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原因の判明

2021年5月17日(月)

丸一日くらい食べていない
このままでは死んでしまう

命の危機を感じながらも飼い主は仕事へ向かった

帰宅し、まだ息がありウサギが頑張っていた
強制給餌試みるも飲み込まず
舌で器用に押し出し全部だしてみせた

飲み込む体力は残っていないのか…

ほとんど動かず何かに耐えている
トイレにすっぽりはまってうずくまっている

事前にインターネットで調べていたウサギに詳しい先生がいる動物病院へ電話する

時間外であるにも関わらず受け入れてくれる事になった

タクシーで30分以上の場所
5000円以上飛んだが構ってられない
いくらでもくれてやる

病院に到着
予約した時間に診察が始まる

開始早々、触診と口の中を診て食べなかった原因を特定する先生
さすがです…

右の頬が腫れているのは気のせいではなかった
頬に膿が溜まっていた

口の中で細菌感染を起こしゆっくり進行していたそれはやがて顎の骨を溶かしていた

骨の穴から漏れ出た膿が頬の皮下に溜まっていた

更に口の中では、舌が切れていた
どうやら自ら噛んでしまったようだった

ではなぜ、そんな事が起きたのか

根本の原因は臼歯の伸びすぎにあった

前の病院では歯はそんなに伸びてないですね~との事だったので、やはりウサギの診察は難しいのだろう

口の中の診察は、どちらの先生も同じ方法で口の中を目視していたためウサギの口の中を何十、何百も診てきた先生でないと診られないのかもしれない

で、伸びすぎた臼歯がどうしてこうなるかと言うと、

口内に刺さるもしくは咀嚼した時に口内を噛んでしまう


傷ができる

バイ菌が入る

化膿する

細菌感染が進行

骨に細菌が付着し溶かしていく

骨に穴が開く

口の中が痛くてどうしようもなく
食べられない

というプロセスである
なんでここまで気が付けなかったかな…それは思う

体重は徐々に落ちていたがダイエットもしていたためわからなくなっていた

ウサギの食欲のバラメータはフンを見ればわかりやすい
食べなくなってくると大きさが小さくなるのだ

だから“いつもの”“この子の標準の”フンを覚えておかなければならない

モリモリ食べていた頃のフンを保管しておくのも手かもしれない(ウサギのフンはほぼ草みたいなものなので匂いや水気もなくジップロックなどで保管しても汚いものという感じはしない)

飼い主はフンの大きさが“いつも通りだから大丈夫”“食欲があるぞ”と思っていたので、ある日突然食べなくなったかのように見えていた

でも少しずつ病気が進行していたんだな…

ウサギの病気の早期発見は難しいとひしひしと感じた

ウサギの健康診断に病院に通うというのは大切なのだ
ただ、普段通っていた病院では以前健康診断に来ましたと言ったら健康診断は特にやってませんが…と言われてしまったため行っていなかった

ウサギの健康診断を薦める獣医師はウサギを診断できる獣医師なのかもしれない

話を戻す

病院で原因がわかったウサギ
手術を受けることになった

ガスの麻酔を吸入しつつ、伸びた歯を削り
頬に穴を開けて排膿し中を洗う
頬の穴はあえて縫わず開けておく
術後も少しでも排膿を促すためだ

手術が終わった
麻酔から覚めたウサギがいた

これからは飲み薬(胃薬、痛み止め、抗生剤)と強制給餌を併用し自ら食べられるようになるのを待つことになる

それでもダメなら細菌感染を起こしている部分の歯を抜く手術を行わねばならない

骨に細菌付着すると厄介なもので
なかなか菌はいなくならない
骨の奥へ奥へと行ってしまうのからだ

骨は取れないため菌が付いている歯の根元から取るという方法

この病気は骨を溶かすまで進行してしまうと完治は難しい
一生、細菌が増殖しないようコントロールしていくしかないのだ

こうして、第二の闘病生活が始まろうとしていた…

この日、家に帰って流動食を食べさせようと試みるもやはり口から吐き出して食べられなかった

5月18日(火)



仕事前に飲み薬と流動食
薬は飲めるがやはり食事ができない

薬は粉末状であり水に溶かして注射器で口の中へ入れる
流動食も同じく注射器で口へ入れる

液体は飲み込めるが流動食(草食動物なので繊維質が含まれたものであり粉を水に溶かすとはいえザラザラしている)は飲めないという事は、固形物はもう飲み込めないのかも知れなかった

とりあえず少し水を飲ませておいた

あとは仕事から帰ってきたらどうなっているか…だ

今まで以上にぐったりしている
やはり食べられない
体力は相当落ちている

試しに100%リンゴジュースを買ってきていた
原材料は確認済みだ

リンゴ果汁/香料
とあった

香料が気になるところだがそれしかなかったし、気にしている余裕はなかった

注射器で口元へ
リンゴジュースを舐めようとしている

口へそっと注入する
ペロペロなめていた

薬はリンゴジュースで溶かして飲ませた

日々、“今日が山か…”と思っていた
そしてついにその日が来てしまった

力がなくぐったりしているはずなのに
突然少し走ってはぐったりし意識が飛びそうになっている

亡くなる前のちょっとした発作だった
ケージの扉を開けて撫でつつ見守る

本人は意図してどこへ走ろう、等とは考えていないだろう
顔をぶつけたりしている

やがて飼い主の方へ飛んできた
顔をぶつけるのはかわいそうなので抱きしめた

走ろうとして動きが止まり…を数回繰り返している
暴れるウサギを抱き続けた

やがて、開口呼吸を取る
鼻で呼吸できなくなり、口を思い切り開けて息を吸い口を閉じるを繰り返す状態だ

そうして…動かなくなってしまった
21:30頃の出来事だった

帰宅したのは20時頃だったろうか…
その日の仕事は19時まであった

…間に合った。
最後まで生きようとする姿を見せてもらえた

最後まで、リンゴジュースを飲もうと、生きようとしていた
死にそうなのに飲めるなんて相当美味しかったかい?

ドールの紙パックのリンゴジュース…
これがこの子との思いでの商品になってしまった

そっとペットベッドへ寝かせてあげる
まだ硬直しきってはいない、くたくたと力なくからだがふにゃふにゃである

まだ、暖かい…

残ったリンゴジュースを飼い主は飲み干した
お別れの儀式でもするかのように

これが、彼の5歳1ヶ月の生き様である

ありがとう
よく頑張ったね

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