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メイケイエールに、ありがとう。

この記事では、競走馬メイケイエール号に感謝を込めて、自分の思い出を綴っていこうと思います。

出会い

私が競馬を知って間も無い頃、よく分からずに見た桜花賞。それがメイケイエールとの出会いでした。

と言っても当時はあまり意識していなかったので、特に衝撃的(笑劇的?)なレースぶりではありましたが印象には残っていませんでした。Twitterで出遅れと掛かり同時にやってたぞーみたいな感じで話題になってたような気はしますが。

彼女をはっきり意識し始めたのはキーンランドカップの時でした。桜花賞で暴走したヤベー奴が出るぞとこれもまた話題になっているのを見て今度は興味が湧きました。

https://x.com/toukouuma/status/1429359497806372865?s=46&t=ZNiAt11k5HDr6Vvb6aV_Cw

気になってレースを見てみると衝撃を受けました。なんだこの子は。頭を振りながら走っているじゃないか。面白い子だなと思って、当時はいかに暴走するかを楽しみにしていました。

結局、彼女は自分の思ったように暴走し、途中で強引に先頭に立って直線半ばで沈みました。やっぱり面白い子だなと自分は笑っていました。

思い返せばこの頃の自分は、競馬初心者が故にファンと言ってもメイケイエールが暴走することを楽しむ野次馬のような存在でした。

でもそんな間違った思考を変えてくれたのもまた彼女なのでした。

垣間見た素質

秋G1初戦、スプリンターズステークス。そこに彼女の姿はありました。1番人気は今年の高松宮記念を勝ったダノンスマッシュ、2番人気は前哨戦を快勝したレシステンシア、他にも古馬の古豪達が揃います。

当のメイケイエールは7番人気。重賞を3つ勝っているとは言え暴走癖が治らない彼女が人気を落とすのは必然でした。

今回はずっと乗ってきた武豊騎手が凱旋門賞に行くので、鞍上は気性難ならおまかせ(?)の池添ジョッキー(以下謙ちゃんと呼びます)に乗り替わりになりました。これも話題になっていましたね。

自分は冗談半分で彼女の単勝を買いました。勝ったら面白いだろう、でも勝てるわけないだろう、そう思っていました。

だから結果を見て驚きました。彼女は、なんと4着。入着こそできませんでしたがダノンスマッシュに先着したのです。

今日も引っかかって、首を振りながら走っていたのに最後はしっかり伸びました。内伸びなトラックバイアスの中外から飛んできたのは彼女だけ。純粋に、すごいと思いました。

ここで自分はやっと気付けました。メイケイエールという馬は、本当はものすごく強い。でも気性が激しすぎて能力を発揮できてないだけなのだと。

こんなに掛かってここまで伸びるなら、本気を出したらどんなに強いんだろう。底知れぬ彼女の魅力にワクワクしました。いつの間にか自分は彼女の虜でした。

その後彼女は年内休養、年明けのシルクロードSから始動することになりました。謙ちゃんも継続です。楽しみに待ちました。

堂々の復活

そして迎えたシルクロードS。エールちゃんの引いた枠は…なんと2枠3番。「終わった…」と思いました。ただでさえ掛かって他馬に迷惑をかけてしまうのに、引いたのは最内。頭を抱えました。

そんな心配をよそに、彼女はレースを快勝しました。二の足を付けて少し先頭に立ち、比較的折り合いながら控えて好位追走。直線前が空くと力強く抜け出してそのまま押し切りました。

真面目過ぎた天才少女、堂々の復活!

