自分

神様編
神様達
私の地域には、オシラ様達が集うお寺がある。
毎週日曜日、近隣、又は県外からも自分達のオシラ様を連れてきて、祭壇に飾られてご祈祷が始まる。
 毎年5月には大祭といって、普段来れない方々も大祭だけはという感じで、何百人も集結し、オシラ様達も✖️2の数が飾られるので、祭壇は埋め尽くされ、その数に圧倒される。

 きらびやかな金襴緞子、首からいろんなメダルみたいなのをぶら下げたり、キンキラキンの冠を被ってるオシラ様もいる。
 本来手は無いのだが、手を付けて笏を持ってるオシラ様もいる。
 まさしく豪華絢爛。
 その家や家族の無病息災や繁栄を先祖代々守って来て、そのお陰様という意味でメダルをオシラ様にかけたり、冠を被せてあげたりしてるのだろう。

 そういう豪華絢爛なオシラ様は、大抵真ん中あたりに飾られ、私達のオシラ様みたいに、ノーマルな感じのオシラ様達はその周りに飾られる。
 神様達にもやはり位があるらしい。

 各自持ってきたお供物を供え、ローソクを立てる。
 炎の形をした巨大なロウソク立てなのだが、火をつけ始めると不思議な現象が起きる。
 火をつけた途端、炎が激しく揺れるロウソクもあれば、静かに灯ってるロウソクもある。
 最初何でだろう?と思って見ていると、背中に般若心経が書かれた羽織を着たおばぁちゃんみたいな人が来て、静かに灯ってるロウソクの所で、鈴がいっぱい付いた仏具みたいなのをシャンシャンシャンて鳴らすと、不思議な事に静かな炎だったのが、ボウッボウッと激しい炎に変わる。
 空気の流れとかでない、明らかに何かの力が加わったという感じ。
 魂が宿ったというべきか。

 以前知り合いの家で、観音様の彫り物を祀る 事になり、それに魂入れする時の話を思いだした。
 その木彫りの彫り物は高さ1mくらいで、普通に持ち運び出来る重さなのだが、神様と呼ばれるイタコみたいな人に拝んでもらい、魂入れをしてもらってる最中、窓から白い何かがブワッとその木彫りの観音様に入っていき、その後大の大人が2人がかりでも持ち上げられなかったと。

 それと同じような事なんだと思う。
 目には見えないが、いろんな力が働いているのを実感する。

 私達のオシラ様夫婦は、たまたま真ん中寄りの飾りがいっぱい付けられた位が上のオシラ様達の隣あたりに飾られ、緊張してるであろう雰囲気が伝わってきた。

 それぞれの願いや思いを書いた護摩木を祭壇真ん中で一人一人順番に炊き上げ、和尚様がその炎の前でご祈祷する。

 TVや新聞の取材、大学の研究生みたいな方達も来て取材している。

 ご祈祷も全て終わり、帰りの車の中で、妻にオシラ様が降りてきて、「とても楽しかった、仲間と久しぶりにいろんな話をした。偉い神様達の隣で緊張もした」と、感謝の気持ちを伝えてもらった。

 家族の為、陰で応援してくれている神様達の為にも頑張らないと、と誓う自分であった。 

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?