見出し画像

「いちばんすきな花」と10年前のはなし

昨日の晩いつもよりは時間がかからず入眠できそうな眠気のなか、ふと考えたことがあった。

昼間見逃し配信で見た「いちばんすきな花」で、男友達の「生まれ変わったら女の子になるから、また友達になろう」みたいなセリフがあって、その時は主人公と同じように、それはどうなの、と思った。

布団に入ってなぜかそれを思い出し、
"私は彼が女の子でも、友達になりたいと思うのか、かつこんな執着するだろうか"と考えた。
すぐに、"いやーないな。けどそれって、え?私も下心か?ま、確かに向こうは私が女じゃなかったら友達にはなってないだろーな。"

(初めから、下心があるというようなことを言われたり態度を示されていたから。でも私が彼に"友達"を強く押し付けていたから合わせてくれていた、ような気もする)

なんて一人で突っ込みながら混乱した。
また明日考えよう、そう思って眠りについた。

もう10年前になる、男友達とのひと悶着


あの時よく考えてみれば私は彼のことを友達と言いながら、他の友達と同じようなモチベーション、テンション、心持ちで接していたわけじゃなかった。
他の友達とは違う。彼は違う。それは自他ともに認めるほどではあった。彼に何かあればみんな私に事情を聞くし、私も私で彼のことは私が一番知ってるって自信もあった。2人はいつも一緒、は私にとってとても心地よい周知の事実だった。

果てしなく恋人に近い距離で、そばにいたいと思っていた。できるなら、ずっと。

なのに男と女であることが突然壁みたいになって、挙句私はそれを利用しようともした。

あの頃はこんな10年後が怖かった。私たちをつなぐものはこんなことじゃ壊れない、もっとずっと続くって思い込みたかった。だから必死に、「友達としてこれからも続けていくために」なんて空回ったスローガンを掲げて、ばかみたいに突っ走って激突して、沈んでいった。
皮肉なことにその暴走が結果的にこの10年後を導いたのにね。
私たちの関係性なんて結局ただの友達でしかなくて、
友達なんて幅の広すぎる対象の中で、相手も同じ強さで関係性を保ち続けてくれることなんて、めったにないのにね。

何度も考えた。
他の友達とは違う、この気持ちは実は下心なのかな。
けど彼のことを下心も含め恋愛感情を持った対象として思っていたのかと考えるとその視点でははっきり違うな、と思う。
さまざまな理由があるけど彼は恋愛対象ではずっとなかった。
この関係性を大事にしたい、崩したくないと思い続けていたのは、大切に思う感情が他の誰よりも強いから。友達とか恋愛とか、そんなものじゃなくて。
なんて所詮肩書きは友達でしかないくせに図に乗ってたなあ。
だって向こうは違ったから。そんなことも知らなかった。いや、ほんとは気付いてたけど、だからこそ離したくなくて私の求める関係性を押し付けたのかも。

すごくよくないタイミングで下心をむき出しにされて、私も私でよくわからなくなって。
私たちは違うよね、なんてあれだけ大切に築き上げてきたものを2人でいとも簡単に壊した。

友達でも、恋愛対象でもない。
自分にとっての彼の位置付けをはっきりさせたい時もあって、たくさん考えたけどやっぱりどっちもしっくりこない。
結局"特別な人"というなんともふわっとする存在の定義が腑に落ちて、まあ殿堂入りみたいな?と人には伝えるようになった。

あれから10年経つけど、そんな殿堂入りは彼以外いない。彼よりも長く付き合いがあって心の底から大好きな友達はたくさんいるけど、そうじゃない。
そう思う理由なんて今もわからない。
好きな音楽が似てたとか、服の趣味が近かったとか、そんなの男女の友情を他人に納得させるためだけの言い訳だった。
本能的に彼に対する感情は他の人とは違うって思ってた。
関係性の位置づけって、友達か恋愛対象かの二択だから難しい。
もっと違う、そばにいたい理由をなんて言葉にしていいのか今もわからない。

一度だけ、「友達以上、恋人以上に思ってる」そんな表現で自分の気持ちを伝えたことがある。
スクショした、本当に嬉しかったよって照れくさそうに言う彼を見て、この関係を大事にしたいと思った。
きっとこれももう私だけの記憶。
でもずっと忘れない。

もう会うことはないけれど、今も特別に思う気持ちは変わらない。
そういう人に出会えてよかった。
元気にしてるかな。


なんて綺麗に思えたらよかったのに。
10年経っても、忘れらんない、夢に出てくる。
街に出るとどこかで会えるんじゃないかって期待する。
こんな気持ちを持ち続けたままなら、会える機会があっても会わないって決めてるのに、会えたらどうしようって考えるみじめさ。
だけど日常のどこかでなんだかなってふと感じる、彼にとっても欠けたピースでいたい。
そんなわけない、でもだったらいいのに。ずっと混沌としてる。
間違えないことを必死に選ばないと、
会いたい人には会えるうちに、とか甘い言葉にすぐ踊らされる。


大人になってお互い家庭を持ったら、異性の友達なんて淘汰されるってわかってた。
男女の友情は成立したとしても継続は難しい。
あんなことがなくたって、この終着地点にたどり着くのは時間の問題だったかな。
もう少し健全だったかもしれないけどね。


また来週観て思い出して、苦しくなってを繰り返したら2023年終わるのかあ。なんという不毛な。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?