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【美術ブックリスト】『金巻芳俊作品集 タメンタヒ』金巻芳俊著

目や鼻など顔の造作が蛇腹のように増殖する木彫で知られる彫刻家・金巻芳俊の国内初作品集。
仏像彫刻の多面多臂(タメンタヒ)に触発されたその表現は国内外で注目を集める。初期から代表作までを収録し、ドローイングやマルチプルも掲載。
予備校時代からの盟友である美術家・蜷川実花との対談も収録。
ここまでが概要。

ここからが感想。
人間の内面の両義性を即物的に表現した「アンビバレンツ」の作品は、衝撃的であると同時に木彫の伝統が見えて感心した記憶がある。抽象概念の即物的表現というのは仏像に顕著で、口から仏たちが出てくる空也上人像や、牛の頭を載せた牛頭天王などいくつもあるからだ。
本書で一番面白かったのは、制作工程の部分。普通の木彫となんら変わらない工程で、多面多臂に特有の彫り方の説明があるわけでもなく謎のままになっている。

154ページ B5判 3000円+税 芸術新聞社

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▼目次
作品紹介
◎Capriceシリーズ
◎Mistyシリーズ
◎Personaシリーズ
◎Prismシリーズ
◎Anaglyphシリーズ
◎Manifoldシリーズ
◎Memento moriシリーズ
◎Drawings
◎Multiple

資料
◎《揺・カプリス》制作記録
◎対談 作家として生きるために ゲスト:蜷川実花
◎金巻芳俊を読み解く50問50答
◎金巻芳俊 個人年表
◎略歴
◎作品リスト


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