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4-9

「お、バシ君!」
「あっ、佐藤さん、チワっす」

ある日の日曜日、
野毛の入口でサブちゃんと、たまたますれ違う。

どうやら、競馬で負けた…らしい…
少し機嫌が悪い。


「こんな偶然ないからな。何も用事ないなら、飲みに行こうや」

「あれ、帰るトコだったんじゃないンすか?」

「全然当たらないからよぉ…もう5レース目で帰ってきちまったよ」

「あらら、残念でしたネ」

「まぁ、いいや、とりあえず、行こうヤ」


と、
そのまま飲み屋に拉致される…


なぜ、桜木町に来たのか忘れ、
飲み屋で競馬中継見ながら、1杯,2杯…


ウズウズしてきたのか…


「今からなら、ギリ、最終レースに間に合うな。
 バシ君にバッタリ会ったってのも、何かのアレか?行くか?」

(って言うか、行くんでしょ(笑))


そして,
WINSは、今日も混んでる(笑)


「えっ、予想紙、捨てちゃったんですか?」

「当たり前だろ、そんな当たらないモン、
 いつまでも持ってる訳、ないだろう!」

(アチャー、何も、参考にするモノ、ないんかいっ)


(いやいやいやいや…
 サブちゃん、そんな捨ててある予想紙、もっとツキないって(笑))


「バシ君、決まったんか?もぅ、オレは決めてあるよ」

「…あぁ、はい」

「じゃ、さっさと買って、飲み直しダ!」

「了解!」


「乾杯っ!」

「ギリ、間に合ったナ。ちょうど最終レースだ。バシ君、何買ったんだ?」

「4...9...デスね」

「えっ、何で?そんなの絶対来ないだろ。
 しかも、馬単じゃないの!
 かぁ...
 で、いくら突っ込んだの」

「いやぁ、まぁ…取り敢えず、1,000円?」

「バッカだなぁ。何で、オレに相談しないんだヨ」

(ん…そんな雰囲気、なかったでしよ?(笑))


「オッシャァ、スタート!ホラ、コイっ!
 2,12,7!  2,12,7 !!!・・・」

   ・
   ・
   ・

「えっ、4-9きてるよ、
 バシ君、4-9だよ、4-9、4-9、4-9ぅっ!!!オッシャァ!!!」


「いやぁ、お前、よくそんな馬券、買ったなぁ。
 普通、買えねぇゾ。その目は」

「いやぁ…まぁ…なんと…なく…?」

「まぁ、いいや、今日は景気良く、やろうヤ!
 で、いくらついた?」

「50チョイ…デスねっ!今日は奢りますよぉ!」

「お、いいねぇ。他には何買ったんだ?」

「いや、コレだけ」

「ったく…マイっちゃうな、バシ君には…
 デモよぉ、“来るっ!”と思ってんなら、
 5,000円とか、10,000円ぐらい突っ込まないと」

「いやいや、5万になれば十分でしょ」

「おいおい…そんなんじゃ、ギャンブラーにはなれないゾ!」

(いゃ、そもそも、ソコは目指してない…(笑))


散々飲んだ後、
お会計しようと思ったら…


「バシ君さぁ、その馬券、売ってよ」

「?」

「だって、換金しに、また、わざわざ来んの、面倒だろ。
 オレがやっておくから」

「はぁ」

「53,200円?じゃ、55.000円でいいか?」

「いゃ、全然、いいですけど…損してんじゃないですか?」

「大したコト、ねぇって。じゃ、決まり。
 金は...今、ねぇ、ナ...
 じゃ、明日、会社で」

(???)


その後、
サブちゃんは、例の馬券で、
家族に、そして職場で、自慢してたらしい…

「コレは中々買えないでしょ!馬単で!」


で…
3ヶ月経ったある日…

「バシ君、あれから、ずっと4-9買ってるけど、全然来ないぞ!
 どうなってんだ?!!」

(いや、そんな、毎回、同じ番号は来ないって…(笑)
 今まで、どんな買い方してたの!(笑))

「まぁ、その…もぅ、4-9の時代は終わったんじゃないですか?
 今度は…そうだなぁ…8-5でも買ってみれば?(笑)」

「ナンダ、そりゃ」



「バシ君、来たよ。昨日の最終、8-5」

「ゲっ、マジっすか?
 もしかして、オレ、なんか才能とか、能力、ある感じです??!」

「いやぁ、そりゃないダロ。ド本命だったから。
 そういうのが欲しいんじゃないんだよなぁ…」

(いやいや、そういうコトじゃなく…(笑))

「じゃ、あんまり儲からなかったデスね」

「いや、8-5では買ってないから」

「あらら、そうなんですか…(ちぇっ)」

「だから、そんなド本命、買わないって」

「そんなもんですかね」


「だから…(ニヤリ)
 バシ君の予想がど本命で、“コリャ、絶対来るなぁ”と思ったから、
 ソコに大穴ぶつけて3連単にしたのよ。
 そしたら、来た来たっ!来たっ!!!」

「ま、マジっすか!?」

「まぁな」

「いいですねぇ。で、いくらついたんです?」


「…言えない(笑)」


「ゲッ(ま、マジか!)」

「まぁ、今度、肉でも鮨でも、好きなモン、奢ってやるよ(笑)」

「じゃ、遠慮なく。アザーっす。
 それにしても、オレ、なんか持ってるんですかね?やっぱ」

「いや、だから、ド本命だったっ言ってんだろ…ナイナイ」

(だから、そうじゃないでしょ…(笑))


でも、
なんだかんだ言って、
サブちゃんは、毎週末、ボクの予想を聞きに来る。

2着までだけど…



最後までお読みいただき、ありがとうございました。 これからも、よろしくお願いしますっ!