神葬回天クトゥルフィカ_第十六章~二十章
16.エンドパート
クライマックスパートが終了した後はエンドパートに移行します。エンドパートでは崩壊率は上昇せず、PCがアセットを使用することはできません。
エンドパートはバックトラックとエンディングで構成されています。
16.1.バックトラック
崩壊率が100%を超えたままシナリオを終えたPCはコラプサーとなり、ゲームから退場します。その為、PCはバックトラックを行うことで崩壊率を減少させる必要があります。
バックトラックは崩壊率を100%未満に抑えて日常に帰還するための、崩壊率の減少処理です。バックトラックを行う場合、全てのPCは以下の個数のダイスを振り、出た目の数だけ崩壊率を減少させます。
・「(ブレイクしていないリンケージおよびCリンケージの合計×2+アセットの効果)d10」
リンケージは六個、Cリンケージは一個まで取得できます。リンケージ全てがブレイクしていない場合、PCはリンケージ分で十四個のダイスを振ることができます。
このダイスロールを行った後でも崩壊率が100%を超えている場合、前述したリンケージのブレイク効果により崩壊率を減少させることができます。リンケージおよびCリンケージを一つブレイクする度に、崩壊率を「10」点減少させることができます。
ただしGMは、この時ブレイクしたリンケージおよびCリンケージを、バックトラック中であってもリテイクすることができます。
Cリンケージを含む全てのリンケージをブレイクしても、なお崩壊率が100%を超えている場合、エンディング終了後にそのPCはゲームから退場します。ゲームから退場したPCのキャラクターシートは、セッション終了時にGMに渡します。
16.2.エンディング
エンディングはトリガーシーンの一種です。ロールプレイを行うシーンとして扱います。エンディングでは、GMが認めない限りアセットを使用することはできません。
エンディングでは、シナリオの結果として、PCがどうなったかを演出します。リテイクされたエンゲージに合わせ、何らかの変化が生じたり、シナリオ開始時に与えられた【目的】を達成したことで得たものや失ったものについて語ると良いでしょう。
もし、バックトラックの結果としてPCがゲームから退場した場合、PCがどのようなコラプサーになるかを演出するのも良いでしょう。PCが変貌したコラプサーは基本的に強力であり、次のシナリオにおいて重要な敵として立ち塞がることになります。
エンディングが終わった時点でシナリオは終了し、アフタープレイを開始します。
17.アフタープレイ
PLに対する経験点の配布と、PCのリンケージの整理を行います。
経験点とは、シナリオを良い形で終わらせることができたことに対する評価点です。PLへの経験点は以下の表に基づき、シナリオ参加者の話し合いによって与えられます。GMへの経験点は、「PLへの経験点の合計÷3(端数切り上げ)」点となります。
+経験点表+
①PCがバックトラック後にゲームから退場しなかった:5点
②よいロールプレイをした:1点
③シナリオに最後まで参加した:1点
④プレイ場所の確保、および日程調整を行った:1点
⑤お互いにシナリオの進行を助けた:1点
⑥シナリオがエンディングまで辿り着いた:1点
⑦シナリオの目的を達成した:5〜10点の間でGMが決定、複数個ある場合は合計10点以下にすること
経験点を配布した後はリンケージの整理を行います。
まず、全てのPCのブレイクされているリンケージ全てをブレイク前に戻します。この際、リテイクされているリンケージをリテイク前の状態に戻すことはできません。
次にそれぞれのPCは、自身の所持しているリンケージおよびCリンケージの中から3つを選択し、それ以外のリンケージを全て破棄します。そして、選択したリンケージを新しいCリンケージ、およびシナリオ開始時に所持しているリンケージに設定します。
最後に、常備化や経験点の消費によりシナリオ開始時にPCが取得していて、なおかつシナリオ中に破棄されたアセットを全て再取得します。
18.ゲームマスター
以降の内容はGM用のデータとなります。
18.1.GM用の選択ルール
ここでは、GMが使用できる選択ルールについて紹介します。必要に応じて採用すると良いでしょう。
18.1.1.対話判定
"優しいエネミー"という問題があります。これは、人道的な行動を取る敵を倒すのは気が引ける、というものです。
