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赤子のパワーたるや

そろそろ自宅に戻るかどうかという話になり再び福祉のおばちゃんと母親を交えての話し合いが行われた。

というのも、母親は3月に出産を控えていて子が産まれたら色々大変なので帰ってきてほしかったようです。
俺はばーちゃんちで不自由なく生活をしてたので戻る気はなかったんだけど、それでも弟は気になるしなぁみたいな感じで結局家に戻ることにした。

ちなみにこの頃じーちゃんばーちゃんと母親は、そもそも母親の再婚(しかも中国人)や妊娠について大反対だったのでほとんど疎遠状態。そりゃそうよ、娘1人まともに育てられない人間がまた子供を産むなんて呆れて当然ですわな。

俺が唯一、母親とじーちゃんばーちゃんを繋ぐパイプのような存在だったのかもしれない。

2月くらいだったかな、児相を出てずっとメル友だったミキに会おうと誘われた。ついに受験が終わったのか〜くらいに思った。

学校が休みの日、ばーちゃんちから電車で数駅のところで遊ぶ約束をして、久しぶりに会えることも嬉しかったし児相じゃないところで会うことにドキドキした。

待ち合わせ場所に着いてメールを送ると、少し離れたところから名前を呼ばれて駆け寄って来たミキと思われる人物。

それは児相でのミキとは似ても似つかない別人。派手な服にめちゃくちゃギャルメイクしている。頭もすごい逆毛でボリューミーだった気がする。正直怖かった。

頭の中がこの人誰…?で埋め尽くされるのをかき消しながら久しぶり!と平然を装ったけどまじで心臓バクバクした。なんなら敬語使いそうになった。

当時流行りだったアルバローザのショッパーを持って派手な服を着てギャルメイクのミキ。まじでお前誰やねん。児相での黒髪ロングの優しいお姉さんはどこですか。

とりあえずカラオケ行かない?と言われるがまま駅前にある歌広へ行った。

結論から言うとミキは母親と喧嘩して絶賛家出中。おっさんたちに下着を売ってお金を得て、友達の家を渡り歩いてるらしい。受験もしてないし、もう家に帰る気はないとも言っていた。

とにかく情報量が多すぎて終始引き攣った顔しか出来てなかったと思う。ビジュアルも話の内容も俺には刺激が強すぎた。

カラオケといってもほとんど歌わずお互いの近況などを喋ってその日は解散した。ミキはまた暇なとき連絡して!なんて言ってきたけど俺はミキが全然違う世界にいってしまったような気がしてなんかすごくすごく寂しかった。

それからはメールの頻度も下がっていったし、頭の片隅でもう会うことないんだろうなくらいに思った。


中1の冬休み頃に再び自宅へ戻った俺は母親と中国人義父との3人生活。
もうすぐ弟が産まれるということで比較的和やかなムードで生活していた。

3月になって一回り年下の弟が産まれ、学校帰り走って病院まで行った。年齢制限かなんかで抱っこすることは出来なかったけど、ガラス越しに弟を眺めて嬉しくて泣いた。生まれてからずーっと一人っ子だしそもそも一回りも離れると兄弟って感じはしないんだけどそれでもなんか嬉しかったなあ。

赤ちゃんってすごいよね、こんなにもムードを明るくする。このあたりは我が家での数少ない暖かい思い出です。

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