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第56回気象専門勉強 問11~15 1/6

第56回気象予報士専門試験 
問11 台風

台風の一般的な特徴について述べた次の文(a)~(d)の正誤の組み合わせとして正しいものを、下記の①〜⑤の中から1つ選べ。

(a)台風の中心付近は、ほぼ海面から対流圏界面までの周囲の大気より気温が高い。
(b)台風は、温度傾度に伴う有効位置エネルギーが、運動エネルギーに変換されることを主な要因として発生・発達する。
(c)台風の通過に伴う海面水温の変化は、台風がゆっくり移動して強い風が長時間吹く時ほど、海面下の冷たい海水が湧昇したり、海水をかき混ぜる効果が大きいため、海面水温の低下が大きくなる。
(d)台風の風を傾度風で近似する場合、緯度と気圧傾度力が同じならば、台風中心からの距離が近い方が強い風が吹くことになる。

(a)その通り


(b)なんのこっちゃややこしい書き方をしてある。飛ばして次に行った方がいいかもしれないが、台風のエネルギーは暖かい水蒸気であることだけは覚えておくこと。
台風に温度傾度があることで発達するのではない。温度傾度が関係して発達するのは温帯低気圧である。 
(c)その通り


(d)これはよくあるひっかけ問題で,台風は中心ほど風が強いから正しいと思ってはいけない。普通はありえないことだが、気圧傾度が同じであれば外側の遠心力の方が強くなるので、中心から距離の遠い方が風が強くなる。


解答③

資料

台風とは
 熱帯の海上で発生する低気圧を「熱帯低気圧」と呼びますが、このうち北西太平洋(赤道より北で東経180度より西の領域)または南シナ海に存在し、なおかつ低気圧域内の最大風速(10分間平均)がおよそ17m/s(34ノット、風力8)以上のものを「台風」と呼びます。
 台風は、通常東風が吹いている低緯度では西に移動し、太平洋高気圧のまわりを北上して中・高緯度に達すると、上空の強い西風(偏西風)により速い速度で北東へ進むなど、上空の風や台風周辺の気圧配置の影響を受けて動きます。また、台風は地球の自転の影響で北~北西へ向かう性質を持っています。

平成30年(2018年)9月3日09時の地上天気図
(非常に強い台風第21号の中心が日本の南にある)

台風は暖かい海面から供給された水蒸気が凝結して雲粒になるときに放出される熱をエネルギーとして発達します。しかし、移動する際に海面や地上との摩擦により絶えずエネルギーを失っており、仮にエネルギーの供給がなくなれば2~3日で消滅してしまいます。また、日本付近に接近すると上空に寒気が流れ込むようになり、次第に台風本来の性質を失って「温帯低気圧」に変わります。あるいは、熱エネルギーの供給が少なくなり衰えて「熱帯低気圧」に変わることもあります。上陸した台風が急速に衰えるのは水蒸気の供給が絶たれ、さらに陸地の摩擦によりエネルギーが失われるからです。

気象庁 台風とは


日本気象協会

(a)の問題のように、台風の中心が海から供給される水蒸気で暖かいのはわかる。また等温線で描けば中心ほど上空まで暖かい。そもそも台風は低気圧なので上空には暖気核があるはずで、台風を等温線で描けば等圧線とは逆に中心が高いはず。しかし、これを式として考えることはまだできない。




第56回気象予報士専門試験
問12 雷ナウキャスト

気象庁が発表している雷ナウキャストについて述べた次の文(a)~(c)の正誤の組み合わせとして正しいものを、下記の①〜⑤の中から1つ選べ。
(a)雷ナウキャストは雷監視システムで雷の発生が確認されたときに発表され、雷の発生状況の解析と1時間先までの推移を予報する。
(b)雷雲の移動予測のほか、盛衰傾向は統計的手法によりある程度予測しているが、予測時刻の途中で新たに発生する雷雲は予測できない。
(c)雷の激しさや雷の可能性は活動度1〜4の4つの階級で表される。活動度2〜4は、既に積乱雲が発生しており、いつ落雷があってもおかしくない状況を表す。

