ゆりかごのなか



ゾウの足音

どっし どっしと
大地を踏みしめる 音がする

彼らは たしかに
足の裏から沢山のことを感じている
大地の声を 聞いている


木の根は しっかりと大地を抱き
水を求めて 深く深く
根を下ろしてゆく

膨大な情報を伝達し 保持しながら



私たちは何処へでも行けるのに
自由に この広い地面を
歩き回れるのに

何故 大地から離れてしまったのだろう

いつから あんなに沢山のものと繋がっていた
回線を切ってしまったの



いつでも木陰を貸してあげる
疲れたら休んで良いよ

ケガをしたら私の葉を使って

喉が渇いたら私の実を食べてね

その代わりに
私に微笑みかけてちょうだい

たまには あなたのお話を聞かせてくれたら嬉しいな



いつも 誰かがあなたを見ているのよ



ほんの少し 視線を上げて

耳をすませて

深く 息を吸ってみて

沢山の いろいろな
言葉が聞こえてくるから



この世界中 何処にいても
あなたは決して

ひとりぼっちにはなれないのよ



私たちが 誰かが
見ているし
語りかけているから

いつも いつも
語りかけているから

沢山のあたたかい眼差しが
あなたを包んでいるの

そのことを 忘れないで欲しいな



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