基本的にコラプサーは知能を持たない獣、或いは邪悪な意識に動かされる怪物です。人間の理解を超えた法則に従う彼らは、最早人間の理性や知性で扱える存在ではありません。
しかし、PCがどうしても倒したくないボスNPCが出てきてしまった場合に使用する選択ルールが対話判定です。
メジャーアクションを使用して、GMの指定した目標値に対して〈対話〉技能を用いた判定を行い、目標値以上の達成値を出せば成功となります。この際、アセットを組み合わせることはできません。対話判定は、一度のセッションにおいて一人のNPCにつき一度しか行うことができません。
対話判定に成功した場合、そのNPCはコラプサーでは無かったことになり、撃破することで日常に戻ってくることができます。ゲーム中では、そのNPCは崩壊率の高まりによって一時的に狂気に沈んでいた、という扱いになります。
対話判定の目標値は、「(NPCの崩壊率-100)÷10×2+10」です。例えば、崩壊率120%なら難易度14、崩壊率150%なら難易度20となります。
18.1.2.リテイクの修正
どうしてもキャラクター設定の書き換えが永続して欲しくない、そんなPLが居た場合の選択ルールです。
アフタープレイ時に、そのPLの受け取る経験点の合計を半分にします(端数切り上げ)。その後、そのPLが望むようにPCが持つリンケージを修正します。
18.1.3.NPCのブレイク
コラプサーでないNPCはリンケージをブレイクすることができます。しかし、ブレイク効果を受けることはできません。
アセットによっては、効果処理によってリンケージをブレイクすることを要求しますが、NPCであってもそういったアセットの処理を行うことはできます。
ただし、コラプサーはブレイクするべきリンケージを持たないので、そういった効果を受けることはできません。また、コラプサーはアセットの効果で明記されていない限り、Cフォースの効果を受けることもありません。
18.1.4.簡便なリテイク
リンケージのリテイクが発生するのは大抵の場合は戦闘中であり、戦闘中に書き換え先を決定するのは難しい場合があります。
その場合、ダイスを使ってリンケージ表およびリンケージ感情表をロールし(⑪と⑫は使用しません)、出た目に基づいてリンケージを決定することができます。
また、最初からリテイク後の結果を決めておくのも良い選択でしょう。
18.1.5.シーンを跨ぐ効果
アセットの効果はシーン終了と共に終了し、アセットの効果で取得したアイテムは失われます。しかし、シーンの演出上アセットの効果終了が不適当であると考えられる場合、GMの判断でアセットの効果をシーン開始時から適用させることができます。
この場合、該当するアセットを所持するキャラクターは、シーン開始時に該当するアセットをタイミングを無視して使用します。アセットの使用制限は満たさねばならず、崩壊率も通常通り上昇させなければなりません。
18.1.6.前衛と後衛
PCは基本的に全員1つのエンゲージに所属している状態で戦闘を開始します。しかし、PCの能力やシナリオの都合上離れている方が自然である場合、PCのエンゲージを最大2つに分割し、PC同士が5mの距離を取った状態で戦闘を開始することができます。
この場合、どちらかのエンゲージが他陣営のエンゲージから更に5m離れていることになります。この本来のエンゲージより遠いエンゲージを後衛、本来のエンゲージを前衛と呼びます。
19.NPCの作成
シナリオを作成するに当たって、GMはクライマックスパートで戦闘を行うNPCを作成する必要があります。
19.1.キャストの作成
キャストとは、PCと同等のデータを持ったNPC全てを指します。従って、キャストはPCと同じような方法で作成し、PCと同じようにGMが操作します。
ただし、データ処理を簡略化するため、キャストには以下の特権が与えられています。
・ドラマシーンにおいて判定が必要な場合、判定を行わずに成功か失敗を選んでもよい。
・{常備化P}の消費を無視して、自由にアイテムを取得することができる。
・GMが崩壊率を直接操作しない限り、崩壊率が変更されない。
・戦闘中に何らかのデータを変更するアセットの効果を戦闘開始時から適用できる。ただし、戦闘中に該当するアセットの使用を宣言しなければならない。