(a)雷ナウキャストは雷の発生を予想するもので、「発生が確認された」を知らせるだけのものではないので

(b)その通り

(c)その通り

解答③


資料

雷とは?
雷は、大気中で大量の正負の電荷分離が起こり、放電する現象です。放電する際に発生する音が雷鳴で、光が電光です。雲と地上の間で発生する放電を対地放電(落雷)といい、雲の中や雲と雲の間などで発生する放電を雲放電といいます。

雷を発生させる電荷の分離は、雲の中で「あられ」と氷晶(小さい氷のつぶ)の衝突により起こると考えられています。湿った空気が激しく上昇して上空の低い温度の層に達すると「あられ」や氷晶が多量に発生し、雷雲となります。このため、雷は上空高くまで発達した積乱雲で発生し、雷雲の背丈は夏は7km以上、冬は4km以上となります。

気象情報の利用

雷ナウキャストとは

雷ナウキャストは、雷の激しさや雷の可能性を1km格子単位で解析し、その1時間後(10分~60分先)までの予測を行うもので、10分毎に更新して提供します。
雷の解析は、雷監視システムによる雷放電の検知及びレーダー観測などを基にして活動度1~4で表します。予測については、雷雲の移動方向に移動させるとともに、雷雲の盛衰の傾向も考慮しています。

雷ナウキャストでは、雷監視システムによる雷放電の検知数が多いほど激しい雷(活動度が高い:2~4)としています。雷放電を検知していない場合でも、雨雲の特徴から雷雲を解析(活動度2)するとともに、雷雲が発達する可能性のある領域も解析(活動度1)します。

なお、急に雷雲が発達することもあり、活動度の出ていない地域でも天気の急変には注意する必要があります。

気象庁 雷ナウキャストとは


気象庁 雷とは




第56回気象予報士専門試験
問13

気象庁が国土交通省や都道府県と共同で行っている、河川を指定した洪水予報(指定河川洪水予報)について述べた次の文(a)~(c)の正誤の組み合わせとして正しいものを、下記の①〜⑤の中から1つ選べ。
(a)指定河川洪水予報を行っている河川は、国土交通大臣が管理する河川であり、洪水によって国民経済上重大な損害が生ずるおそれのある河川が対象となっている。
(b)地震や大雨により、堤防等が被害を受けて機能が低下している場合は、指定河川洪水予報の発表基準を暫定的に引き下げて運用することがある。
(c)指定河川洪水予報行っている河川は、気象庁が発表する洪水警報、注意報の対象に含まれている。

(a)指定河川とは流域面積が広く国土交通大臣あるいは都道府県知事が指定したものなので


(b)その通りなので


(c)当然そうじゃないと困るので

解答④

資料
指定河川洪水予報

指定河川洪水予報とは
 河川の増水や氾濫などに対する水防活動の判断や住民の避難行動の参考となるように、気象庁は国土交通省または都道府県の機関と共同して、あらかじめ指定した河川について、区間を決めて水位または流量を示した洪水の予報を行っています。これを「指定河川洪水予報」と呼んでいます。

 指定河川洪水予報の標題には、氾濫注意情報、氾濫警戒情報、氾濫危険情報、氾濫発生情報の4つがあり、河川名を付して「○○川氾濫注意情報」「△△川氾濫警戒情報」のように発表します。

 指定河川洪水予報は関係行政機関、都道府県や市町村へ伝達され水防活動等に利用されるほか、市町村や報道機関を通じて地域住民の方々へ伝えられます。気象庁ホームページや各関係機関・自治体のホームページからも閲覧することができます。

 なお、これとは別に、指定河川洪水予報の発表対象ではない河川(水位周知河川、その他河川)も対象として気象庁が発表している洪水警報・注意報及び洪水キキクル(洪水警報の危険度分布)があります。「気象警報・注意報」及び「洪水キキクル(洪水警報の危険度分布)」のページもご参照ください。


指定河川洪水予報の対象河川
 指定河川洪水予報の対象となる河川は、大きく2種類に分けられます。

国土交通省と共同で行う指定河川洪水予報
 2つ以上の都府県にわたる河川または流域面積の大きい河川で、洪水によって重大な損害が生ずるおそれのあるものについて、国土交通大臣が指定します。国土交通大臣が管理する全国109の水系すべてで指定河川洪水予報が実施されています。

