マガジンのカバー画像

美術・アート系の本

367
美術に関する新刊・近刊を中心にしたブックレビューです。
運営しているクリエイター

2024年4月の記事一覧

【美術ブックリスト】『短編画廊 絵から生まれた17の物語』ローレンス ブロック編著

【概要】 アメリカの画家、エドワード・ホッパーの絵画それぞれに、現代の小説家が短編の物語を創作したアンソロジー。ローレンス・ブロックの発案で、ブロック自身も一編書いている。ミステリーとサスペンスが多い。 【感想】 もともとある物語をテーマに画家が絵を描くことは、ギリシア神話や聖書を題材にした神話画・宗教画がそうであるように絵画の王道である。歴史もひとつの物語と考えると、歴史画も同じ範疇にはいる。いわゆる「お話の絵」だ。それとは逆に、もともとある絵画作品を題材に小説を創作する

【美術ブックリスト】『色の物語 ピンク』ヘイリー・エドワーズ=デュジャルダン

【概要】 色の歴史とストーリーと影響力をアート作品の美しいビジュアルでたどる「色の物語」シリーズの青に続く第2弾。ボッティチェッリのヴィーナスやロココの官能的な肉体、モネやピカソ、ポップカルチャーでの使用例など存在感を放つピンクの意味をフランス人美術史研究家が解説する。 丸山有美訳 翔泳社  B5変 108ページ 3000円

【美術ブックリスト】『ハコウマに乗って』西川美和

雑誌「Number」「文藝春秋」に2018年から23年まで連載したエッセイ。コロナ禍、オリンピック、ウクライナ戦争、ハラスメント問題など時代に向き合う言葉の数々。表紙絵・挿絵を担当した銅版画家・本村綾との邂逅「やっとあえた」に創作者として通じる思いを見た。 文藝春秋 四六判 208ページ 1800円

【美術ブックリスト】『AIと著作権』上野達弘、奥邨弘司編著

【概要】 高機能生成AIの登場によってAIをめぐる著作権制度に注目が集まっている。日本の権利制限、諸外国の対応、ライセンスビジネスとの関など、AIと著作権に関する研究の「現在地」を示す。生成AIブームを冷静に見通すための法学的な予備知識が詰まった一冊。 勁草書房 A5判  353ページ 3000円

【美術ブックリスト】『失われた絵画を再生する デジタル技術を用いた復元への挑戦』木下悠

【概要】 貴重な文化財を高精細に記録して作品公開や保存を可能にす る 「 デ ジ タ ル ア ー カ イ ブ 」。北斎の絵馬、大坂冬の陣図屏風、モネの睡蓮といった本来の姿を失った美術品を、残された写真や模写、様々な資料とともに読み解き分析して再生していった著者が復元現場を語る。 中央公論美術出版 四六判 257ページ 3600円

【美術ブックリスト】『クロード・モネ 旅のための作品集』岩﨑余帆子

【概要】 ポーラ美術館学芸課長である著者が、モネが描いた風景をエリアごとに紹介。ノルマンディー、セーヌのほとり、オランダ、ジヴェルニーなど、モネとともに空想の旅にでるかのような一冊。いつか聖地巡礼の旅に出かける際にももってこい。 東京美術 A4変 192ページ 3200円