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位置エネルギーの充填

なんだか足りない。
足りないから動き回ってみる。
車で。じぶんのからだを使うにはすこしあつすぎるので、

車ではしるのは、とてもすきだ。
アクセルを踏めば前に進む、わたしは今だけどこにだっていけるような気がする。深夜の22号線、真夜中午前の23号線。ひたすら踏む、踏む、進む。踏む。
知っているような、しらないような景色はうしろに流れていって、すこしだけ不安になる。
不安は大きすぎるとからだに毒だけど、すこしくらいはあったほうがよい。

いつもはきかない、低音がずどん、ズドン、ズドオオオンと響く曲をかけてみたりする。

歌詞はからだに合わないけれど、運転するときはこれがよい。低音が、車の走行音と混ざって溶けてひびく

川を超える、何本目だろう。
橋上の景色がふわふわ流れ込んできて、知ってるまちの知らない景色をみつけた。

毎日生活している場所だけれど、こうやって知ってるまちの知らない欠片をみつけるたびに、まだ生きられるんだなあと。この先もこうやって生きていけるんだなあ、とおもう。

うまくことばにできない、

もっととおく、とおくにいきたい。
とおくとおく、ずっとずっとしらない場所までいきたいね。
位置エネルギーを充填すれば、きっと来週も乗り切れるからね。
動力が足りている間は、こころが、地球の重さに引っ張られてふかくふかくどこかに行ってしまうこともないからね。

だいじょうぶ。

きっとこの先もだいじょうぶだから、だいじょうぶになるように、どこかしらないとこ、いこうよ。

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