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全てを知った。

「もし、めちゃくちゃ綺麗な星空を見たらまず最初に誰に言う?」
「え〜そうだな…多分、お前かなぁ…」
 
 えっ…と驚き目を見開いたままこちらを見ているアホズラパーマメガネは何か言いたそうに口をパクパクさせている。しかしそこから音は出ないようだ。
 そんなに俺は変なことを言っただろうか?
 言った気は無いのだか…
「ほ、本当に?」
「だって、ほら、お前ならどんなに深夜でもライン送れるなって思ったから」
「あ、たしかに」
「お前が一番気楽だしな」
 綺麗な星空ということは夜中の方だろうし、深夜に連絡を取るならお前しかいないと思った。ただのそれだけの事なのに。
「へぇ〜オレなんだ、オレで良いんだ」
 ニコニコとただ嬉しいそうにこちらを見つめ続けてきたいる。
 照れくさいからやめて欲しい。恥ずかしい。いつも通りのネタ合わせだと言うのに、今日はなんか少し気まずいぞ…
「何がそんな嬉しいんだよ」
「えぇ〜?聞いちゃう?」
「なんだよ、もったいぶんな」
「綺麗な景色を1番に言いたい相手っていうのはね」
 ここまで言っておきながらこいつは勿体ぶる。どうしようかな〜とか、知らない方がいいのに〜とか、ここまで言っておきながら何を言っているんだ。
「いーえーよー!」
「一番好きな人なんだよ?」
「は?」
「綺麗な景色を最初に伝える相手って、一番好きな人なんだってさ」
 言葉を失った。
 日差しが入りこいつの顔に影が入る。
 いつもより真剣な眼差しで見てくるこいつの顔はこんなんだったか。捕食者のような鋭い視線。吸い込まれてしまいそうで、時が止まったかのような。
 喉が渇いてしまった。

ここまでスクロールしたならスキを押してもいいと思うんですけど、どうです?