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SFショート

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黄瀬が書いた、空想科学のショートストーリー
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2021年5月の記事一覧

かるふわ

たくさん。 降ってくるのは、いんせき。 これが明晰夢なのは理解。 隕石夢。 落ちる。 わたしの目の前に、ひとつ、ふたつ。 みっつめ。 足許は塩湖、のような鏡面。 ぼちゃ。 と隕石衝突。 同時、 重なった塩の層、もりあがる。 こじんまりクレーター。 イマジン。 奏でられるコード。 イマジネーション。 メモリー。 細かな隕石を想う。 雨のように隕石。 わたしの髪が、 憧れだったふわふわヘアにはやがわり。 髪に絡む、隕石。 髪、石、髪、

溶解して

理知的なひとが好きだ。 おでこが白く広くて、 それを証明するみたいに黒髪があでやか。 立ち振る舞いには、 若干の理詰めが感じられるひと。 * 「ザゼンソウって花があってね」 窓辺に座った君がふと云う。 桜も散った春の午後、 新緑と太陽光が 一緒になって増加する季節。 初夏へ向かう一歩目みたいな日々なのに、 まだ外は冷えている。 窓から飛び込む日差しに含まれた一抹の冷ややかさがそれを教える。 「暖かいの」 君から発せられたそれは、 前の文脈とまるでか