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勢いまかせに生きていた

当時俺はmixiをしていて(みんなもしてたよね?)、音楽好きがきっかけで繋がったヒロという男が大阪に住んでいた。31歳で趣味でバンドしながらフリーターしてるヒロ。写真は載せてなくて顔は知らなかったけど最初は音楽の話やらお笑いの話でメッセージのやり取りをして仲良くなり、そのうち俺は家のことや学校のことも話すようになったしちょうどミチの家にいたときも家出していることを伝えていた。今思えば親身に話を聞いてくれるヒロに好意があったんだと思う。

もう二度と帰らないと決意した俺、しばらくはネカフェに寝泊まりして過ごした。母親が学校に連絡を入れてるような気がしたので学校へは行けないと判断し行かずにいたらそのまま夏休みに突入してた。そのうち所持金がなくなってきて、財布の中が1万を切ったあたりでヒロに相談した。

夏休みに入ったけどお金もないし行くところがなくてどうしたらいいか分からないと言う俺にヒロは「東京から大阪まで夜行バスなら6000円くらいで来れるよ。帰りの分は出してあげるから本当に行くとこないなら来る?」と言ってきた。馬鹿なのですぐに行くことにした。まじで若いって怖いよね。でも分かるかなこの気持ち、ただ自分の話を否定も肯定もせず聞いてくれる人ってだけで警戒心も全て失くして信用してしまうんだよね。良い人かどうかなんて分からないのに、良い人だなって思っちゃうんだよ。で、大阪に行くって決めてから直接の連絡先を教えてもらってメールでやり取りをして通話もした。

電話でヒロに夜行バスのチケットの買い方を教えてもらって、夜になってから新宿駅に向かった。みどりの窓口的なところでチケットを買って大阪行きのバスに乗る。

俺は初めての大阪(お笑いの本場だし)ということでめちゃくちゃ浮き足立っていた。ちなみにこの夜行バスの隣に座ったおじさんに寝たふりされながら横乳揉まれるという今思えば完全な痴漢も全然気にならなかったくらいです。(近年の夜行バスは知らない男女を隣同士にしないところが多いから安心して乗ってね❤️)

大阪が楽しみすぎて全然眠れなくて、全部のサービスエリアで降りて逐一ヒロに報告した。てか深夜のサービスエリアで吸うタバコってなんであんなに美味いんだろうね。好きな"情緒"ランキング1位かもしれん。

朝の6時くらいに大阪に着くと既にヒロはロータリーに迎えに来ていた。180cmくらいあるヒョロガリでジーパンにTシャツ、これ絶対一部にしか伝わらないけどソラニンの種田みたいな冴えない大学生のような見た目。想像よりも若い兄ちゃんで驚いた。

挨拶もそこそこに大阪駅から電車に乗って、ヒロの家に向かった。家はワンルームのアパートでめちゃくちゃ狭かった。部屋にギターがあるせいで尚更狭い。家に着いてからはなんか色々話したと思う。ヒロは昼からバンドの集まりがあって家を空けると言うし、バスでろくに眠れず疲れていた俺は寝させてもらうことにした。

今振り返れば俺の行動力すげえなって感心するけど、元々毎日のようにメッセージのやり取りをしてたからヒロに対しての警戒心は全くなかったんだよね。会ってからもヒロは冴えない成人男性って感じだったから大丈夫だろうと根拠のない自信で安心していた。

その日は夕方になって目が覚めるとヒロは帰宅していて、そのまま近所のファミレスかなんかに夕飯を食べに出た。家では大阪でしか見れない大阪の若手芸人が出てるテレビ番組を見れるのが嬉しくて終始テンション上がりまくっていた俺。

ベッドが1つしかないから2人で寝るしかないんだけど、最初の頃ヒロは床で寝て俺にベッドを譲ってくれていた。1週間くらいしてからかなあ、一緒に寝てもいいか聞かれて一緒に寝ることになった。

そしてセックス❗うゆ丸の処女喪失である❗

今でこそ彼氏とのセックス大好き性欲お化けとして生きてますけどね、当時は気持ちよさも全く分からずおちんが出し入れされるおまんの感覚キメェわ〜と思ったものだよ。

血の付いたシーツを洗いに深夜のコインランドリーに2人で行ったこと、今でも鮮明に覚えてるわ。

それから普通にヒロの家で1ヶ月くらい過ごした。ヒロはコンビニで夜勤のバイトをしてたからバイトがある日はヒロを見送って、俺は家でダラダラお笑い番組見て朝まで過ごして、帰ってきたセックスするかイチャイチャして寝るみたいな。バイトが休みの日は観光に連れて行ってくれたりもして当時あったbaseよしもと(現漫才劇場)でお笑いライブも観たし、まじで普通に同棲みたいな生活してた。明確に付き合ってるかどうかのやり取りはなかったけど、俺はヒロが好きだったしこのまま一生帰らないで大阪にいるのもアリだなとか思ってた。ヒロにもずっといていいよとか言われてたから先のことは何も考えず楽しく過ごしてたんだよね。前にも書いたけど俺は環境に順応しすぎなんよ。あと多分運が良い。


大阪に来て1ヶ月過ぎたあたり、8月の下旬頃かな。それまで何の音沙汰もなかった母親から「捜索願いを出しました」とだけメールが届いて、その後携帯を止められた。さすがに捜索願いを出されるのはまずい。もしかしたらヒロに迷惑をかけるかもしれないと思ったのですぐヒロに相談して、公衆電話からばーちゃんに電話をかけることにした。

電話越しでばーちゃんに生きててよかったとわんわん泣かれて急に現実に引き戻された感じがした。どこにいるの?とにかく帰っておいで、家が嫌ならこっちに来なさいと言われて帰る決意した俺は明日には帰るからとばーちゃんと約束して電話を切った。

ヒロにも状況を説明して、また戻ったら母親と揉めるんじゃない?と引き止められたけどそしたらまた大阪に来るからと言って、翌日の夜行バスで東京へ帰った。


こうして俺とヒロの逃避行編は終わりを迎えた。
余談ですが帰りのバスでチャットモンチーのバスロマンス聴いて泣きました。これは今となってはただの黒歴史なのでここで成仏させておきます👻

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