そうゆうことじゃないだろう
「機獣新世紀ZOIDS(作:上山道郎)」のある一場面
主人公であるバンは、森の中で一人の少年と出会う。ルドルフと名乗るその少年は、尊敬する父の遺志を継ぎ、森の中で小さなゾイド(作中に登場する金属・機械生命体の総称。虫型のそれは『超小型ゾイド』に当たる)の調査・観察をし、何か役立てられないかと研究しているのであった。
「人間に生命(いのち)を選ぶ権利など無い」
「生命とは、そこに生きているだけで尊いのだ」
ルドルフの父が、彼に残した言葉である。彼はその言葉を胸に、研究を続けていた。
「この虫型ゾイドたちにも、なにか役に立つ使い途が見つかれば……必然、彼等に脚光が当たり、その研究をする者もふえるでしょう。そうなれば天国の父もきっと喜んでくれると思うのです。」
ルドルフのその言葉に対し、バンは、それはルドルフの父が望んだこととは違うと思う、と告げる。
「ちっこいゾイドのことを知るのは善いことだと思うし、調べれば役に立つこともあるかもしれない……」
「だけどゾイドは生き物なんだぜ?人の役に立つから価値があって、役に立たなきゃ価値が無いなんてことがあるか?」
「生命(いのち)って……生きてるってそういうことじゃないだろう⁉」
「おれはゾイドが好きだ!だけどそれは……『使い途』があるからなんかじゃない!好きだから好きなんだ!」
「ルドルフ、おまえはちがうのか?」
「おまえの親父さんはそうじゃなかったのか⁉」
バンのその言葉に、父との記憶が蘇るルドルフ。
……
『ルドルフ……』
『よく憶えておきなさい』
『人間に、生命(いのち)を選ぶ権利など無い……』
『生命とは、そこに生きているだけで尊いのだよ、ルドルフ……!』
ルドルフの頬を伝う、一筋の涙。
直後、膝から崩れ落ちたルドルフは、立ち直ると、父の遺してくれた言葉の意味に気付くことができたと、バンに感謝するのであった。
「改めて……自己紹介します。」
「僕はルドルフ・ゲアハルト・ツェッペリン3世……」
「ガイロス帝国第十五代皇帝として、あなたに心から御礼を言います、バン‼」
……
ここの場面だけでなく、イイ場面が盛盛増増な漫画で、アニメや玩具共々、未だ根強い人気を誇っている本作。
今だからこそ読みたい作品だなぁ、と。
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