未明 数分間のエールを
映画「数分間のエール」を最高でした。
ものづくりで悩んだことがある人にはとにかく刺さる映画だと思います。
ここで詳しくは語るつもりはないので見てください。
以下、劇中歌の未明についての考察です。
※大量にネタバレを含みます。※
※映画を見ていない人はブラウザバックしてください。※
「この歌はさ・・・終わりの歌なんだよ!
100曲作って駄目で、全部諦めるけど、今までやってきたことは無駄じゃなかったって!そういう歌なんだよ!」
主人公の彼方はこの歌詞をどう解釈したら勘違い出来たんだよ、ってぐらいストレートに辞めたことが表現されてます。
歌に全てを賭けていたので辞めてしまって何もない状態。
「よくできました」とは思えない。
薄暗い感情が見て取れる。
現状と夢は壁一枚の隔たりがある。
壁一枚と言えちゃう当たりはちょっと未練を感じる。
これはどっちだろう?
①逃げ出したことで自分の未来を潰したという事なのか
➁トモのように自分の才能によって他人を傷つけていたという事なのか?
「気づかないでいた」と評していることからは後者な気もします。
無責任な励ましほど心に刺さると。
自由の代償をかぶるのは自分ですからね、そら簡単に言うなと。
もう考えることをやめて別の人生を生きていきます。
悪くないよな、と言っていますが、この「悪くないよな」はあまり肯定的な意味ではなくてかなり未練たらたらの「悪くないよな」です。あとにも出てきます。
終点までの手持ちがない。つまり時間切れと。
もうここでやめないといけない心境を語っている。
二番線で降りて、次のシーンでは一番線のホームに居る。
引き返そうとしています。
一方で叫んでいる対象は二番線の始点に居る過去(一昨日)の私。
走っていくのも待っているのも決められない。走り出す決心が出せない私へ向かって叫ぶ。
せめて無駄じゃなかったといいたい。
たぶん一昨日の私へのメッセージはここで終わって、ここからは今の私へのメッセージ
>ありのままじゃ いらんないの
>変わりたいと思うなら今日にさよなら
ここは劇中まで含めて考えれば、「変わりたいと思うなら今日にさよなら」という部分で主人公の彼方は(あ、やっぱ諦めずに再トライしたんだな)と思ったけど、そうではなくて辞めたって意味だったんでしょう。
まぁ、この後に「悪くないよな」と続きますが、一番でもそうであったように「悪くないよな」は全然悪くないという意味ではないようなのでやめたと解釈できる
快晴も一般にイメージするような晴れやかな青空じゃないんですよね。背を向けて逃げる対象。2個目のPVだってずっと赤い夕暮れだったわけで。
見返してみて気づいたんですが、先生が歌っている場面に快晴がないんです。最初は雨の中、次はライブハウス、文化祭は夕暮れ、最後のPVも夕焼け。クリエーターの空は快晴なんて美しいものではない、という意図なのでしょうか。
>「あなたの自由なんだよ」
>この言葉に嘘はないから
>行進を止めないでいて
「あなたは自由」ではないけど、「あなたの自由」ではあると。
現実にはいろんな制約があって何でも好きには選べない(自由ではない)けど、何を目標にするかは自由に選んでもいいみたいな意味。
そして、この「行進」は、夢を追いかけることではなく、おそらく生きていくことを意味しているのかと思います。
どんな形であれ生きていこう。
挫折したけど生きていきます。
…という意志を表現している。
というと格好がいいですが、
実際のところは「強がり」なのかなという気がします。逃げ出したんじゃなくて、新天地にいったんだとしてせめて自分のプライドを守りたい。そんな痛々しい歌。
でも、それは決して悪いことではなくて、必要な「強がり」でもある。という感じかなと。
「どうして、MVにしていいなんてって言ったんですか?」
「なんでだろうね?」