また、そのキャストがコラプサーである場合、全てのリンケージをブレイクします。コラプサーを突き動かすのは、かつては大切な意味を持っていた尊厳の残滓に過ぎないのです。
キャストは、GMオリジナルの魔術やアイテム、エフェクトを自由に取得することができます。キャストの作成が難しい場合は、以下に示すキャストテンプレートを利用して作成すると良いでしょう。
ーーー
『キャストテンプレート』
{最大HP}:128 {行動値}:18 {財産点}:14
戦闘移動:23m 初期崩壊率:120%(ボス)
【肉体】6〈白兵〉4〈回避〉1〈運転:??〉1
【感覚】6〈射撃〉4〈知覚〉1〈技術:??〉1
【精神】6〈異能〉4〈意思〉1〈知識:??〉1
【社会】6〈対話〉4〈調達〉1〈情報:??〉1
○所持アイテム(攻撃力:1 ガード値:3 命中:0 装甲値:3 行動値補正:0)
・《トンファー》
・《防弾防刃ジャケット》
・ー
○所持エフェクト(崩壊率・ボス計算済み)
①《ハイパータフネス》Lv3
②《コンセントレイト:アザトース》Lv3
③《異形の拳》Lv3
④《歪曲の波動》Lv3
⑤《コラプスリアクト》Lv3
⑥《フルリフレッシュ》Lv3
⑦《宇宙の破壊者》Lv1
⑧《セルフリメイク》Lv3
⑨《異形の乱舞》Lv6
⑩《クイックムーブ》Lv6
⑪《コラプスボディ》Lv2
⑫《コラプスフィルド》Lv2
○コンボ(崩壊率計算済み)
・マイナー
戦闘準備:⑥+⑩
戦闘移動しつつ状態異常を回復し、回復した数×5のダメージ。シナリオ6回、状態異常の回復はシナリオ3回。
・メジャー
最大攻撃:②+③+④+⑦
15dx7+4、ダメージ12、対象:シーン(選択)、射程:視界
備考:命中でリンケージ1つをリテイク。シナリオ1回。⑧の後に使用。
基本攻撃:②+③+④+⑨
15dx7+4、ダメージ12、対象:範囲(選択)、射程:10m
備考:シナリオ6回。
・イニシアチブ:
コラプスリアクト:⑤
備考:行動値:9にして再行動。シナリオ3回。
・効果
セルフリメイク:⑧
備考:戦闘不能になったらHP30で復活。シナリオ1回。
・備考
リアクションは、命中判定の達成値が20以上なら防御、19以下なら回避を選択する。
戦闘開始時、このキャストのエンゲージとPC達のエンゲージの距離は10m離れているものとする。
ーーー
このテンプレートにディストや烙印を付与することで、初期作成のPC相手には十分な戦闘力を持ったオリジナルのキャストを作成可能です。
ディストに合わせて攻撃を行うエフェクトを《異形の拳》以外に変更することで、ダメージなどのデータを維持したまま〈白兵〉以外で攻撃することも可能です。
19.2.トループの作成
トループとは数人一組で表されるNPCを指します。敵の戦闘部隊や野犬の群れなど、複数体で構成された集団であれば全てトループとなります。
トループもキャストと同じように作成しますが、トループはリンケージおよびCリンケージを持たず、個人としての細かい設定を持ちません。また、トループは回避判定に自動的に失敗します。
19.3.エキストラの作成
エキストラとは戦闘用のデータを持たないNPCの総称です。エキストラは、メジャーアクションを使用して宣言することで、PCの宣言通りに無力化することができます。
エキストラは、トループとは逆にリンケージおよびCリンケージだけを持っています。これにより、エキストラはPCの友人であったり、或いはビルの警備員であったりというような設定を得ています。
20.シナリオの作成
シナリオとは『神葬回天クトゥルフィカ』のシナリオを進めるための設定、NPCのデータ、クエストの集合を指します。
『神葬回天クトゥルフィカ』のルールは、PCが考えたコンボでクライマックスパートに控える相手陣営を倒し、大団円を迎えることを想定して作成されています。
言い換えるなら、このゲームは「僕の最強コンボで敵を撃破する」のが目的であり、クライマックスパートは”実際にコンボを使う”シーン、クエストパートは”どこで誰にコンボを使うのか調べる”シーンであると言えます。
クライマックスパートのキャストが作成できたら、次はクエストパートのデータを作成する必要があります。
まずステージを決定しておくと、クエストパートを作成しやすくなります。ステージとは、シナリオを行う地域の設定を指します。その地域にはどのような施設が有り、どのようなNPCが居るのか、をある程度決定しておくのは咄嗟の対応の為にも重要です。
