時光代理人コラボスカウトストーリー 「乱反射」
第二話
(星奏館共有ルーム)
ジュン:7番を10番の上にあげた次は、3番で固定させるんですか?だけど3番の部品が全部落ちてきませんかね・・・・・・
GODDAMN!難しすぎますよ。漫画だったら順序がめちゃくちゃなコマや、セリフがひとつもなくても心を揺さぶる場面はあるっすけど、これは説明書っすよ。絵だけあって文はひとつもないなんて抽象的じゃありません?
あ〜あ、どうしましょうかねぇ。まず全部の部品を組み立てるしか・・・・・・
巽:本当に難解なようですな
ジュン:・・・・・・
うわあああぁ!?た、巽先輩!?い、いつからいたんすか?
巽:急に声をかけてすみません、驚かれたでしょう?
通り過ぎようとしたらジュンさんが図面に集中しているのが見えて、好奇心から手伝いにきました。今は何を作っておられるのですか?この図面が説明書ですかな?
ジュン:その、実はっすね・・・・・・
〈時間が経ち〉
ジュン:ふう、ようやく完成っす!商品イメージと全く一緒っすね
巽先輩が助けてくれなかったら、一体どんなものができるのか想像もつかなかったっすよ。暑い日にこのシャワーのおもちゃをメアリにプレゼントできます
本当にありがとうございます、巽先輩!
巽:いえいえ。ジュンさんを助けることができて何よりです。説明書の曖昧な部分は俺がフィードバックをしておきましたから、おもちゃメーカーに送るのはジュンさんにお願いしますな。俺たちのように混乱する人がでなければいいのですが
そういえば、組み立てながら判断が難しい部分は俺たちが直感で処理しましたが。万一のために、メアリさんにプレゼントする前にテストしてみるのはどうでしょう?
ジュン:うん、巽先輩のいう通りっす。どれどれ、まずここに水を入れてから、水が流れる角度を選んでスイッチを押すとーーー
(場面切り替わり、星奏館廊下)
一彩:すまないね、部長。前に約束した鍛錬は別の日に延期しないといけないみたいだ
鉄虎:あはは、鍛錬はいつでもできるっすから大丈夫っす!一彩くんはこの後ユニットの人たちと会う約束があるんでしょ?
一彩:ウムーーーマヨイ先輩と藍良はメッセージを送ってすぐに返信してくれたんだけど、巽先輩は返事がまだないんだ。今は忙しいのかな?
あ、急にマヨイ先輩の気配を感じるーーー共有ルームにいるのかな?
鉄虎:一彩くん?
一彩:部長。僕は先に行くね!鍛錬の時間は後で決めよう!
鉄虎:分かったっす、一彩くん。
すぐに行っちゃったすね・・・・・・
(場面切り替わり、星奏館共有ルーム)
藍良:(小さい声)うゥ、タッツン先輩がなんだかこわぁい・・・・・・さっきから部屋の中を行ったり来たりして、なにかぶつぶつ言ってるし。これじゃあ近づけないよォ
マヨさんが戸棚からタッツン先輩に近づいたら、タッツン先輩が何をしてるのかわかるんじゃないかな?
マヨイ:(小さい声)ヒィィィ、もし巽さんが聖書を読んでいたり悪魔退治中だったりしたら、私が近づいた瞬間に浄化されて消えてしまいませんかぁ!?
一彩:巽先輩が何をしているか気になるなら直接聞けばいいじゃないか
巽先ぱぁーーーうん!?うう!?(藍良、どうして急に僕の口を塞ぐのかな?)
巽:ふぅ、どうにか部屋の中の水は拭き終えましたな
さっきはジュンさんがすぐに反応して、暴走したおもちゃを上着で覆ってくれたおかげで、部屋の中を散らかすことは阻止できましたね。
俺も水がかかりましたが、ジュンさんのように服を着替えなくてはならないほどではありませんな。このくらいの水なら、流れていって今に乾くでしょう
とにかく部屋は全て掃除し終えたとジュンさんにお伝えしなくては。でないと急いで戻ってこようとするでしょうから
えぇっと・・・俺の携帯電話はーーーあぁ、ありました♪
おや、顔にも水がかかっていますね。携帯の画面に映る自分を見て気づきました。なかなかひどい顔ですな、ふふ。
藍良:(小さい声)え、ちょっと、ああ〜?ヒロくん、さっきの、見えたでしょ?
一彩:うう!?ううん!?(ウム、塞がれているのは口だけだからね!)
マヨイ:(小さい声)ああ、私のような人間があのように神聖な光景を見ても大丈夫でしょうか・・・・・・目を閉じた方が良さそうです・・・!
一彩:うう!?うむ!?(神聖って?マヨイ先輩は巽先輩が手で顔を拭いているのを見ても神聖に感じるのか)
藍良:(小さい声)ヒロくんのばか!何言ってるの!たっつん先輩は涙を拭ってたじゃん!?
