第151回簿記試験2級が炎上。今回はやばいやつ。

何ヶ月ぶりかのnote!
仕事で日商簿記2級を受けなきゃいけなくて、ずっとほったらかしにしてました。
先日受験したんですが、現在も日商簿記のツイッターが炎上しているぐらいひどい問題が出て、大荒れに荒れてます。ネットニュースにもでているのですが、今回のやばさの本質がイマイチ捉えられていないと思うのです。

https://www.google.co.jp/amp/news.livedoor.com/lite/article_detail_amp/16077129/

今回の問題を簡単にまとめると、

1. 明らかに簿記検定2級のレベルと目的を逸脱した問題が出題された。
2.さらにその問題文中で、一般的でない誤解を招く年度標記がされた。

日商簿記検定2級のレベルについては、公式で下記のように発表されています。

経営管理に役立つ知識として、最も企業に求められる資格の一つ。企業の財務担当者に必須。 高度な商業簿記・工業簿記(原価計算を含む)を修得し、財務諸表の数字から経営内容を把握できる。 高校(商業高校)において修得を期待するレベル。

さらには、簿記試験の内容が実務と乖離しているとの批判を受け、より実務能力の理解を測る試験を目指していくと宣言していたところでした。

そこへ、今回の第151回簿記検定2級で、予備校講師をもって「二級では誰も解けない、会計として最高峰の公認会計士でも解けない」と言われる程の難問が出ました。簿記2級は相対評価ではなく、100点満点中70点をボーダーとする絶対評価なので、合格するためには、第3問を完全に捨てて、他で満点をとるような解き方をしなければなりませんでした。第3問は20点配点なので、実質80点満点中70点です。

とはいえ、他の問題は基本的な論点であったので、他を確実に取れれば難しいものの合格は不可能ではありません。じゃあ、結局一部難問はあっても、それらを解けなかった実力不足じゃん!と言われるかもしれません。しかし、違うのです!

上記のとおり、2級は高校生レベルで、せいぜい一般的な企業の実務で必要な知識を測るはずの検定です(実際は今回問題となっている連結会計など、ほとんどの企業で必要ない知識だとは思いますが)。
しかし、それなのに、明らかにそのレベルを逸脱するような、誰も解けない問題を出した。
確かに全5問あるうちの、初見の段階でその問題を限りなく無視する判断をし、部分点狙いでいけば合格も薄いながら可能ですが、それって知識じゃなく試験テクニックです。実務の会計知識を測ると公言しておきながら、何のための検定なのか。

確かに合格には試験テクニックも必要です。ですが、実務知識の理解を公言していた検定側が、ルール外の試験テクニックが必要な試験問題にしてしまっては完全アウトです。

さらに付随して、その問題中で、誤りと見える奇妙な年度標記をしてしまった。年度標記は回答に影響するので、下手すれば誤問題として問題自体が成立しなくなってしまう。
それについては、日商簿記側が2月25日に公式見解を出しています。こんな風に見解を出すとは異例のことだと思う。それが完全にやらかしてしまった見解文章になっています。

日商簿記さんの見解をまとめると、

1.確かに一般的ではないけど、欧米企業や一部の企業ではそんな標記だからまちがいじゃないよ!
2.むしろ、問題が少し難しいから、配慮してそんな標記にしたんです。よく見ればわかるでしょ!

く、苦しい…。誤問題と言われたら大変だから全力で否定したい気持ちは想像できる。
納得はいかないけれども、こう言われてしまっては、年度標記に明文規定はないから、絶対に納得はいかないけれども誤問題とまでは言えない。

しかし!

基本的な会計知識を測るはずの二級で、何故欧米企業と一部の企業しか使わない、ただただ混乱を招く標記を、全151回の歴史の中で急に使ったのか。今まで言ってたこととやってることが全然違うじゃない。

配慮して敢えてそうしたんだっていう言葉がまたなぁ。100歩譲って配慮の気持ちがあるのなら、やり方もっとあったでしょうに。誤標記を完全否定したい気持ちが出てしまったんだと思うけど、受験生側の気持ちを一切配慮しない対応で火に油をそそぐ。商工会だなぁって感じ…

まぁ標記なんてチェックどうなってんのよぐらいで本質のところではなくて、難問どころか、対象者が誰もまともに解けないような問題を出し、試験そのものに対する信頼が大きく毀損されてしまった今回は本当にまずいと思います。

もともと、2級の合格率は、高い時は50%近くから直近の14%程度と回によって大きく乖離してて、問題の運で合格率が大きく左右されるって、もはや検定試験としてどうなのよってレベルでした。

直近の低合格率を見るに、日商簿記側は問題をただただ難しくして難関試験にしたいのでしょう。二級なのに14%てどんな難関試験よ…

しかし、今回はやりすぎた。
3月4日が結果発表なので、日商簿記側は少なくとも4日には試験の狙いを講評すると思われます。

ニュースでは、救済措置うんぬんの話がでてますが、恐らくないでしょう。なぜなら、誤標記うんぬんではなく、二級レベルにそぐわないルール違反の理由で第三問を没問題にした場合、ボーダーを下げるどころか、そもそも試験として成り立ってないということで返金問題になりかねません。実際、全5問のうちの第3問でひっかかって、以降の問題ができなかった人が山程いるでしょうし。
返金なんて、方法もそうだけど何億という受験料の中で影響でかすぎて実際問題無理。

一体どうやって対応、説明するのでしょうか。
適正なレベルの試験だったと突っぱねるか、一番可能性が高いのはしれっと何事もなかったかのように終わらせるかですが、誰もが納得しないでしょう。

受験生は検定側が出すルールの中で勝負するしかないのに、ルール無視なんでもありの検定なんて誰が頑張って受けたいですか?
たた、権威のある大組織の、殿様商売の試験なので恐らくなぁなぁで終わる可能性大ですが…だって私も含めて、日商簿記を会社等から指定されていて嫌でも受けなきゃいけない人達が大勢いるんだもの。

決して少なくないプライベートの時間と受験料を払って真剣に受験に臨んだ受験生たちへの想いが感じられない見解文章を出してしまったのは本当に取り返しのつかない事です。
受かってる受かってないは別として、ひとまず受験者としては公式の見解を注視している状態ですが、こんな一大問題の試験に当たるなんて、嫌だけど持ってるなぁ…

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