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【歌詞和訳】SCARBOROUGH FAIR/CANTICLE(スカ-ブロ フェア/聖歌) / SIMON AND GARFUNKLE

ハーブの名がキーワードなり
parsley, sage, rosemary and thyme
パセリ、セージ、ローズマリー、タイム
 
花言葉にて
パセリ「死の前兆」、セージ「幸福な家庭」、
ローズマリー「追憶(私を思って)」、タイム「勇気」
 
魔除けのおまじなひ(呪文)

戦場に行く兵士に生きて帰ること願ふ恋人の別れの花束
といふ二つの意味。
 
"Scarborough Fair"(スカ-ブロの市(いち))は、
英国(England)の伝承詩 "The Elfin Knight"(妖精の騎士)を元にさるるといはる。

Francis J.Child "The English and Scottish Popular Ballads"
Volume 1_Part 1 #2"The ELFIN KNIGHT"

妖精の騎士を慕ふ乙女の前に、その騎士が現る。
乙女の幼きを知りて、慕ふを断つたむと
不可能と思はるる仕事をたくさん挙げ、それを遂げらるれば結婚するといふ。
逆に、乙女はそれをなすために不可能と思はるる条件を挙ぐ。
英国にて、妖精は人を惑はする魔物。
吟遊詩人にて伝へられて内容の変化したるもの幾つも存在す。
 
スカブロの市場に向かふ人に妖精が言ひ掛く。
そこに住みゐる人に思ふを言伝てむ。
その伝言を受くる相手にとりて成し得ぬやうな無理難題を語る。
妖精は市場に向かふ人の態度によれば魔界に連れ込まむとす。
されど、その人、おまじなひにハーブの名を四つ唱へて妖精を退けむとす。
ここにハーブは魔除けのおまじなひ(呪文)なり。
 
英国伝承の話を基にしたる歌は
反戦歌 ”The Side of a Hill”(written by Paul Simon)を重ねらる。
反戦への祈りの部分を敢へて ”canticle” とす。
 
戦場の男が故郷に帰る兵士に言伝てむ。
残しし女に我を思ひ出でさせ、無理難題を挙げ
成し得ぬならば我を忘るること勧む。
(戦場より故郷に帰ることあたはぬゆゑに)
ここにハーブは、花言葉に従ひて恋人に別れを告ぐる花束なり。
 
“SCARBOROUGH FAIR / CANTICLE”(スカ-ブロの市/聖歌)
1968
作詞作曲:ポール サイモン(Paul Simon, 1941- , アメリカ)
歌:ポール サイモン & アート ガーファンクル(Art Garfunkl, 1941- , アメリカ)
和訳:高安城 征理
 
Are you going to Scarborough Fair?
スカ-ブロの市に行くところですか
 
Parsley, sage, rosemary and thyme
パセリ、セージ、ローズマリー、タイム
 
Remember me to one who lives there
そこに住んでいる人にわたしのことを思い出させてください
 
She once was a true love of mine
その人はかつてはわたしの真の恋人でした
 
Tell her to make me a cambric shirt
(On the side of a hill in the deep forest green)
その人に話してください わたしにケインブリック生地のシャツを作ってくれるように
(深い森の緑の中の丘の斜面で)
 
Parsley, sage, rosemary and thyme
(Tracing a sparrow on snow-crested ground)
パセリ、セージ、ローズマリー、タイム
(雪の被った大地の雀を辿って)
 
Without no seams nor needlework
(Blankets and bedclothes the child of the mountains)
縫い目も針の跡もなしで
(毛布と寝具に包まれた山の子どもは)
 
Then she'll be a true love of mine
(Sleeps unaware of the clarion call)
それができたら、その人はわたしの真の恋人になるでしょう
(甲高い呼びかけに気がつかないで眠る)
 
Tell her to find me an acre of land
(On the side of a hill, a sprinkling of leaves)
その人に話してください わたしに1エーカーの土地を見つけてくれるように
(丘の斜面で、まばらに散る葉が)
 
Parsley, sage, rosemary and thyme
(Washes the grave with silvery tears)
パセリ、セージ、ローズマリー、タイム
(銀色の涙で墓を洗浄する)
 
Between the salt water and the sea strand
(A soldier cleans and polishes a gun)
海水と海岸の間に
(兵士は銃を掃除して磨く)
 
Then she'll be a true love of mine
それができたら、その人はわたしの真の恋人になるでしょう
 
Tell her to reap it in a sickle of leather
(War bellows, blazing in scarlet battalions)
その人に話してください 革の鎌で刈り取って
(戦争は轟き、緋色の大隊で燃え上がる)
 
Parsley, sage, rosemary and thyme
(Generals order their soldiers to kill)
パセリ、セージ、ローズマリー、タイム
(司令官は兵士に命令する、人を殺すことを)
 
And to gather it all in a bunch of heather
(And to fight for a cause they've long ago forgotten)
ヘザーの一束として全部一緒にするように
(ずっと以前に忘れてしまった大義のために戦うことを)
 
Then she'll be a true love of mine
それができたら、その人はわたしの真の恋人になるでしょう
 
Are you going to Scarborough Fair?
スカ-ブロの市に行くところですか
 
Parsley, sage, rosemary and thyme
パセリ、セージ、ローズマリー、タイム
Remember me to one who lives there
そこに住んでいる人にわたしのことを思い出させてください
 
She once was a true love of mine
その人はかつてはわたしの真の恋人でした
 
※“canticle” とは、聖歌のこと
 主にキリスト教の言い方で(Paul Simonはユダヤ系)、系統の宗派、及びユダヤ教の聖典(キリスト教でいうところの旧約聖書)の言葉を引用したもの(賛歌、頌歌)、教会で礼拝行為として歌われる。神(創造主、救世主)への賛美、男女の愛への賛美が含まれるが、宗派により微妙に意味合いが異なる。


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