2019.8.9

破裂した偶然が運命を織り、一切を綾なす

人を好きになること以上の罪がこの世に存在するというのか。年中、僕らは吐いていた。光を通さぬ脂が、無表情に肉と肉を繋いでいる。一人格の中で完結する愛に、誰一人救えやしないということを、知らないまま恋人になる。正しさを忘れると、全ての真実が現れて、神を名乗り、暴力を許し、思考を裁いた。

錆びたブランコが悲鳴をあげ俄かにこの星は呼吸を止めた。口付けをする間も無く恋人は会社へ行き、私は出しそびれた資源ごみを眺めてまた一日を無駄にするのだろう。丸焦げのリンゴを齧って、水の惑星はまた息を吸う。吐く。幼い鍵穴を弄っては、扉の装飾に巣食う小さな蜘蛛を、もう何日も眺めています。

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