会いする機会があったんです。そのこと自体もとても嬉しかったのですけど、そのときの話のなかで、あの侍本を当時のアイマス開発スタッフが読んでいたようで、この本かきっかけで関わるようになったと坂本さんから伺いました。

全く知らなかったので、こういうめぐりあわせってあるんだな…と。業界は狭いといういい方もできるかもしれませんが、手掛けた本の中の登場人物の方が、後に自分がはまっていく作品に関わっている、それになんらか影響があったということを、あとからわかるという感覚は、なかなか味わえないな…と。そんな思い出でした。

気が向いたらほかにも書くかもしれません。