20.1.クエストパートの作成
クエストパートにおいて作成が必要なのは、以下のデータです。それぞれのデータには大まかな内容を示す【解説】があります。
①クエスト
②トリガーシーン
③バトルシーン
20.1.1.クエストの作成
クエストはクエストパートの中核を担うデータです。クエストには【解説】に加えて探索判定、そして探索判定の結果取得できる【秘密】や【居所】が存在します。
GMは、クエストの【秘密】を全て取得した結果、無理なくクライマックスパートに繋がるようにクエストを作成します。
20.1.2.トリガーシーンの作成
トリガーシーンは【解説】に加えて【条件】とメインキャラクターが最初から決まっています。GMはトリガーシーンで発生する会話や、シナリオ上の特殊な処理、登場できるキャラクターを決めておくと良いでしょう。
20.1.3.バトルシーンの作成
PCが発生させるバトルシーンではエンゲージの設定が決まっているので、登場するキャストのデータさえ決定してあれば問題ありません。
NPCが発生させるバトルシーンにおいては、戦闘に登場するNPCの種類と数に加えて、エンゲージの設定を決定しておく必要があります。
20.2.クライマックスパートの作成
クライマックスパートにはクライマックスシーンしかなく、メインキャラクターとなるキャストは作成済みです。
エンゲージの設定や、シーンの大まかな雰囲気などを決めておけば十分でしょう。
20.3.エンドパートの作成
エンドパートで行うのは、バックトラックとエンディングのみです。
エンディングはトリガーシーンですが、セッションの結果に合わせた演出を行います。ヒロインの生死などの大まかな【条件】に合わせて、登場するNPCを決めておきましょう。
20.4.サンプルステージ
ステージにどのような施設があるのか思いつかない場合、以下のサンプルステージを使用することができます。
○サンプルステージ:東京近郊N市
都会近郊N市は、東京から電車で1時間程度の場所にある小さな街です。
少子化に伴う施設の集約や、産業従事者の受け入れによって街は積極的に再開発が行われており、整備された美しい駅前と、複雑で雑多な裏道を併せ持つ、光と影を併せ持つ街です。
・N市の施設紹介
この街にある主な施設、および地域は以下の通りです。
◇南部
①N市湾港
倉庫が立ち並ぶ港です。良く不良生徒の抗争が発生するため、腕自慢の生徒以外は殆ど行きません。結構な確率でバースター同士が決闘を行うこともあります。
②市立有働高校
偏差値が低く、不良が揃うことで有名な高校です。過去には殺人事件まで発生しているが、何故か取り潰されません。バースターの数も多く、教員や先輩による不良の異能開発指導が秘密裏に行われています。
これは、学園長である十六夜弓也がHHのセルロードであることに起因します。彼は卓越した手腕でN市のHHを纏め上げています。
③湾港ショッピングモール
N市南部は荒れた所が多いのですが、ここだけは例外。休日には沢山の人が集まってくる、巨大なショッピングモールがあります。大体の物はここで揃う他、ゲームセンターが併設されており、N市民の遊び場としても有名です。
④暗啼重工御蔭工場群
N市最大の企業が暗啼重工です。暗啼重工は世界随一の重工業メーカーであり、様々な重機や巨大インフラ事業、そして兵器開発に携わる大企業です。
なお、暗啼重工は百年以上前にHHのセルロードであった八十神八兵衛が作り上げた企業であり、幹部全員がHHのセルリーダーでもあります。
御蔭工場群は暗啼重工の工場を中心とした町工場集団であり、様々な部品や試作品、そしてコラプサージュ達を作り上げています。
◇北部
⑤御蔭山
知る人ぞ知る名峰です。市民も時折登っていることで知られます。古い神隠しの伝説があり、老人の中には「御蔭山には天狗が居る」という昔話を、子供の頃に祖父母から聞いた者も居ます。
山の周囲には広大な森が広がっており、ハイキングコースが整備されています。
⑥御蔭神社
御蔭山に古くから有る神社です。お参りするためには山を登る必要があるためか、参拝道と境内で露骨に人の数が異なるのが特徴です。
一方、境内の雰囲気は非常に清廉であり、パワースポットとしても名高い場所です。神社で遊ぶ、古めかしい服を着た不思議な少女に出会ったという人もいます。
⑦御蔭温泉
御蔭山からは温泉が湧きます。リウマチによく効くことで有名であり、栗餡が入った天狗饅頭は御蔭温泉の名物として愛されています。