少し泣いてしまいました。馬具を工夫した甲斐もあったでしょうが、少しでもまともなレースができたことが何より嬉しかったです。謙ちゃんのガッツポーズはよく印象に残っています。

悔しさと期待

そしていよいよ春の大一番、G1・高松宮記念がやってきました。エールちゃんは2番人気。1番人気はG1で2着が続くレシステンシア。3番人気は暮れの阪神Cを勝ったグレナディアガーズ。しかし抜けた存在はおらず、大混戦といった模様でした。

エールちゃんは今度は8枠17番の大外。今度は包まれない外で、これは好機だと思いました。ただ、自分は死ぬ程緊張し、まるで娘の発表会でも見るような感じでレースを見ていました。勝てるだろうか…不安でいっぱいの中臨んだレースは

死ぬ程荒れました。勝ったのは内を突いた8番人気ナランフレグ。鞍上の丸田ジョッキーはG1初勝利になりました。3着に17番人気キルロードが突っ込んだことで三連単の配当はなんと278万円。エールちゃんは外から追い上げましたが届かず5着。またも掲示板止まりでした。

ただ、内有利な馬場の中彼女は1番外から伸びました。やはり力は持っているという確信を持ちながら、ほんのちょっと持っていなかった運に悔しさを滲ませました。次こそは。謙ちゃんのツイートを見ながら、思いを募らせました。

スリリングな1戦

次走に選んだのは安田記念の前哨戦、京王杯SC。200mの距離延長に挑みました。ここで我慢が効けばレースの選択肢も広がるはず。自分は少しワクワクしていました。

…していましたが。蓋を開けてみればまた首を振りながら走ってしまい、なんとか宥めて上手く勝ちましたがまだまだ折り合いは付かず課題は残るといった感じでした。これで勝つんだからすごいんですけどね…苦笑しちゃいました。

この後は安田記念には行かず休養に。夏の間はメイケイエールの夏休みというネット競馬さんの企画が始まって楽しませて頂きました。

また、アイドルホースオーディションが開催され、エールちゃんは見事1位に輝きました。特別仕様のぬいぐるみが作られ、誇らしい限りでした。自分も買って大事にしています。

大歓声に押されて

そして秋。大目標のスプリンターズSに向けて、エールちゃんは前哨戦としてセントウルステークスに挑みました。代替開催で開幕週の中京で行われる1戦。安田記念を勝ったちょっと因縁のあるソングラインとの再戦にもなりました。

エールちゃんは単勝1.7倍、断然の1番人気に支持されました。彼女はその人気に応えるかのように、素晴らしいパフォーマンスを見せてくれました。

先頭はシャンデリアムーンだ!外の方からはファストフォース、それからボンボヤージ!
一気に上がってきたのはメイケイエールだ!1番人気のメイケイエール上がって来た!ソングラインはまだ後ろ!ソングラインはまだ外の方で後ろ!
メイケイエールが先頭に変わった!メイケイエールが先頭だ!その内からはファストフォース!さらに内からはサンライズオネスト!そしてようやくソングラインも上がって来たが届かない!
メイケイエールです!!!メイケイエールの圧勝でした!!!

またスタートはあまり早くありませんでしたが二の足付いて5番手を追走。シャンデリアムーンが飛ばして逃げてハイペースになりましたが特に苦にせず、しっかり折り合い、直線は弾けて2馬身半差の完勝でした。

そして、タイムはなんと1:06:2。ビッグアーサーが叩き出した1:06:7というタイムを0.5秒縮めるレコードタイムでの勝利となりました。いくら開幕週だったとはいえものすごいタイムで、もう気絶しそうなくらい嬉しかったです。

重賞6勝目。ソダシに並んで現役トップタイになりました。この勢いのままG1を勝って欲しい。そう思いました。

狂い始めた歯車

迎えたスプリンターズステークス。エールちゃんは単勝2.0倍の1番人気。メンバーの中では断トツの実績で、緊張はしましたが、「勝てるだろう」という気持ちがあり、どこか安心して見ていました。

そんな安心は、1分で絶望に変わりました。エールちゃんは好位から競馬を進めましたが4コーナーで既に手応えが無く、後退していくだけでした。何が起こったか全く分からず、しばらく呆然としていました。

こんな負け方をする子ではないのに。何があったのだろう。どうしてだろう。考えを巡らせましたが、何もわかりませんでした。

後に敗因は、レース間隔を詰めたことだろうと語られました。ただでさえ難しい子ですから詰まったローテにへそを曲げてしまったのかもしれません。ただただ、悔しかったです。

