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SFショート

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黄瀬が書いた、空想科学のショートストーリー
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2022年4月の記事一覧

落花

 落下。それは途方もなく救いがなくて、  でも、どうにもならない現実がその時だけは見えなくなって、  ただ、自分のことしか考えられなくなって、  安堵する。そんな一瞬だ。 * (この作品は三月の下旬に書かれました!) *  一周まわって帰ってきた春が、ようやく手の届くところまでやってくる。  それは、古い記憶のように柔らかく不透明で、  まだ乾き切らない洗濯物みたいな、  ぼんやりとした感触だった。  桜の幹に手を押し当てる。  バラ科の植物は、基本的に寄り