◇東部
⑧木更記駅
N市から都心にアクセスする為の最寄り駅です。所謂エキナカ百貨店を抱えており、都心から帰るサラリーマンに向けた様々な商品が売られています。
また、木更記駅からは市営のローカル列車が出ており、東西南北を繋ぐ市民の足として愛されています。
⑨木更記駅前繁華街
駅前にある繁華街。飲み屋や塾などが集まっており、ちょっと気取った高校生に人気のスポットです。
⑩廃ビル群
再開発の過程で置き去りにされた廃ビル群です。中は良くコラプサーの溜まり場になっており非常に危険ですが、まず人々は立ち寄りません。ビルに集まったコラプサー達は、AAAによって秘密裏に処理されています。
⑪国立三ツ角大学附属第二高校
N市随一の進学校で、共学制です。バースターは少なめですが存在しており、AAAチルドレンやイリーガルが在籍しています。
◇西部
⑫住宅街
十三天大学を除けば、静かな町並みが広がる住宅街です。木更記駅からローカル線で数十分という立地にあり、小さな個人商店やスーパー、そして薬局が多いのが特徴です。
⑬十三天大学
創立80周年を超える私立大学です。巨大な敷地内での小学校からの一貫教育により、優秀な生徒を育てるのが売りです。
後述する十三天教会と密接に繋がっており、実質的には十三天球の幹部養成学校と言っていい大学です。そのため、入学試験は学力ではなく「十三天球に相応しい人材であるか?」という基準で行なわれます。
しかしながら、コラプサーやバースターについて、教職員および生徒全員が知っており、それでいてバースターと一般人の間には信頼関係が築かれている、ある種の理想郷としての面をも持っています。
⑭十三天教会/十三天病院
十三天球の表向きの顔としての宗教施設と、それに付随する病院であると同時に、十三天球のN市支部でもあります。
優れた医療従事者に加えて手練の魔術師を備えており、コラプサーが叩き出した被害を修復してくれるため、彼らに心酔する人間も少なくありません。
ただし、そのやり方は死者蘇生に生物複製を駆使するものであるために、可能な限りそれらを使いたくないAAAとは折り合いがよくありません。
◇中央部
⑮N市中央病院
AAA直属の医療機関です。非常に腕のいい医師が居る、ということで有名です。しかし実際のところ、病人の生存率が極めて高いのは、エフェクトや魔術、コラプス技術を医療に応用しているためです。
AAAは死者蘇生の魔術は乱用を避ける傾向にありますが、生者を救うために魔術等の最新技術を使うことは躊躇いません。
⑯N市市役所
AAAのN市支部はここにあります。このように、AAAは世界各国の政府や行政機関と協力することが多いです。
なお、AAAの構成員は公務員として働いていることが多いのも特徴です。警察署や消防署にも、よくAAAイリーガルが在籍しています。
⑰N市警察署
N市の交番を統括する警察署です。こちらもAAAの息が掛かっており、現場担当の刑事がAAAイリーガルであることは珍しくありません。
○N市のサンプルキャラクター
以下に示すキャラクター達はN市在住のサンプルキャラクターです。GMは必要に応じて使用すると良いでしょう。
※”アクアイガー”大嶋 裕貴
「俺の毎日を、煌めかせてやる!」
N市の高校に通うAAAイリーガルの少年です。怪力を持つサメの魚人に変身する能力を持っています。
バースターになったことで、今まで退屈な日常だと思っていた毎日の尊さに気がついた裕貴は、毎日を一生懸命に生きることに熱意を燃やしています。
※”ウィンドエッジ”月ノ瀬 琴葉
「こんにちは、お兄さん。何か御用ですか?」
N市の中学校に通う少女です。一応風を操るAAAイリーガルですが、能力の安定性が低いことからあまり実戦には出てきません。
しかし、AAAの検査によれば、彼女の能力はまだ発展途上であり、さらなる覚醒を迎える可能性があることがわかっています。そのため、能力の低さに対してAAAからは重要視されています。
※”ブラックレイン”我藤 凛
「あー退屈。なんか面白いことないかなー」
市立有働高校に通うHHマーセナリーの少女です。戦闘ではアクセサリーからガトリング砲を創り出す能力で超火力を振るいますが、積極的には戦いません。
何となく暇をもて余す今時のギャルである彼女にとっては、HHのテロ計画より友達と駄弁ることや、ネイルアートのほうが大事なのです。