初めての海外遠征

その後しばらくして、短距離重賞3勝の実績からかエールちゃんに香港スプリントの招待が来ました。密かに期待していましたが本当に来て嬉しかったです。

しかしここでアクシデントが。謙ちゃんが落馬により骨折、エールちゃんに乗れなくなってしまいました。そして香港では折り返し手綱も使えません。一体どうやって折り合いをつけるのか心配でした。

しばらくして鞍上はオーストラリアの名手、J.マクドナルド騎手と発表されました。海外のトップジョッキーなら何とかなるかもしれない。ですがやっぱり不安でした。

そんな中でも、エールちゃんは頑張りました。

スタートすると引っかかって先団へ。3番手でなんとか折り合うと、最後直線一旦は先頭に立つ手応えでした。残念ながらそこから伸びきれませんでしたが日本馬最先着の5着。香港の一流快速馬相手に力を見せたのでした。

上手くいかない日々

香港スプリントの後、エールちゃんは高松宮記念に直行することが決まりました。得意の中京で今度こそ悲願を。謙ちゃんも怪我から復帰して再コンビで挑みました。

今年は堂々の1番人気。と言っても王者不在で押し出された感もありました。2番人気はシルクロードSを勝ってきた父が同じナムラクレア。3番人気は阪急杯を勝ったアグリ。以下大混戦でした。今年は雨が降りしきる中でドロドロの不良馬場。不安でしたがエールちゃんならきっと大丈夫。信じてレースに臨みました。

しかし、待っていたのはまたも波乱決着。勝ったのは12番人気、ファストフォースでした。エールちゃんは、直線見せ場もなく沈んでいきました。

メイケイエールはどうでしょうか…!

全く伸びない姿に、自分は絶望して膝をつきました。アナウンサーの悲痛な叫びが、耳にこびりついて離れませんでした。いつもいつも、どうして、こんなに上手くいかないんだろうか。とても辛く苦しかったです。

しばらくして、次走はヴィクトリアマイルと発表されました。桜花賞以来2年ぶりの1600m戦。池添の腕がトレンド入りするほど話題になりました。距離は確かに不安でしたが、ソダシやソングラインとの再戦、スターズオンアースの参戦など、楽しみなことも多く期待して待っていました。

しかしながら、当週になってフレグモーネを発症。レースを回避することになりました。

レースに出れなかったのも残念でしたが、脚痛かっただろうなと思うと、本当に悲しくて仕方なかったです。

レースはエールちゃんの同期ワンツーでした。少しだけ軽い気持ちになりました。

幸いにもフレグモーネは軽傷ですぐ治ったので、次走は2週スライドして安田記念に。VMに続いてソダシやソングラインの参戦、シュネルマイスターやセリフォスなどの強豪も揃ったかなり濃いメンバーとなりました。

久々のマイル、追い切りも無し。更には引いた枠が1枠2番で最内。人気は12番人気まで落ちました。2桁人気は初めてでした。

それでも、陣営のなんとかしたい気持ちはひしひしと伝わってきました。

「僕たちが信じないで、誰が信じるんだ。」

胸を打たれました。そうですよね。不安が大きくても、信じてあげないと。自分も彼女が大好きだから。

たとえ勝つのは厳しくても、少しでもいいレースをしてくれればそれでいい。頑張って欲しい。

しかし待っていたのは、依然厳しい結果でした。出遅れて後ろからになると、内を通ってリカバリーしますが、直線伸びることもなく沈みました。見せ場もなく、実況に名前を呼ばれることもない。苦しかったです。

そして出てきたコメントを見て、さらに青ざめました。

最近のレースや調教がパターン化してしまい、気持ちの面で走り切れてない感じです。エンジンがかかるところで気持ちが途切れてしまいました。

もしかしたら、エールちゃんは走るのが嫌になってしまったのかもしれない。もう強い彼女は見れないのかもしれない。暗い気持ちでいっぱいでした。

しかしその後、レース中に落鉄していたことがわかりました。そりゃあ伸びないわけです。痛かったでしょうし、可哀想でした。

この時期はエールちゃんに不運なことばかりが起こって本当に辛かったです。

フルパージ

安田記念後、BC遠征をするという記事が一瞬でましたがすぐに消え、夏の間は音沙汰がありませんでした。しかし9月頭に帰厩すると、次走スプリンターズSと発表され調整が始まりました。

