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美術・アート系の本

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美術に関する新刊・近刊を中心にしたブックレビューです。
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2024年2月の記事一覧

【美術ブックリスト】『How to Collect Art』 Magnus Resch著

【概要】 これまで『画廊経営(Management of Art Gallery)』『アーティストで成功する方法(How to become a successful Artist)』といった、アート業界の担い手になる指南書を続けて刊行してきた著者による「アートコレクションの方法」についての指南書。  アートを買うことでもたらされる喜びを概説したあと、美術品は金銭的な投資には向かないことが早々に語られる。アートコレクションは楽しい。では、どこで、どの作家の作品を買うのがいいか

【美術ブックリスト】 『ファスト教養 10分で答えが欲しい人たち』レジー著

【概要】 音楽ライターの著者が、「教養を身につけてビジネスを乗り越えよう」「ビジネス教養としての〇〇」などと謳われるときの、新しい意味での教養をファスト教養と名付けて、その功罪と背景を分析している。現代の教養は、「ビジネスで勝つため」「周囲を出し抜くため」に、「コスパ重視」で身につけるざっくりとしたインスタントな知識となっていることを、中田敦彦、ホリエモン、勝間和代といった具体的な人名や書名をあげて解説。その背景には、成功しなければ時代に淘汰されてしまうという不安があること、

【美術ブックリスト】『学芸員しか知らない 美術館が楽しくなる話』ちいさな美術館の学芸員 著

【概要】 匿名の著者は、都内の美術館に勤務する現役の学芸員。一般には知られていない美術館学芸員の日常業務をひとつひとつ丁寧に記している。展覧会ができるまでの苦労や葛藤、図録製作に必要なデザイナーや作品の搬出搬入業者、修復家といった仲間との連携まで、細かく説明。雑芸員と揶揄されるその仕事について、誇りをもちつつも、功罪を意識して語っていたりする。 【感想】 もともとこのサイト「note」の記事だったものを、出版社からの声かけで書籍にまとめたものらしい。もとのウェブの記事にいく