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SFショート

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黄瀬が書いた、空想科学のショートストーリー
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2021年8月の記事一覧

サイダー

 眠り続けて18年。起き抜けはサイダーと決めていた。  小さいころは、舌が痺れて味がよくわからなかったサイダー。  後味だけが甘くて、余計に喉が渇いて、それでまたちびちび飲んだ。  あの刺激が大人っぽくて、格好つけられるとなんとなく思っていた。  そして、いつか、これの本当のうまさがわかるようになると思ってコツコツ飲んでいた。  大人がうまそうにぐいっと飲み干すビールを見て、わたしもあんな風にサイダーを飲みたいと憧れた。  強烈な炭酸刺激のせいで、少しずつしか口に