今回は折り返し手綱を外し、ハミを変えて挑むことになりました。調教の動きもいいので効果は大きそうに見えました。

そして迎えた3度目のスプリンターズステークス。1番人気は前哨戦を快勝してきたおなじみナムラクレア。2番人気は追い込みで新たな一面を発揮してきたアグリ。さらには新興勢力のママコチャやジャスパークローネが揃う中、エールちゃんは5番人気でした。やっと肩の荷がおりたような感じでしたが、もう人気はどうでもいいから勝利だけが欲しいと思ってました。

そしてスタートが切られました。先団につけていくエールちゃんを見ているとふと違和感に気が付きました。

あれ…
流星が見える!?

そう、エールちゃんはゲート裏でパシファイアーどころかメンコまで外してフルパージでレースに挑んでいたのです。しかも折り合いを欠くことなく。そして絶好の手応えで4コーナーを回ってきました。勝てるかもしれない。1年ぶりにそう思いました。

しかし、ナムラクレアに外を回された分、スピードに乗り切れず。5着がやっとでした。

それでも、1年前の大敗からずっと走ることが嫌いになってしまったんじゃないかと不安だったから、やっとまともに走ってくれたのが嬉しかった。そしてまともに走れたからこそ、悔しくて泣いてしまいました。だって本当に惜しかったから。

エールちゃんはまだ枯れてない。諦めるのはまだ早い。次こそは…

夢を叶える

スプリンターズS後、エールちゃんは在厩して調整が続けられていました。次は一体どこを使うのか。マイルCSで親子制覇か…もしかして本当にBCなのかな…などと考えていました。

すると本当にBC挑戦となりました。挑戦するのはBCフィリー&メアスプリント、なんとダート1400m戦です。ダートは未知数でしたがとても楽しみでした。

そしてBCの舞台、サンタアニタパーク競馬場で乗ることは謙ちゃんにとっての長年の夢でした。相棒の夢を叶えることができるなんてとても素敵な話です。あとは結果が出せれば、この上ないなと思いました。

アメリカで行われるレースなので中継は真夜中の3時とかでした。死ぬほど眠かったですがエールちゃんのためなら苦ではありません。テレビの前で応援しました。

しかしレースでは、スタート直後に斜行される不利があり後方からになり、そのまま道中で手応えも無くなり最下位に沈みました。不利があったとはいえ初ダートで勝てるほどアメリカのダートは甘くなかったです。

リスクは承知だったので大敗も割り切れました。またフルパージでのレースで本当に偉いなと思いました。無事に日本にも帰ってきてくれて何よりでした。

結果が出なくて批判の声もありました。何しに行ったんだ、無駄な挑戦だった、阪神Cでよかっただろ、などなど…

でも自分は決して無駄な挑戦だったなんて思いません。チームメイケイエールが、エールちゃんがG1を勝てるようにたくさん考えて選んだレースなんですから、それを無駄だなんて言うのは失礼だと思いますし。結果論でどうこう言うのは違うと思いました。

帰国後エールちゃんは放牧へ。年末に京都牝馬Sから始動することが発表されました。

いつもの走り

自分は関西住みなので、なかなかエールちゃんに会えないままでいました。関西圏で走ったのはチューリップ賞が最後ですし。なので次走が京都牝馬Sと発表された時はようやく会えると結構舞い上がりました。

当日。ウィナーズサークル横で待つこと数時間、ようやく会うことができました。これだけでも感極まりそうでしたが何とか我慢しました。

そしてファンファーレがなり、ゲートイン。スタートが切られると…

思いっきり出遅れました。マジに変な声が出ました。そのまま引っかかっていつもの首振り走り。フルパージしても折り合ってたエールちゃんはどこへ…

結局最後はガス欠して10着で終わりました。勝ったのはソーダズリング、武豊騎手。36年連続重賞勝利となりました。

レースから帰ってきて、ちょっと怒られてたエールちゃん。馬房に帰って行くのを見えなくなるまでずっと眺めていました。寂しくて泣きました。

そして次の週に引退が発表。引退式も行われることになりました。覚悟はしていたけど、やっぱり涙が止まりませんでした。中京は少し遠いけど会いに行こうと思いました。

最後の日

高松宮記念当日。朝5時に起きて新幹線に乗って中京競馬場まで行きました。土曜に雨が降って、当日もポツポツと雨が降っていましたが、去年よりは酷くないし大丈夫だと思いました。

