忘恩の徒

歓楽極まりて哀情多し。
雨上がり、澄み切った空なんてものは綺麗事。暗澹を誤魔化しきれなかった大人の謀る幻想です。虹霓も、蒼昊も、いずれ哀情の比較対象となるのであればはじめから知らなければよかったのにな。

俗世の言の葉は永久機関になり得ない。湿気た四畳間、腐りゆく皮膚を紡ぎ合わせて感じる穏やかさだけを信じてください。苟且な成型ではあるけどもこれが全てだと割り切ってください。畢生を見据えた気にでもなっていてください。夜聡、ゆりかごに漂う南柯の肉塊は優しい目をして口元を綻ばせた。

生の謂れ、死の基因、全てを悟ったとき、この擾擾俗世で貴方は愛を夢むのかしら。孤独にさせるとも知らずにね。別に貴方が幸せになればそれでいいよ。できれば、できたら私とがいいけど。

さようなら 軸なり回る 劣情が
蝕み脆弱 回転木馬


三十七度の呪詛、貴方の指先は泥濘腐ってゆく。

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