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最強開運日に何しよう?

2023年3月21日。

この日は、
何事を始めるにも良い日である「一粒万倍日」
この日に始めたことはすべて成功するとされる「天赦日」
そして、
出て行ったお金を呼び戻してくれるとされる「寅の日」

そんな事を、彼女が友達から聞きつけてきた。

こんなにラッキーな日はない!様で、
お財布を新調すると、モノすごく御利益があるらしい。

そんなに興味はなかったんだけど、
たまたま寄ったショッピングモールの鞄屋さんでも、
大々的ではないんだけど、
確かに、お友達と同じ事、言ってる。

(コレも何かの縁かもしれないなぁ。
 今年は“まず行動!”がモットーだし…)


なぜか、そんなに悩まなかった。

せっかくなので、
これまで使ったことのない長財布にしてみようかな。
お金には居心地がいい、って聞くし。


「せっかくだから、お財布、変えちゃおうかな?」

「あぁ〜。信じちゃった?いいんじゃない?
 そのお財布、だいぶ前にあげたやつだよね?」

「せっかく、ピロちゃんから貰ったものだし、
 そんなに傷んでないから、どうかとも思ったんだけど…」

「いいじゃん、いいじゃん」

「しかも…使ったコトない、長財布に(照)」

「なんか、気持ち的にもお金持ちになった感じ」

「いゃ、まだ、買ってない(笑)」

「(笑)」


長財布。

初めて、なので、新鮮だし、
お財布の使い方もこれまでより、すこし丁寧になった気がする。

お札は曲げて入れないし、
小銭も、カードもなるべく入れない。

(お金に対する意識がちょっと変わった、かも)


そんな感じで過ごす事、半年。


ソレは突然やってきた。


退職金という形で。




突然の退職宣告…

最初は、頭の中、真っ白で、何が何だか分からなかったし、
(なんで、オレ…?)
という思いもあったけど…

よく分からないまま、家に着き、
鞄を整理した時に、ふと長財布に手が触れる。


(そっか…)

(でも,なんて言えばいいのか…)

悩んでてもしょうがないので、
夕飯が終わった後、ピロちゃんに切り出してみる。


「ちょっと話しがあるんだけど…」

「ナニナニ、改まって。旅行行っちゃうとか?」

「まぁ、それもいいんだけど…」

「ナニナニ?」

「いい話しと、悪い話し、どっちから聞きたい?」

「そりゃ、いい話しでしょ」

「やっぱり?そうなっちゃう?」

「ナニナニ?」

「…う〜ん…ちょっとだけ、まとまったお金が入ることになった…」

「え〜、なんで、なんで?ようやく宝くじでも当たった?」

「いや…」

「ナニナニ。なんか、嬉しそうじゃないじゃん」

「まぁ、ね」

「なんのお金?」

「…」

「ナニナニ?!」

「…退職金…」

「…よく分からないんだけど…悪い話って…」

「ゴメン、クビになる…」

「・・・えぇ〜!!!」

「だよね、オレも、えぇ〜!!!だよ」

「なんで? なんで???」

「いゃ、オレもよく分かんないんだけど…」

「聞かなかったの?理由…」

「聞いたけど、さぁ。
 まぁ、事業環境がどう、とか、本当は必要なんだけど、ナンダとか、
 通り一辺倒な感じで…」

「いゃ、よく分かんないんだけど…」

「…オレも…」

「…」

「…」

「何か、やらかしちゃった?」

「ソレは…ないと思うんだけど…
 この前の出張だって、まぁ、上手くいったし…
 強いて言えば…
 上司に、方針変更について、
 『きちんと、背景やあるべき姿を説明すべきだと思います』
 と言った…ぐらい?」

「そんなコトだろうと思った…」

「いゃ、そんなんで、クビにする?
 言いたいコト言えない職場、ダメでしょ」

「まぁ、そうだけど…アナタのは、ちょっと正論すぎるの。
 なにより、ソレが一番カチンとくるんだから」

「そうかもしれないけど…」

「…」

「…」

「で…?」

「う〜ん…多分、クビっていうのは変わらないだろうから。
 まぁ、退職金も出るって言うし」

「えぇ〜!受け入れたの!!!」

「返答はしてないんだけど。そもそも、どうするか聞かれなかったし…
 ただ、なんとなく、さ。
 ウチに帰って、お財布に触ったら…
 あぁ、コレが持ってきてくれたのかなぁ…って」

「いや、メッチャ前向きだけど(笑)
 会社、辞めさせられちゃうんだから、ね!」

「分かってるケド、さ」

「どうするの?これから…」

「・・・」

「何も考えてないのに、辞めるの?」

「まぁ、ラーメン屋でも始め・・・」

「ダメっ!!!!!」

最後までお読みいただき、ありがとうございました。 これからも、よろしくお願いしますっ!