[Bookmark] プロジェクトは失敗するものである、という英国人の思想 : タイム・コンサルタントの日誌から

“プロジェクトというものは放っておくと失敗するものである”という思想が根底にあるのだそうだ。まあ、たしかにこの「自虐的」規定の仕方は、いかにも英国人風である。だが、彼らが確立した立憲君主制や三権分立制などに見られるように、制度設計というものは、“放っておくと失敗する”という発想をベースに考えた方がリスクが小さいのである。
マネジメント標準というのは、それに従っていれば万事うまくいく、というような魔法の教科書ではない。せめてこれぐらいは知っておいた上で、自分の仕事にあわせて取捨選択しろよ、という体系的な道案内の書である。それを読むには、読み手のインテリジェンスが必須である。
ところで、このインテリジェンスというものは、知識や法則や論理的演繹といった、「頭の良さ」だけではないらしい。むしろ、自分はまだ一度も歩いたことのない道なのに、この先に何かがありそうだと察知するような能力のことを、インテリジェンスとよぶのである。わずかなデータしかないのに、何だか価値がありそうだと気づいたり、ヤバそうだと感づく嗅覚のような能力--それこそが、プロジェクトという深い森の中を正しく導く、導き手なのである。
だからインテリジェンスというものは、こまったことに、経験によって深まったり、逆に鈍ったりする。自分がいかに何も知らないかを分かれば、深まるし、なあに所詮こんなものよ、と知ったつもりになれば、逆に能力は鈍るものらしい。単なる経験年数ではない。経験から、何をどう学ぶか、なのである。

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