※”プラス&マイナス”対島 創太&対馬 壊佐
「おっと、僕らが」「ここの門番だよ」
市立有働高校に通うHHチルドレンである双子の生徒です。異能開発を受けており、二人の間でテレパシーを使って会話することができます。
創太がプラス、壊佐がマイナスの電荷を帯びることで互いの間に大電流を作り出し、それを自在に操ります。二人一組の連携を前提とすれば、有働高校の生徒の中でも高い戦闘力を持っています。
※”フリージア”相馬 羽衣音
「お祈りですか? ふふ、神のご加護を」
十三天球信者の少女です。バースターではないですが、入信しているため魔術の手解きを受けています。また、十三天球の理念に心酔しており、殆どの人に対して、できる限り助けてくれます。
戦闘力は低いですが、魔導書を使って無数の触手を操り、身を護る事位はできます。本人は闘いは嫌いであり、みんな仲良くしたいと考えています。
※”ペインレスベイン”丸喜 美智留
「傷ついたものに安らぎを。痛みなど不要なのです」
十三天大学の准教授です。コラプスによって人を救うための研究をしているバースターです。どこか抜けている上に、とても人がいいので騙されることも多々あります。
能力は他者を中心に現実を改変する、というものですが、対象に拒否権があるため、相手の望まない改変はできないという特徴があります。
※”生徒会長”黒神 朱里
国立三ツ角大学附属第二高校の生徒会長です。なんにでも優れた才能を発揮する天才肌ですが普通の人間であり、コラプス粒子やバースターのことは何も知りません。
人吉 良太とは幼馴染であり、不良である彼のことを気にかけています。ただし、彼がバースターであることは知りません。
※”大番長”人吉 良太
国立三ツ角大学附属第二高校を中心とした不良達の元締めです。空間を曲げる稲妻を纏う強力なバースターですが、AAAから十三天球までの全ての組織から距離をおいています。
孤独を好む性格ですが、面倒見の良さから不良たちに一目置かれているのもあり、どうにも調子を狂わされることが多いのが最近の悩みです。
※”百足大明神”
「ここより去れ。我は汝を殺さぬと決めた」
御蔭神社の祭神です。龍の眼を持つ大百足の姿をした、人に対して友好的な存在です。
御蔭山に居る何者かを封じるべく、御蔭神社を守護していますが、それについて人に語ることはありません。縁を結ぶことそれ自体が危険だと知っているからです。
※”悪心髪”
「アカルク……テラス……シッコクノ……」
御蔭山に封じ込められている、のたうつ黒髪で構成された蜘蛛のような悪神です。頭部から伸びる黒髪の手を使って人々と悪縁を結び、手当り次第に人を殺してゆく力を持っています。
この神は他者を葬る事でその力を増していく、危険極まりないコラプサーなのです。
※"シュレッダー"時任 是清
「今日はノー残業デーなんですよ。とっとと死んでくださいな」
暗啼重工処理部第三部隊の係長を務める人物です。処理部とは暗啼重工の暗部を担う部隊であり、暗殺及び戦闘全般を担当しています。
時任は二児の良き父であり良き夫としての顔と、冷徹な処刑人としての二つの顔を併せ持つ人物です。戦闘では一振りで無数の斬撃を放つ剣を操って、相手を粉微塵にしてしまいます。
※”メタルキャンサー”T=012
「ニゲロ…シニタイカ…」
暗啼重工の創り上げたコラプサージュです。見た目は完全に多脚戦車なのですが、コラプサージュにされたことで自我を取り戻しました。
現在の性格は機械がベースになっているため、冷徹で落ち着いています。しかしコラプサーも多く属するHHの中では、まだ話が通じる方であると言える人物でもあります。
※”ホワイトハンド”新堂 和也
「うむ、オペの準備だ!」
人間の域を超えた凄腕を誇るN市中央病院の外科医であり、同時にAAAの支部長でもあります。
バースターではなく魔術師ですが、屈強な肉体に加えて優れた拳法の腕を持っており、魔導書を用いて自身を強化して放つ一撃は、下手なコラプサーでは耐えられないほどです。
※”クロウビーク”烏丸 平次
「それ、おじさんに教えてくれるかな?」
AAAイリーガルの警察官です。三十代前半にしては軽薄な口調で話しますが、心の底には熱いものを秘めています。高校生や中学生も馬鹿にはせず、よく話を聞いてやるというのが本人の信念なのです。
戦闘ではカラスの鳥人に変身し、素早い動きと三次元的な移動を駆使して相手を翻弄します。
ありがとうございます。