NVDA 日本語版 2023.1jp をリリース

無料(オープンソース)の Windows 用スクリーンリーダー NVDA (NonVisual Desktop Access) の 日本における開発コミュニティである NVDA 日本語チームは、 2023年3月27日に NVDA 日本語版 2023.1jp をリリースしました。

インストーラーのダウンロードはこちらからどうぞ:

i.nvda.jp

GitHub リリースも利用できます。

Windows 11, 10, 8.1, 8, 7(SP1) の32ビット版 64ビット版および ARM 版に対応しています。 Windows 8 以降ではタッチ操作が利用できます。 NVDA 日本語版のライセンスは GPL v2 です。

NVDA は多くのアプリに対応し、 インストール不要で利用できるポータブル版、 アドオンによる機能拡張など、さまざまな特長を備えています。

NVDA 日本語チームがリリースする NVDA 日本語版は、 オーストラリアの非営利法人 NV Access がリリースする NVDA 本家版に 日本語の音声エンジンと点訳エンジンを追加するなど、 日本語 Windows 環境のための改良を行っています。

2023.1の変更点

設定「ドキュメントナビゲーション」カテゴリに「段落の区切り方法」オプションが追加されました。
リンク先の報告を行う新しいグローバルコマンドが NVDA+K で利用できます。
多くのバグ修正を行いました。
注意: このリリースでは、既存のアドオンとの互換性が失われています。
2023.1の変更点の詳細

2023.1jpの変更点

記号の読み方が状況により異なる不具合を修正しました。

メモ帳の不具合

タブ化されたメモ帳で全角の入力文字を読まない 問題が Windows 11 で起きています。メモ帳のメニュー「表示」「右端での折り返し」をオフにする、という回避策が知られています。メモ帳の問題という可能性もあり Windows Insider にも報告が行われています。

点訳エンジンの改善への取り組み

予告ですが、日本語点字と英語2級点字(短縮形)の併用モードの実装 に取り組んでいます。

アドオン開発

アドオン開発者は NVDA 2023.1 への対応が必要となります。ヘルプ「最新情報」または前述の「変更点の詳細」を開いていただくと「開発者向けの変更」があります。
1年ごとに大きなバージョンアップを行い、互換性を犠牲にしつつ、より不具合の起きにくい、より開発者が作業しやすいNVDAに向けて改善が進められているとご理解ください。
本家では公式アドオンのインストールや更新のための「アドオンストア」整備も進められています。2023.1 の時点では運用されていません。NVDA日本語版での対応は検討中です。

ビジュアルハイライト

NVDAのビジュアルハイライトは、視覚に関する支援が必要なユーザーだけでなく、アクセシビリティ検証者にも役立つと考えています。
しかし、ハイライト表示がずれたり消えたりすることがあります。特に、ウェブブラウザでコンテンツがスクロールするときに、行方不明になりやすいです。
NVDAは多くのコア開発者が視力を使わない人たちなので、残念ながらこういう課題の優先順位は低いです。
以前に私が開発していた「フォーカスハイライト」は NVDA 2023.1 に対応したバージョン 6.6 を公開しています。
フォーカスハイライトが本家版に取り込まれたのが NVDA 2019.3 でした。その後(フォーカス以外のものも可視化しているという指摘から)「ビジュアルハイライト」に名前が変わりました。本家版は保守性や処理速度が考慮されていて、私の実装とは異なるものになっています。
状況によっては、ビジュアルハイライトよりも私のフォーカスハイライトのほうが、ハイライトが行方不明になりにくいかも知れません。最近も、ときどき私のアドオンに感謝や要望のご連絡が届いているので、まだ開発を終了しないつもりです。
このアドオンあるいは本家版の改善に向けて、再びどのような貢献ができるか、検討させてください。






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