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【憲法改正なくして岸田首相再選なし】

メルマガ「週刊正論」令和6年3月26日号

岸田文雄首相は今年9月までの自民党総裁の任期中に憲法改正実現を目指すと繰り返し表明してきた。
もちろん実現を強く望むが、最近は党内の保守派の支持をつなぎとめるための単なるスローガンとなっているのではない
か。掛け声だけで何ら指導力を発揮しないと、とても9月までに改正は実現しない。
岸田首相は3月17日の自民党大会で「党是である憲法改正について、総裁任期中に実現するとの思いの下、今年は、条文案の具体化を進め、党派を超えた議論を加速してまいり
ます」と述べた。
憲法改正の国民投票を9月に実施しようとすれば、最低60日間の周知期間を設けることになっているため、7月には改憲案の国会発議を行わないと間に合わない。
日程的に限られていることは百も承知のはずなのに、なぜ首相は「今年は、条文案の具体化を進め」と語ったのか。改正の条文案をまとめるのは「今年」ではなく3月中でもないと、とうてい今国会での発議はできない。
岸田首相は1月30日の施政方針演説でも、憲法改正について「自分の総裁任期中に改正を実現したいとの思いには変わりはなく、議論を前進させるべく最大限努力したい」と強
調していた。だが、これまで首相が条文案をまとめるよう党側に強く指示することはなかった。自民党派閥の政治資金パーティー収入不記載問題への対応に追われていたためだ。
衆院憲法審査会は今年に入り一度も開催できない状況が続いている。
岸田首相は9月までに憲法改正が実現しないと見越して、「今国会中」ではなく「今年」と表現を後退させたのではないかと疑念を持たざるを得ない。
岸田首相は党大会での挨拶の中で、憲法改正について述べるのに先立って「わが日本は極東の小さな国」と表現した。
なんという認識違いをしているのか。日本は明治維新前や敗
戦後は「小さな国」だったかもしれない。憲法が制定された時、米国が世界を取り仕切っていたから「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない」との条文ができた。
今や米国の影響力が低下し、日本は自らの防衛能力を高めなければならない。日本には「世界の大国」として米国などと協力して専制国家に対抗していかねばならない責務がある。
そのためにも憲法改正は必須なのである。憲法改正という「公約」を実現できなかったら、岸田首相に総裁再選の資格はない。