なんとかウィナーズサークルの最前列を確保できたので、そこからは6時間立ちっぱなしの耐久でした。引退式もあるので大変でしたが、どうしても譲りたくなかったので動きませんでした。

そして運命の時はあっという間にやってきました。

今回はパシファイアーを着けて挑みます。返し馬を見送るのもこれが最後でした。

すごい歓声でした。

最初は、走り切るまで、泣くのを我慢しようと思ってました。しかし、ベストターンドアウト賞を受賞した時、あっけなく泣きました。ベストターンドアウト賞とは、『最もよく躾けられ、最も美しく手入れされた出走馬を担当する厩務員』の努力を称え表彰する制度です。つまり、エールちゃんが1番キレイだったということです。やっぱり耐えられませんでした。

そしてあっという間に発走時間になりました。ファンファーレが鳴って各馬続々とゲートイン。出遅れるな、出遅れるな。ずっと念じていました。

すると、出遅れることなくスタートを切ってくれました。道中も引っかかりましたが許容範囲。いい感じにレースを進めていました。

そして4コーナー、捲るように上がっていくエールちゃん。行ける、勝ってくれ、頑張れ、頑張れ。心の限り叫びました。

でも、届きそうにありませんでした。自分の目の前をエールちゃんが通過した時、負けを悟って泣きました。腕を突っ伏して泣きました。ゴールする瞬間がもう見れませんでした。わんわん泣きました。

2分くらい泣きました。ちょっと落ち着いたので顔を上げると、引き上げてくる姿を見て、勝ったのがマッドクールだとようやくわかりました。

ガッツポーズの瑠星くん。イケメンでした。悔しかったですが心の底からおめでとうと言いました。そして、地下馬道に消えて行く姿を見てもう一度突っ伏して泣きました。エールちゃんは負けたんだ。ついにG1を勝てなかったんだと。悔しくて泣いて泣いて泣きました。

さよならは悲しい言葉じゃない

撮影が終わって、最終レースも終わると、いよいよ引退式の時間になりました。

エールちゃんは、可愛い馬着を来て登場しました。

そして懐かしい軌跡や

関係者の皆さんからの一言もありました。

笑いあり、涙ありのお話でした。

そしてたくさんの写真を撮ると

みんなに撫でられて

ついに、お別れの時間になりました。

『ありがとう』心の底から言いました。そして力の限り手を降って、地下馬道に消えていく姿を見ながら、また思いっきり泣きました。

もう、エールちゃんに二度と会えないんだ。そう思ったら、涙が止まりませんでした。寂しくて悲しくて、ダメでした。

競馬を知ってから、一番夢中になった子でした。かわいい顔に、すらっとした脚。普段はおとなしいのに、レースには前向きすぎるところ。ツンデレなところ。すごく強いところ。全部が好きでした。エールちゃんのおかげで競馬が好きになれました。彼女が勝ったら自分のことのように嬉しいし、負けたら本気で悔しい。娘のように思ってました。

最後まで応援できて、本当によかったです。ただひとつ悔いがあるとすれば、やっぱりG1を勝ってほしかった。HEROSの音楽と共に、ウイニングランするところを見たかった。G1の優勝レイをかける姿を見たかった。勝ってみんなで泣きたかった。それだけが、本当に心残りです。

いつか、母としてターフに帰ってくるのを楽しみに待っています。もし子供がG1を勝ってくれたら、また泣いちゃうかな。いいお母さんになってくださいね。

引退してもずっとずっと大好きです。長生きしてくださいね。

今までありがとう。お疲れ様でした。またね。

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