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ウマ娘リリース延期はパワプロ特許切れを狙ったのか

はじめに


擬人化した競走馬を育成するCygames開発の育成シミュレーションゲーム『ウマ娘プリティーダービー』(以下ウマ娘)。 

このゲームをプレイした人間の多くが感じているであろう事がある。
このゲームの育成システムが『実況パワフルプロ野球』(以下パワプロ)のサクセスモードと酷似しているのである。

 この点についてTwitterで検索すると、次のような情報が出てきた。

この方のツイートによると、パワプロ関連の特許は2019~20年の間に切れているようだ。

時を同じくして、ウマ娘アプリはクオリティ向上を目的に2年リリースを延期している。

ゲーム配信延期に関するお知らせ
2018.12.15 13:10
ゲーム『ウマ娘 プリティーダービー』は2018年冬の配信開始を予定し開発を続けてまいりましたが、
このたびさらなるクオリティ向上を目指し、配信予定を延期させていただきます。
(引用:https://umamusume.jp/sp/news/detail.php?id=news-0119)

この2年の延期期間中に上記ツイートのコナミ特許が切れていることから、

「ウマ娘のリリース延期は、コナミの特許切れを待つためだったのではないか?」

と言った噂がTwitterやまとめ記事で広く散見された。
この噂の真偽が気になったので、上記コナミの特許についてネット上で調査してみた。

特許権が切れたパワプロ特許について


 前項で引用したツイートの特許の詳細は以下の通りである。

特許番号:特許3343099
出願番号:特願2000-064115
出願日 :2000/03/08
特許権者:株式会社コナミコンピュータエンタテインメント大阪
発明の名称:キャラクタ育成制御プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体
(引用:特許情報プラットフォーム)

この特許はどうやら『パワプロクンポケット2』に関連する特許のようで、『主人公キャラクタに所定の行動を実行させて、複数の能力をアップさせ、キャラクタを育成する制御プログラム』について記されている。

上記内容だけ見れば、ウマ娘はこの特許を侵害しているようにも見える。
しかし、詳しい内容を確認すると、ウマ娘は複数の点でこの特許を回避していることがわかる。詳細は以下の通りだ。

【請求項1一部抜粋】
・・・各場面を含む地図をモニタに表示し、該モニタ上で第2操作部材により各場面を選択可能にする場面変更処理手段と、

パワプロクンポケットには、地図で行先を選択し行先で行動を選択するモードがあり、これについて述べていると考えられる。

一方ウマ娘には、地図を表示するというシステムは存在しない。

・・・主人公キャラクタに対し体力に対応する指数を行動結果に応じて増減させ、体力指数が所定の閾値まで低下すると、育成失敗として強制的にゲームを終了する体力指数管理手段と、

パワプロクンポケットのサクセス戦争編では、体力がゼロになることで主人公が死亡し育成失敗となる。

一方ウマ娘では、育成失敗の条件は育成目標(例として〇月に〇〇レースで1着を獲るなど)の未達成のみで、体力値の低下が直接的に育成失敗に繋がることはない。

・・・前記行動結果の良否に応じた加減点は成功確率が低い程、増値が大きく、減値が小さくなるように設定する確率設定手段と、

ウマ娘では、トレーニング成功確率が能力上昇値に影響を及ぼすことはない。(と考えられる。)

以上の点で、ウマ娘は本特許を回避していると考えられる。
 (ちなみに、特許権侵害の判断において適用される考え方として『均等論』なるものがあるそうなのだが、これが適用されるか判断をつけることはできなかった。)

よって、わざわざこの特許のためだけに2年もリリースを延期する必要があったのか、と問われると少し疑問にも感じる。

ちなみに、リリース延期期間中(1998年12月~2001年2月23日)に期限切れとなった他のコナミ特許も確認したが、ウマ娘のシステムに近しいものは見つけられなかった。

コナミ特許

まとめ

今回の調査の結果、確かにウマ娘のリリース延期期間中にパワプロ特許が切れていることが判明した。しかし、リリース延期が必要なほどに特許内容がウマ娘のシステムと一致しているとは考えにくかった。

ただし、均等論というものが適用される場合は、特許切れの期限がリリース延期に影響を及ぼしていた事も考えられる。

また、どうあれウマ娘のシステムの大枠はパワプロと一致しているため、
効力の切れた特許に限らず、いまだ有効なパワプロ特許の中にもウマ娘のシステムが一致するものがあるかもしれない。

最後に

なんだかんだ述べてきたが、結局のところコナミが特許侵害を訴えない限りは、特許侵害とはなりえない。

なので私も、コナミの訴えがない限り、ウマ娘のパワプロっぽいところは『パワプロのパロディ』として楽しんで行こうと思う。

↓パワプロでお馴染みのダイジョーブ博士

↓そして、ウマ娘で低確率で登場するあんしん笹針士。ワオ、あんし〜ん☆(特許的に)

終わり。

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