あの夜と彼の好きなところ①

会った時、いつもと違うなと思った。
というよりも、みんなといるときとはやっぱり違う。

グループでいるときは、完全に友達として接してくる彼。
2人でいるときは、まっすぐに見てくれる。

理性と本能の戦い。

いつも通り、夜ご飯を食べに行く流れになり一軒目へ。
地元ながらの少し奥まったところにあるご飯屋さん。

ビールで乾杯。カウンター席に座って触れ合う肩。

呑み足りなくて2軒目へ。
美味しいお酒にご飯でいい気分に。

アルコールが入ると距離が近くなる彼を、好きになる前は女たらしだと思っていた。
実際のとこなんてわかんないけど、友達でも距離は近かった。

寝ている振りをしていたら手を繋いでくるところとか。
一回りも二回りも大きい手とか。

頭撫でてくれるところとか。

彼がそんなに大きい手をしてるなんて手を繋いでみるまで全く知らなかった。

どこまでも優しいところとか、それを気にしているところとか。

ぎゅっとするのが好きなところ。
キスをするのが好きなところ。

お出かけ前にリップを塗ろうと思ったら、ちょっと待ってって言ってチュッてしてくるところ。

ちゃんと全部話そうとするところ。

人として好きって言ってくれて、好き以上って言ってくれて
口下手だからこそちゃんとまっすぐ伝えてくれるのが好き

たまに照れて、知らんぷりするところとか拗ねるフリするところとか、自分で気づいて慣れてないんだごめんって言うところとか

腕組んで歩いてたら急にこれ憧れだったんだよねって言ってくるところとか

家に入った瞬間に甘々になるところとか
疲れた時においでって言ってくれるところとか
思う存分ぎゅーさせてくれて

赤ちゃんみたいにとろんってなるところとか
悪口を優しく受け止めてくれるところとか

今でも、初めて彼に好きだと言った時のことを覚えている。
シャワーを浴びて、髪の毛を乾かした後に寝よっかってなった。
別々で寝るところを確か彼は、一緒にベットで寝ようよって言ったんだと思う。
ベットの中で手を繋いで、まだ友達だったからそのまま寝ようってなった。
目をつむって自分を落ち着かせていると、ずっとこうしたかったんだなと気が付いた。

友達から恋人になるまで、長かった。前日まで別になんとも思われていないんじゃないかって思ってた。
彼に好きになってもらった時を想像して、現実とのギャップを感じていた。

あの夜。一緒にベットに入ったとき、手を繋げたとき、これからするかもってなった時、いままでの想像が現実味を帯びていることを実感して、少しだけ信じられないような気持ちになった。

だから、迷いはあまりなかった。曖昧な関係にはしたくなかった。
「好きです」と伝えた。







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