meceloが終了して分かったこと

 芸術家支援プラットフォーム「mecelo」が3年足らずで終了していることをさきほど知りました。残念。

 画家をクラウドファンディングのように手軽に資金応援するサービスでした。弊社でも「月刊美術プラス」という若手応援サイトを立ち上げたのと同じタイミングのスタートでした。記録では2018年10月18日、私は青山学院大学を挟んでちょうど反対側のオフィスで行われた記者発表に行って取材しています。スタートしてしばらくは作家数も増え、インタビュー記事も充実していたので、これに掲載された作家さんは嬉しいだろうなと、横から眺めていました。

 しかしながらこの宮前さんが言っているように、なかなか支援者の数を増やすことができなかったようで、それは私もサイトを見て感じていました。
さてこの方は「なぜアート鑑賞や所有の楽しさ・嬉しさを大人が実感しにくいのか」、その背景として以下をあげています。

1 賃貸物件の壁に穴をあけられないなどの制約があるため家に絵を飾りにくく、ホームパーティー文化も小さい(他の人に見て貰える機会が少ない)
2 宗教画を大人も子供も一緒になって鑑賞するような、既存の鑑賞習慣がほとんどない
3 ほかに手軽に鑑賞して楽しめるコンテンツが豊富にある

 一言で言えば「美術品を買って、飾って、楽しむ習慣がない」という主張です。そうでしょうか?  世の中には画廊や百貨店があり、作家もいて作品は販売されています。むしろ問題は美術品を購入する人たち、つまりコレクターや美術ファンに向かって発信しなかったことではないかと思います。美術品というのは、買わない人はいくら薦めても買いません。たとえ美術館めぐりをしたり、画集を買って楽しんだりする「美術好き」であっても、買うということは全く別のことです。逆に美術品を買う人は、2点も3点も、10点も100点でも買います。お金がなくてもローンを組んででも買う人がいます。この人は美術品のそうした特性を知らなかったと思われます。というのも、この人自身が美術品の購入体験を語っていないからです。簡単にいうと供給側の希望はきいても、需要側の利便や所有欲に応えようとしていなかったということです。

 これに気づくか気づかないかは、オンラインサービスだけでなく画廊や作家を含むすべての美術の仕事の成否を左右します。ぜひ失敗から学んで、再起してほしいと思います。

https://plus.pixta.co.jp/entry/2020/12/28/120000?fbclid=IwAR32NoalZgJDPLsxeLFVYOCvvI2XU12fcv4c6j4LCi4gh9BEZ5d_Ue7AV3w

2021年1月7日

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