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美術・アート系の本

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美術に関する新刊・近刊を中心にしたブックレビューです。
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2021年9月の記事一覧

アルベルティ著 『絵画論』 中央公論美術出版

古典中の古典である『絵画論』を図書館で借りてきて読みました。 レオン・バッティスタ アルベルティは1404年イタリア・ジェノヴァに生まれたルネサンス初期の人文学者。 絵画論のほか、建築論も書き残しています。理論家であり、同時に実作者であったとされますが、残念ながら絵画作品は残っていません。 この絵画論によって遠近法が定式化され西洋絵画が確立されたと言われます。またレオナルド・ダ・ヴィンチが教科書にしたことでも知られています。 中身は3巻にわかれます。第1巻では点、線、面

【美術・アート系のブックリスト】 グレイソン・ペリー著『みんなの現代アート──大衆に媚を売る方法、あるいはアートがアートであるため』  フィルムアート社

 皮肉とユーモアでふざけつつ、ときどきアートの核心をついて真面目に現代アートを語る本。元となったのはBBCラジオ「リース・レクチャー」での講義で、同番組始まって以来一番の人気となったといいます。  著者グレイソン・ペリーはイギリスの著名アーティスト。陶器の彫刻やタペストリー、写真といった作品のほか、男性なのに女性用の服を着るドレスクロッシングでも知られているようです。ターナー賞受賞作家であり、この本を出版した翌年の2015年にはロンドン芸術大学の総学長に就任しているから、バリ