2019.9.25

綺麗ゴトを綺麗なまま終わらせることがどんなに難しいことか、誰もが知っている筈だった。綺麗はどこにもない、どこにもないから難しい漢字をつけて、簡単ではないけれど何処かには存在している風に誤魔化した。期待をした。している。貴方の怒号に愛を感じたことは一度だってなかった。許されたいばかりの謝罪にウンザリする。本当に呆れるのは、呆れながらに何度も何度も「いいよ」と言って許したフリをする私の方。不器用だなんて免罪符を切って、愛そうと、愛されようと躍起になるのは、器用だよ。人間だったんだ、誰よりも。くだらないね。人間。名前を借りてきて、貼り付けて、安心しているだけの関係性にずっと酔っている。寄り掛かっている。

甘い。ショートケーキ一つで許されようという魂胆。見え透いた不届きな愛にフォークを突き立て、引き裂く。馬鹿にしたような甘さが余計に私を苛立たせることに、一生かけても気付けない貴方は、幸せですね。日々の所労にかこつけて思考を怠り、有り触れた優しさや愛しさにミをソめる。私のために色褪せた身体を、金色に塗して、満足している。似合うよ。その厭らしいばかりに輝く金色が。貴方の幸せの色ですね。ああ、良かった。貴方が勝手に幸せになれる人で本当によかった。私はまた独り土砂降りの雨を降らせた後、貴方の金色が見事に剥がれ落ちるのを、虹と共に遠くで眺めていようと思います。



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