「充電器」

充電器が壊れた。

恋人だった。

それ故に、無くなって困るのは自分なのだ。

充電器がいない世界を考える。
真っ暗で冷たい世界だ。
楽しい音楽を奏でることもない。
明かりが灯ることもない。
そこは無の世界だ。

今の彼女とは3日前に知り合ったばかりだ。
兵庫の寒い山奥で、出会った。
みんなからは、安い女だと言われた。すぐにいなくなるとも言われた。
そんなことないと思っていた。
思っていたのに、、、

現実は残酷だ。

主人がお昼寝をしている間に彼女は突然いなくなった。
音も立てずにいなくなってしまった。
残ったのは、僕に繋がってる愛の供給のない金属の紐だ。彼女の愛は尽きたのだ。
認めたくなくて主人が起きてから、いろんな場所へ連れて行ってもらった。
キッチンの下。洗濯機の横。机の前。部屋の角。
彼女との思い出が蘇る場所ばかりだ。
出会って3日なのにたくさんの思い出がある。
主人はいつもギリギリで戦っているから、僕らはいつも支え合っていた。

本当に突然だった。
主人とどこを巡っても彼女からの愛は僕には届くことはなかった。

短いし、外見はダサいけど、愛は届いてた。
それだけは間違いないと思う。そう信じたい。


こいつと出会う前の女はいい奴だった、高級そうで、見た目もシンプルで良く、半年以上付き合った。
そいつとの別れの後の消えかけた灯火を繋いでくれたのもこの彼女だ。

僕は悲しみに暮れながら
捨てる時に言うセリフ界で殿堂入りしたであろう言葉「今までありがとう」を最後に唱え
主人に彼女の抜け殻をそっとゴミ箱に葬ってもらった。


それはそうと、
明日の午後には新しい女がくる。
次の女は僕と同郷らしい。りんごマークの国旗が光る。
とってもピュアで、いろんな人からの信頼もあるそうだ。

繋がるのがとても楽しみだ。
明日繋がる時のために、今は充電期間とする。と大きな声で宣言したい。
ややこしいことを言っている自信がある。

充電はされていないがそれが充電期間なのだ。

次の彼女とは長く付き合っていきたいと思う。

#僕はiPhone7
#Apple純正の充電コード買った

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