世界との距離感と、自分の仕事

前回の記事(世界に触れたいのか、世界を見てたいのか)で、自分で未来を作る(変える)のではなく、未来を正確に見れるようになりたいと書いた。

ただ、昔からそういうタイプだったかと言うと、たぶんそうではない。アラン・ケイの「未来を予測する一番の方法は、自分でそれを作り出すことだ(The best way to predict the future is to invent it.)」というメッセージには、昔はかなり共感していた。ちなみに、前にいた会社では、四半期ごとに社長が行う社員向けプレゼンの中で、アラン・ケイのこの言葉が必ず紹介されていた。

僕が「未来を見る」方に楽しみを覚えだしたのは、製品開発の仕事から特許(知財)の仕事にキャリアチェンジしたことがきっかけだと思う。

多くの人が持っている特許のイメージは「自分が作ったものや考えたアイデアを真似されないように守る」みたいなことだと思うが、特許の世界で行われていることはもっと血なまぐさいもので「10〜20年後に当たり前のように使われている技術やアイデアに対して、それを使う権利の元締めに誰がなるのか」ということである。

「誰かが(あわよくば自分が)こういうの作ると良いよね」ではなく、「誰かがこういうのも作るだろうから先回りして権利を押さえておこう」というのが特許の世界である。僕は、この世界での仕事を通じて「(誰が作るかとは完全に切り離して)未来がどうなるか見ようとする」ようになった気がする。

最近、明治大学のCOI-Tシンポジウムで久々にロボットを作った。前職での開発案件と比べられるものではないのだけど、ひさびさに技術者っぽいことをした。前回の記事に書いた友人との会話もそうだが、最近の揺り戻し感が面白い。世界と自分との距離感、どうなっていくんですかね。

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