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20230907-夜が明けたら、いちばんに君に会いにいく

(ネタバレを含みます)


お友達の感想を聞いて気になったので見に行ってきました。本当に予備知識ゼロ。
凄く久しぶりに映画館で邦画を見た、良い時間を過ごせた。
以下、まとまりのない感想などです。



◆◆◆

映画を全然見ないので最近は全部そうなのかもしれないけど、とにかく映像と音楽が凄く綺麗だなあと思った。
主人公の青磁くんが絵を描くのが得意、特に空の絵を描くという設定があるからか、凄く空の描写が綺麗だった。
場面の切り取り方が映像というより、写真を繋げて見ているってくらい一つ一つが画になってた印象。
キャストが綺麗とかそういう視点ではなく(言うまでもなく2人とも綺麗)、アングルや小物や色彩が凄く綺麗だった。
バス停のシーンや、初めて二人があがった屋上のシーンが印象的、茜が自室で身支度をするところはジブリみたいで可愛かった。
逆にこれだけ綺麗な映像だと、原作小説ではどんな風に表現されていたんだろうと気になった。



絵を描く理由が「手に入れられないものを手に入れる為」という理由、かっこいいけどまさかそれが茜、、、?と思いながら見てたら本当に「茜さんの笑顔」でびっくりした。そんなべたべたな展開、、あるんですね、、、!(?)
満面の笑みを見せる茜を手に入れられた青磁くんはきっと茜のことは絵に描かないんだろうなあ。可愛い。

ずっと茜に突っかかってくるのも、序盤から真剣に茜と向き合い続けてるのもわかるし、ずっと片思いなんだーと思うと2回目はニヤニヤしながら見てしまいそう。


◆◆◆


個人的には茜の"良い子"の描き方が結構胸に来るものがあった。
ただヘラヘラして回りに流され、自分が無いとかでなく、"自分にできることは一生懸命やる"っていう描写が特に刺さった。
やることを書き出して計画的に勉強をする、内申をあげる為に学級委員長も頑張る、表面的には優等生に見えるし、誰もが出来ることじゃないからこそ、茜の苦しみは周囲に伝わりづらい。
自分なりの頑張りをやっても茜は勉強もあまり伸びず、内申ばかりでは駄目だよと先生に言われてしまう。
真面目さが報われないのは方法が悪いとかそもそも目標が高いとかあるけど、それが見えないのも受け入れられないのも、思春期の辛さだと思って見てた。


家族のシーンも、他人から見ればバリキャリの綺麗なお母さん、ご飯が上手な優しいお父さん、可愛い妹っていう図にしかならないから、やっぱり茜の苦しみが周囲に分かりづらい。
一見すると恵まれてるし、幸せそうだから、自分が我慢してるって感覚もあまり無いのではないかなと思った、それが見ててつらかった。

茜は何度も「大丈夫?」と聞かれるけれど、「大丈夫」としか答えない。
よく言われることだけど、大丈夫じゃない人には「大丈夫?」って聞いても響かないもんだよな、、と思った。


文化祭のリハーサルの後、青磁くんの絵を見てポロポロ泣く茜は、絵に感動して泣いたっていうよりも、感情の発露のきっかけが青磁くんの絵で、何か心がポキッと折れちゃったんだろうなと思った。

絵を見る直前の文化祭のシーン、できないなりに一生懸命やったにも関わらず、クラスメイトに「集合写真を撮って」と言われて撮る茜ちゃん。
集合写真に入れない、ただ一言「私もそこに入れて!」と言えばいいだけなのにそれも言えない。
本当にやりたいのは、友達の輪の中に入ることで、皆をサポートすることがやりたいことではない。
やりたいことと、やれること、実際にやってることがちぐはぐになる瞬間。自分では一生懸命やってるつもりでも、目的と手段が合わなくて、報われないと思ってしまう。
思春期でも、大人になってもそこを履き違えるとつらいなあと思うし、見てて胸がぎゅっとなった。
何が自分の中で楽しくて、幸せで、やりたいのか、大人になっても問い続けないと見失ってしまう。

泣いてる茜ちゃんに対して青磁くんが「ついてこい!」って言って屋上に向かうところ、
茜ちゃんが初めて青磁くんに引っ張られずに自分で動いて青磁くんについて行く描写で、
人前で泣いて少しだけ本来の自分が出てきて、能動的になったのかなあ~と思いながら見てた。
(全然違う、そんな意味ないかもしれないけど。)


茜ちゃんがお化粧するシーンがあるんだけど、冒頭ではあくまでも皆に嫌われない為の淡々としたお化粧って感じだったのが、
青磁くんへの気持ちに気づいた後には、同じようにまつ毛をあげてるシーンでも、好きな人に可愛く見られたいって気持ちが乗ってるように見えて、
見せ方かもしれないけど女優さんって凄いなあと思った。

「言いたくないことは言わなくてもいい」ってお友達のさやかちゃんが言ってたところ凄く良かった。1番良い子だと思った。友達になってほしい。

◆◆◆


青磁と茜、どちらに共感できるかなあと思いながら見ていたけどどちらにも共感できると思った。
私はいい大人で、言いたいことは青磁のようにはっきりと言えるようになった、
だけど茜のように仕方のないことだからと我慢していることもたくさんある。
(私は言いたいことを言って、我慢してない方だとは自覚している)


今日映画を見に行ったのは突発的だった。
それこそニコニコしながら当たり障りなく、良い人の振る舞いをしながらやる仕事、それに伴う人間関係が唐突に億劫になってしまい、出社してすぐ午後の休みを申請した。

何となくリフレッシュしないと引きずりそうな気がして、仕事の休憩時間に映画の上映時間を調べた。

今日は全部リフレッシュ!と決めたので、メイクも髪型もピアスも香水も、会社ではつけられないものを全部つけ直して気分を変え、映画を見て、美味しいご飯を食べた。


大人になっても茜ちゃんのような"良い子の振り"をせざるを得なくて、自分に日々折り合いをつけて生きているし、
だけれども、私の目から見えている景色は私だけのもの、という青磁くんのマインドはとても共感したし、今後も大事にしたい。
ずっとこの2つを行ったり来たりするんだろうなと思う。


自分の人生は自分だけのものであり、事なかれ主義で自分の感情を押し殺すことは自分の幸せを遠ざけることがある、ということを令和になっても映画で描くことってあるんだなと思った。
今の10代は多様性が浸透して、当たり前に自分を表現できているものだと思ってたけど、そうではないのかもしれない。
自分の幸せを問い、吐き出す時の悩みは、時が経っても不変的なのかもしれない思った。


最後になったけど、深川青磁くんっていう役名に負けない本名・白岩瑠姫はやっぱり凄いな、とスタッフロールを見ながら思った。
瑠姫くん映画主演おめでとう!



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