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原発処理水の海洋放出について、各新聞社はどう考えているのか、多角的に考察します


新聞社によって、原発処理水海洋放出に対しての態度が異なります。いろいろ読み比べているのですが、特に意見が分かれるのが、原発をめぐる問題です。

一言で原発といっても、さまざまな課題があります。原発再稼働をめぐる問題、原発処理水の問題、安全対策への課題などです。

今回は、処理水海洋放出に対して、各社はどう考えているのか見ていきます!

この記事でわかること

・原発処理水の海洋放出の賛否両論

・各新聞社の社説を横断的に理解できる

注意

取り上げる新聞社、順番に意図はありません。また、私は常に中立な立場であり、どこかに偏っているということもありません。


読売新聞

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参考 読売新聞朝刊


「処理水海洋放出 円滑な実施へ風評被害を防げ」 引用(2021.4.14読売社説)

これは、読売新聞の社説からの抜粋です。「社説」は各社の意見や考えが表明されている記事です。


そもそも社説ってなに?

「社説」で取り上げられる内容は、いま考えるべき話題、世間で話題になっていることです。そのため、社説を読むことで、いまの時代に考えるべき課題が分かります。

社説で表明されている考えが、自分と異なることがあるかもしれません。とはいえ、新聞を批判的に読むことも大切だと思います。

自分と考えていることが違う場合は、このような意見もあるんだなと多様な考えを受け入れる気持ちで読んでいます。

毎日継続して、同じ新聞社を読んでいると、自分の考えと近くなりがちです。そのため、ためには違う新聞社を読むと、自分と意見が大きく異なることに気付きます。


さて、本題に戻ります。

上で取り上げたのは、社説の見出しです。「円滑な実施へ」ということから、読売は原発処理水の海洋放出に反対の立場ではないことが分かります。

処理水は毎日大量に発生しており、それを貯める貯蔵タンクも限界にきています。

そのことを踏まえて、「先延ばし」は許されない状況だと説明しています。


「処理水は、今後30年間にわたって、徐々に放出していく予定だという。東京電力と政府は、綿密な計画を立てて、着実に放出を実行してもらいたい」。 引用(2021.4.14読売社説)

読売新聞は、処理水放出にともなう風評被害の懸念から、漁業関係者のあいだで反発が広がっていることに理解を示しています。

とはいえ、希釈して処理水放出を行うことは、海外でも行われていることを取り上げたうえで、処理水の処理方法にほかの選択肢はないとしています。

さらに、処理水に含まれる放射性物質は自然界にも存在することを取り上げ、処理水放出をすすめる構えです。


まとめると、読売新聞は、処理水の海洋放出について、海洋放出が一番良い選択肢と考えているようです。


朝日新聞

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参考 朝日新聞朝刊


「処理水の放出 納得と信頼欠けたまま」 引用(2021.4.14朝日社説)

朝日新聞の社説の見出しです。朝日新聞は、海洋放出について、他の選択肢はないのかと提案したうえで、慎重な立場です。

政府と東京電力は、地元への理解をえることが最優先だと主張しています。

原発の処理水海洋放出は初めての試みであり、「不測の事態」が起きる可能性があることに懸念を示しています。


「22年秋にタンクは満杯になるというが、新たなタンクを設けるなど、さらに貯蔵する余地はないのか。期限ありきの放出は許されない」。 引用(2021.4.14朝日社説)

社説の最後で、はっきりと朝日新聞の立ち位置を確認できます。海洋放出は最後の選択肢で、ほかの選択肢を考えるよう、東電や政府に迫っていることが読み取れます。

最終手段として、海洋放出をするにしても、地元の人々や漁業関係者らとの対話が不可欠です。


日本経済新聞

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参考 日本経済新聞


「処理水の海洋放出は地元の理解重視で」 引用 2021.4.14日経社説

日経は、政府が決めた処理水の放出には、根強い反対意見があることを踏まえたうえで、地元の理解をえたうえで、処理を実行すべきだとしています。

このことから、処理水放出には後ろ向きではなく、地元の理解が得られるのあれば実行してもよいということが読み取れます。

漁業関係者は、風評被害にこれまで悩まされてきました。いまなお続く、海外の輸入規制によって、経営に大きな打撃を及ぼしているのは確かです。

しかし、これまで着実に積み上げてきた信頼によって、少しづつ、輸出が可能になっているときに、原発処理水の放出によって、風評被害が強まれまば、ふりだしにもどってしまいます。


まとめ

私なりに各新聞社の立ち位置をまとめてみました。


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朝日新聞は、社説で、海洋放出以外の選択肢はないのかと、海洋放出には反対の立場であることを示しています。

日本経済新聞の社説では、地元の理解を得ることが最優先であることが読み取れ、海洋放出は、地元の理解を得てから、着手するべきだとしています。

読売新聞は、海洋放出による、風評被害が発生することに言及しつつも、それが現在の最善の選択肢であることが分かります。


最後までご覧いただき、ありがとうございました!


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