ペトログリフ



「されど 我 そなたらを愛す
 我 唯 この世界を愛す」

 深く彫り 高く建てた
 石碑に綴った言葉





あなたが何を言っただとか
あなたが何をしただとかは
全くもって 問題ではないのです

そのような 薄皮のような
表面の話をしているのではありません

あなたが私に
どんなに罵詈雑言を投げつけたとしても
どんなに傍若無人な行いをしたとしても

それは 気にも止めないこと


私には あなたの中心の 本当の輝きが

眩いばかりの
色彩が見えているから

一番 深く
奥底に 隠れている
無垢で純白の 煌めき
が確かに 見えるから

それだけを 本来のあなたとして
扱うのです

表面を覆っている泥や
重苦しい鎧
それらは あなたの本質ではないと
本質とかけ離れたものだと知っているから

あなたの失敗も 恥じている過去も

少しもあなたを損ないはしないのです


あなたの光炎を遮りはしても
吹き消すことは 決してできない
そのことを 知っているから



どんな悲惨な出来事も 残酷な歴史も
いくつもの可能性と希望に変わる種を
落としているということ

そして、その種は 時を経て
黄金の花を咲かせるでしょう

必ず 必ず 咲かせるでしょう

地に落ち 枯れ果てた葉や花ばかり見て
天空を 晴れやかに舞う 種を見落とさないように

すべて まるく収まる
その時を 気長に待ちましょう

その日は 約束されているのだから

喜びも 苦しみも 悲しみも うれしさも
すべて混ざり 溶け合って
美しいマーブルになり
光にとけてゆくのだから

様々な色がまざって
ひとつのハーモニーを奏でてゆく

その 神々しいまでの音色が
あなたには聞こえませんか








これが
何故あなたはそんなに動じないのか
人を信じられるのか
この世界を肯定できるのか
という、問いの答えです




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