都道府県と共同で行う指定河川洪水予報
 上記以外の河川で、洪水によって相当の被害が発生するおそれのあるものについて、気象庁と協議して都道府県知事が指定します。都道府県と共同で行う指定河川洪水予報は、平成13年7月の水防法および気象業務法の改正を受け、平成14年5月から始まりました。

洪水予報指定河川の地図はこちら
洪水予報指定河川の一覧表はこちら


指定河川洪水予報の標題
 指定河川洪水予報は、河川名と以下の表の危険度のレベルに応じた情報名とを組み合わせて発表します。


 指定河川洪水予報の発表基準と発表された場合にとるべき対応は、以下の表のとおりです。

気象庁HP 指定河川洪水予報

令和2年3月にとりまとめられた河川・気象情報の改善に関する検証報告書に基づき、国土交通省と共同で指定河川洪水予報を実施する河川においては、大雨特別警報の解除後の氾濫への警戒を促すため、大雨特別警報を警報等に切り替える際、切り替え以降に河川氾濫の危険性が高くなると予測した場合等に臨時の指定河川洪水予報を発表します。この情報は、府県気象情報のページに掲載します。
※ 氾濫水の予報
 平成17年7月の水防法および気象業務法の改正により、従来の洪水のおそれがあるときに発表する水位・流量の予報に加え、河川が氾濫した後においては浸水する区域及びその水深の予報を行うことになりました。平成31年3月現在では、利根川及び阿武隈川の一部の区間において、氾濫水の予報を実施しています。

気象庁HP 指定河川洪水予報とは




第56回気象予報士試験 
問14

図は、A地点とB地点における冬季の30日間の最高気温と最低気温について、実況と予報の分布を示したものである。この図について述べた次の文(a)~(d)の正誤の組み合わせとして正しいものを、下記の①〜⑤の中から1つ選べ。ただし、見逃し率および空振り率は全予報数に対する割合とする。
(a)最低気温の予報について、系統的な偏りを平均誤差(ME)により求めると、正の偏りがあるのはA地点である。
(b)最高気温の予報について、二乗平均平方根誤差(RMSE)により予報誤差を求めると、B時点の方が予報精度が良い。
(c)冬日の予報の見逃し率は、A地点の方がB時点よりも低い。
(d)真冬日の予報の空振り率は、A地点の方がB地点よりも低い。

(a)
その通り


(b)
二乗平方根誤差とは誤差を二乗する(1つの誤差が大きいほど大きくなる)Bの方が精度が良いので


(c)
冬日とは最低気温が0℃を下回った日
見逃し率とは0℃下回るよ、と予想しなかった日

晴ノートさんより


だから、Bは見逃し率0なので
見逃し率はA地点が高い


(d)
真冬日とは最高気温も0℃を越えない日
ここで言う空振り率とは、今日は真冬日になるよ、と予報した日
というと、A点は4回出して空振り3
B点は2回出して空振り0
なので空振り率はA点が高いので

正解は➁

この問題あせってやると間違える。


第56回気象予報士試験
問15

図 A, B, C は異なる年の1月の月平均500ヘクトパスカルコードと平年偏差である。これらの図における大規模な大気循環と日本の天候の関係について述べた次の文(a)~(c)の下線部の正誤の組み合わせとして正しいものを、下記の①〜⑤の中から1つ選べ。

(a)図Aでは、極域が正偏差で極渦が弱く、東アジアから北西大西洋にかけての中緯度ではほとんど負偏差となっている。このような偏差パターンは負の北極振動と呼ばれ、これが卓越するときは、日本付近では低温となりやすい。
(b)図Bでは、ヨーロッパに負偏差、東経90度付近に正偏差、極東域に負偏差と、ユーラシア大陸を中心とする領域に、偏差パターンが見られる。このような偏差パターンは正のユーラシアパターンと呼ばれ、これが卓越するときは、日本付近では高温となりやすい。
(c)図Cでは、日本付近で亜熱帯ジェット気流が平年より北側に偏って流れている。このようなパターンが卓越するときは、降水量(雪を含む)が日本海側で多くなりやすく、太平洋側で少なくなりやすい。

