見出し画像

【美術ブックリスト】『塩谷亮の写実絵画教本』

写実絵画の名手が懇切丁寧に説明する教本。
一枚の作品ができるまでの構想から構図決め、エスキース作り、支持体と地塗り、制作という一連の作業を段階を踏んで図と文で解説している。
ここまでが概要。

ここからが感想。
説明に飛躍がないので、実作の現場で参考になる。文だけでなく写真もほとんど著者自身が作成したらしく、とてもよくまとまっている。
写実絵画というと、写真のような平面上の視覚像の精細さだけが問題とされるが、実際には三次元の立体を二次元にするには精度だけではない技法の積み重ねが必要であることがよく分かる。
完成作の図版も豊富で画集としても楽しめる。数ある写実本の中でも群を抜いて読みやすく分かりやすく含蓄が深い。

136ページ B5判 3300円 芸術新聞社


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?