マヨイ:(小さい声)ヒィ、藍良さんには一彩さんの言葉が聞き取れたのですね・・・・・・!(一彩さんは口を塞がれているのに落ち着いていますね・・・・・・?)
巽:おや?一彩さんが「ホールハンズ」へメッセージを送っていたのですな。みんな返事をしていますから、俺も早く返信しなくては。えぇっと、後でここに集まるという話でしょうか?
「メッセージを確認するのが遅れてすみません。今共有ルームにいます。ここで皆さんをお待ちしています」ーーーと送りましょう
藍良:(小さい声)あっ、ヤバイ!携帯の通知を消すのうっかり忘れてたーーー
藍良・マヨイ:・・・!?
一彩:ふう、やっと口を開けることができたよ!
巽:おや、みなさんおそろいでしたか
一彩さん、俺たちをここに集めた理由はなんですか?
一彩:ウムーーー!「ALKALOID」のみんなに見せたいものがあるんだ!今日プロデューサーと会ったんだけど、僕にこれをくれたんだーーー
巽:おお、俺たちが「流星隊」と一緒に【モーターショウ】に参加した時のアルバムですか。きっと思い出のたくさん詰まったものですな
あぁ、さっき日和さんから茶葉をいただいたのですが、せっかくですしお菓子も準備してアルバムを見ながら味わうのはどうでしょう・・・・・・♪みんな食べたいものはありますか?
藍良:(こういうときにタッツン先輩にリクエストをするのはあんまりかなぁ・・・・・・でもなるべくカロリーの低いものがいいなぁ、夕食はきっとーーー)
一彩:そういえば冷蔵庫に事務所から送られてきたお菓子があったよ。お茶会にぴったり合いそうだ
藍良:(ヒロくんーーー!)
巽:えぇ、きっと合うでしょうね。俺はそのお菓子を見たことがないのですが、一彩さんが俺と一緒に取りに行ってくれますか?
一彩:ウム、もちろんだーーー
藍良:(小さい声)だめ!話があるからヒロくんは残ってて!
マヨイ:あ、あのぅ、私は見たことがありますから巽さんをお手伝いしますね・・・・・・!
(共有ルームに残った一彩と藍良)
藍良:いや、ヒロくんが何ともないかのようにタッツン先輩に話しかけてどうするの!タッツン先輩は感傷的で敏感な状態なんだから気をつけなきゃって言ったじゃん!
一彩:僕の言葉に何か問題があったのかな?「感傷的で敏感」とはーーーどういうことだ?
藍良:タッツン先輩みたいな人が悲しくて涙を拭うようなことって言ったら、とぉっても大変なことだよ
一彩:あ、無視したね
だけど何があったか知りたいなら巽先輩に直接聞けばいいじゃないか
藍良:絶対にダメ!ヒロくんは俺の言ったこと全然聞いてなかったの!?
一彩:ちゃんと聞いていたよ?藍良が、注意しなきゃいけないって言ってーーー
藍良:だけどオレたちが何があったか知って役に立てるのかなぁ。タッツン先輩でも耐えられないようなことなのに、オレみたいな人間が助けようとしたって・・・
一彩:また無視したね・・・?
どんな経緯かはわからないけれど助けるって選択肢はないの?藍良が尋ねたくないなら、僕が代わりに尋ねてみるよ
(星奏館キッチンに向かったマヨイと巽)
巽:あぁ、マヨイさんがもうケーキを全部分けてくれたのですか?こんなに綺麗に切るなんて本当にすごいです。ラバケーキだったのでどうすればいいのか心配だったのですが
マヨイ:いえいえ、、、たかがこんなこと、巽さんにお褒めいただくほどではありません・・・!
巽:ふふ、そういえばマヨイさんはいつも手先が器用でしたな。ジオラマ作りのような手作業もお上手だったのを覚えています。
実は困ったことがありまして。きっとマヨイさんだけに助けてもらえるような気がします。
マヨイ:わ、私だけが助けられることですか・・・?
巽:急にお願いしてしまいすみません。俺の私的なことなので、ご面倒でしたら断ってくださってーーー
マヨイ:・・・ち、違うんです・・・!巽さんがお願いすることが私にうまくできるか心配していただけです・・・!
巽:ふふ、お助けいただけるなんて嬉しいです。ありがとう、マヨイさん
マヨイ:(うう、まさか巽さんは「そのこと」のせいで私にお願いしてきたのでしょうか・・・?私なんかが巽さんの悩み相談を受けるだなんて!巽さんの期待に応えられなければ私は地獄に落ちてしまいます・・・!)
巽:(おもちゃはジュンさんが持っていましたね。ジュンさんが寮に戻ったらマヨイさんに見せるように伝えましょう・・・♪)
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