(a)
その通り


(b)
日本付近は高温ではない


(c)
日本は暖かくなっているので

正解は⓷


北極振動については勉強しないといけない。亜熱帯ジェット気流との関係や異常気象とのことも関係ありそうで勉強不足。



資料
気象庁のHPより見つけました。

2020年冬の天候の特徴とその要因について
~異常気象分析検討会の分析結果の概要~

報道発表日
令和2年4月14日
概要
2020年(令和2年)冬(2019年12月~2020年2月)、日本に記録的な暖冬をもたらした大規模な大気の流れについて、異常気象分析検討会においてその要因を分析し、見解をまとめました。
本文
天候の状況
2020年冬は全国的に高温となり、日本の冬平均気温偏差は+1.66℃で、冬として1898年冬(1897年12月~1898年2月)の統計開始以降最も高い記録を更新しました。また、降雪量は全国的にかなり少なく、北日本日本海側と東日本日本海側では1962年冬(1961年12月~1962年2月)の統計開始以降最も少ない記録を更新しました。

今冬の天候をもたらした要因
今冬は、シベリア高気圧及びアリューシャン低気圧がともに冬を通して平年よりも弱かったことから、冬型の気圧配置となる日が少なく、日本付近への寒気の流入が平均して弱くなりました。このような状況をもたらした大規模な大気の流れの特徴とその要因は以下のとおりです。
・大気上層を流れる偏西風が日本付近で北に蛇行し続けました。この偏西風(亜熱帯ジェット気流)の蛇行の一因として、熱帯域の積雲対流活動がインドネシア付近で不活発だったため、中国南部付近で亜熱帯ジェット気流が南に蛇行したことが影響したと考えられます。
・1月以降、正の北極振動が卓越し、ユーラシア大陸北部では寒帯前線ジェット気流が明瞭化するとともに、ヨーロッパからシベリア東部にかけての広い範囲で寒気の蓄積が弱まりました。この影響で、日本付近への寒気の流入が弱かったものと考えられます。
・偏西風の蛇行や正の北極振動による影響に加えて、地球温暖化に伴う全球的な気温の上昇傾向が続いていること、さらに北半球中緯度域で全体的に対流圏の気温が著しく高かったことも、今回の記録的な暖冬の背景にあったと考えられます。

気象庁


2020年冬の平均的な大気の流れに関する模式図

次にウィキペディアより調べると、、

北極振動とは[編集]
1998年にデヴィッド・トンプソン(David W. J. Thompson)とジョン・ウォーレス英語版)によって提唱された。彼らは北半球の海面気圧の月平均の平年からの偏差を主成分分析して、第1主成分(EOF-1)としてこのような変動が取り出されることを提唱した[1]。この変動は冬季に顕著に現れ、日本など中緯度の気候と強く関連するため、赤道側のエルニーニョ現象と並び近年注目されている[1]南半球においても南極南半球中緯度の気圧が逆の傾向で変動する現象が見つかっている(南極振動(AAO))。

北極の気圧が平年よりも高いときには中緯度の気圧は平年よりも低くなる。主成分分析の結果得られるこの偏差の程度を表す値を北極振動指数(AO指数、AOインデックス)という。北極振動指数は正負の値により表される。正(+)の時は北極と北半球中緯度の気圧差が大きいことを示し、"warm phase"と呼ばれているように中・高緯度では寒気の流れ込みが弱まって温暖になることが多い。一方負(-)の時は北極と北半球中緯度の気圧差が小さいことを示し、"cool phase"と呼ばれているように寒気の流れ込みが強まって寒冷になることが多い。

北極振動指数が正(+)のとき
北極の地上気圧が平年より低い
北半球中緯度の地上気圧が平年より高い
北極上空成層圏下部の気温が低い
北極上空成層圏下部の極渦が強い

北極振動指数が負(-)のとき
北極の地上気圧が平年より高い
北半球中緯度の地上気圧が平年より低い
北極上空成層圏下部の気温が高い
北極上空成層圏下部の極渦が弱い

ウィキペディアより


こんにちは。
勉強不足が露呈してきました。
とりあえず、専門もう少しやります。

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